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フォレスト  作者: 横谷昌資
第四部 または寂しさの輪郭(かたち)
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エピローグ

 期待をしなければ友達はできない。

 ゆかりは栄吉や直亮たちの交友関係を仕事として観察していて、それを強く思う。


 期待しない、というのは、状況が自分にとって都合のいいように展開することを望まないこと。

 期待することは、それが叶わなかったときに失望すること。

 期待と予測は違う。あるいは期待が混ざったとき、その予測は外れる。


 でも、期待をしなければ、友達はできない。

 友達なんていなくていいんだよ、とか、それはそうなのかもしれないが、でも、そういうことではない。

 なぜなら、人は結局、一人では生きていけないのだから。


 栄吉を見捨てたというA型職員たちのことをよく考える。同じ福祉施設職員として、ゆかりはそこからまだまだ未熟な自分のことを考えるようになっている。

 対人援助職の仕事内容は、今、自分が応対しているその人を助けること。

 自分を助けてくれる役割を担っているはずの人間が自分のことを助けてくれなかった。それがそこにあった厳然たる現実なのかもしれない。でも、そんな現実はそもそも知らなくていいものだ。なぜならそれは裏切られたということなのだから。結果、栄吉は薬の量がこの二年間で四種類も増えたらしい。それはその職員たちが自分の仕事をしなかったからだ。


 親子関係でも同じことは言えるのではないか。

 子どもに憎まれる、というのは、相当だ。


 誰もが何かの悩みを抱えていて、何らかの生きづらさを感じている。それでも、ほとんどの人たちはと(・)は(・)い(・)え(・)クリアできている。あるいは、自分にやれることをやる人、が、それをクリアできる人、なのかもしれない。 

 それがそうならなかったのが、そうできないのが、そうすることがひどく大変なのが、例えば今、自分の目の前にいる利用者たち。

 自分はどうだろう。

 ただ、少なくとも仕事中は、職場では、勤務時間内は。

「饗庭さーん」

「はぁーい」

 仲間たちとの談笑の最中、自分を呼びかける栄吉にゆかりは笑顔で応える。そして楽しいお喋りのひと時。なぜそれをするのかといえばそれが自分の仕事だからだ。

「何ですかー?」

 利用者たちの輪の中に入りながらゆかりは思う。それは決意だった。


 そう――。


 辞めてもいないのに、逃げ出してはいけない。

 それが“働く”ということだから。


〈完〉

あとがき

最後までお付き合いいただき誠にありがとうございます。

2年前に第一部を投稿してから、ちょくちょく続編姉妹編を書いて2年、これにてフォレスト完結です。


このお話は小学生のとき観たドラマ『ピュア』に影響を受けて、中学生のときに航也、航平、史生に該当する人物を考えて、ぼんやりしていたものが、三十年近く経ってようやく形になったのが第一部です。


第一部でぼくの書きたいこと自体は全部書けたのですが、“物語”として完成させるためにそのあと第二部、第三部を書いて……。


今から相当前に第四部第一話を夢で見て、これをずっと小説にしてみたいと思っていたところ、フォレストシリーズに使えないかと思って書いたのが第四部のお話です。この部だけがややファンタジーなのはそのためです。


“物語を完結させる”というのは人生初体験でした。

完全に完結させてみて、ああもう航平たちに会うことはないんだなぁ……と思うと、ちょっと寂しい気持ちもありますが、でもみんなに会えて良かったな。おかげでたくさん勉強になりました。


ありがとう!


そして、重ね重ね、このお話を読んでいただけた皆様、本当にありがとうございます。


最後に。

低いポイントでも全然構いません、ぜひとも評価を頂けたら、とっても幸せです。

それを今後の活動の指針にできたらと思う所存です。

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