12月25日
※この話は本編と時間軸にズレがあります。
「あのー、作者さん」
「ん?何?うちのメインヒロインさん」
「1日遅れてません?」
「うっさい。クリスマスはいろいろ用事があるの」
「普段やる気が出ないから更新しないー、とか言ってるくせに」
「ギクゥッ」
「用事がなくてもゲームに夢中でサボるんですから」
「すいません」
12月25日。
夜の10時。
カタカタカタカタ…………。
「はぁ……今日中に帰れるかどうか……」
クリスタ社内の一室、キーボードを弾く音と俺のため息が静かに冷たい空気を揺らす。
暖房くらいつけてくれよ、と言いたいがコンピューターは冷たい空気を好む。さらに残業しているのは俺一人、一人のために暖房つけるのが嫌だとか何だとか。
大企業のくせにブラック混じらせやがって。
しかも今日はクリスマスだ。俺はどの宗教も信じていないが日本人である。日本人ならばクリスマスは大切な人と過ごす、もしくはコンピューターと過ごすだろう。
前者は言ってしまえばリア充であり、後者は現実に満足していない非リア、もしくは現実に満足しているが周囲から非リアと呼ばれる存在である。
もちろん今の俺は後者である。
「家族が家でまっているというのに、情けないな」
今の俺を現代の若者風に例えると、彼女がいるのにデートに行かずバイト入れてる彼氏なわけで、とても申し訳ない気持ちなわけだ。
「しかも……なんか視線を感じるし……」
俺に視線を向ける神は多数いる。だいたいは地位や権力を狙って近づく神、もしくは妬む神だ。
だが残業してまで視線を向ける熱心な神はいないだろう。となると残業を監視している俺の上司くらいか。
レイティアだな……確実に……。
「ごめんねフリュウくん、残業大量に押し付けちゃって。でも毎月金欠なせいで残業一人で背負い込むフリュウくんが悪いんだからね?」
でも今日は残業押し付けすぎだと思うけど仕方ないよね。お金が欲しいって言ってるんだもん。
そして……私の夢も叶った。
「クリスマスにフリュウくんと二人きりよ!!」
「おい」
「はい!」
「レイティアだろ、ちょっと手伝えよ」
「何故バレた!?」
「声でわかるわ」
しまった!嬉しすぎて声がでてしまうなんて……。
でもまだ挽回できるはず!
「し、しーん……」
「……」
「しーん……」
「……」
何バカなことやってんだレイティアのやつ。
トコトコトコトコ。
耳ぎゅー。
「さっさとこい」
そして手伝え。
「ごめんごめんごめんごめん!手伝うから!残業押し付けて悪かったから!」
耳痛いよぉ。
「まったく……監視するにしても遠くからこそこそ見られるのは不愉快だ。近くで見てろ」
「あれ?手伝わなくていいの?」
「そのつもりだったが、よくよく考えればこのコンピューターでしか入力しても意味ないし、そこに座ってればいいよ」
「じゃあ書類とか纏めてあげるね」
「頼む」
隣からイスをとってきて腰かけると、フリュウくんの横顔が近くで見える。
クリスマスに男女が二人きり、これは何かが起こるはず!
まずはムードを作るところから。寒いのを言い訳に体を急接近させる。
ちなみにこの作戦のために暖房をケチりました!ハッハッハッー!
「フリュウくん……寒いから体、くっつけていい?」
「レイティアは一応俺の手伝いだからな?キーボード操作の邪魔だから着こんできてくれ」
なっ!?
まさか断られるとは!?
ちょっと冷たいぞー、フリュウくん。
「でもでも!寒いでしょ?」
「もう慣れたよ」
「私は寒いの!だから体をくっつけるからね!」
「はぁ……好きにしろ」
やったー。
許可も貰ったことだし、遠慮なく体をくっつけさせてもらいまーす。
「……チラッ」
「……何?」
「意外と悪くないな」
「でしょ」
これはいいムード!
頑張れ私!
「フリュウくん。今夜用事ある?」
「お前が残業させてるんだろうが」
「あはは……残業終わってからの話」
「三人がまっている」
はい!撃沈!
「フリュウくんのいけずぅ」
「な、なんだよ」
「今日はクリスマスだよ?性なる夜だよ?」
「待て待て、漢字が違う」
「世の中の男女は絶対こっちの漢字で認識してるから!」
「いやいや清らかな関係のやつもいるだろ!」
「いないの!そんな非生産主義な男女はいないのよ!」
ほんとにフリュウくんは堅物なんだから!
押し倒してやる!
バタンッ!
「いいでしょフリュウくん、今日くらい性に身を任せても」
「日本の神が何他国の行事に勝手に乗っかってんだ」
「ふふふ。性なる夜の力を得た私は無敵!戦闘能力は53万!フリュウくんを無理矢理私のTHE WORLDに引き込んでやるわ!」
「何言ってんだレイティア」
「なっ!?」
「お前はいつ、俺を押し倒したと錯覚していた」
縄をグルグルグルグル
ガムテープビタン!
「むっ!?むむむぐむぐぐむむむぐ!?(なっ!?どこからとりだしたよのよ!?)」
「俺の残業が終わるまで帰ってこなくていいからな」
「むー!!」
手足を拘束したレイティアをビルから突き落として、やっと静かになったか。
どうせレイティアのことだ。死ぬことはない。
こうやって、俺のクリスマスは幕を閉じた。
「私がメインヒロインですよね?」
「そうだね」
「クリスマスにメインヒロイン出さないとか作者さん正気ですか」
「いや、わりと正気じゃないかもしれない」
「そりゃこんな話をクリスマスの次の日に書いてるくらいですもんね」
「なんか、この話が浮かんだんだもん」
「作者さんのせいで私!フリュウさんと一緒に過ごせなかったんですからね!」
「すいませんでした」
「あと……なんで作者さん出てきてるんですか」
「底辺作家なら何やってもバレないから」




