破壊神と魔王の悩み②
マンションの隣には喫茶店があります。私は困った時、よくその喫茶店に相談をしに行きます。
どうして喫茶店に相談しに行くのかと言うと……
カランカラン――――
「こんにちは」
「いらっしゃ………………何しに来たの。破壊神ところの居候魔王」
「やっぱり歓迎してくれないんですね。フォルテさんは」
「ふんっ。アンタは害のない魔王だから生かしてあげてるだけ、そもそも魔王ってだけでアタシは嫌いなの」
この店の店主は運命神だからです。
喫茶店すずらん。木造の柔らかく落ち着いた雰囲気に包まれた喫茶店、その店主は……あまり柔らかくないです。
運命神フォルティナータ。略してフォルテです。
藍色の髪の毛と服に黒いエプロンをした整った顔の女性。身長は低めで…………容姿はギリギリ十代でしょうか。身長のせいで固定された年齢が読みにくいです。
言ってしまえば合法ロリなわけで。
「今、人間のお客さんはいないようですね。カウンター席いいですか」
「アンタ毎回カウンターでしょうが。紅茶一杯で粘られるからあまり来てほしくないのだけれど」
「これでもお客様なんですよ。はやくもてなしてください」
「はぁ。破壊神のお気に入りじゃなきゃ即殺してるのになぁ」
そう文句を吐きながらフォルテさんはカウンター席に案内してくれました。
「で?何しに来たの」
「えっと……一番安い紅茶かコーヒーを一杯で」
「はいはい」
私はメニューを見ることもなく、フォルテさんの質問を無視して注文をしました。
どうせ味なんてわかりませんし、安くても美味しいので一番安いやつで安定です。
毎回これなので返事が呆れ気味なのは仕方ないです。
フォルテさん何やら作り始めましたね、紅茶……フレンチトースト!?
「ほら。あげるわ」
「えっ……でも……申し訳ないですよ」
「はぁ、あんまり良心に文句言うのはやめときなよ。これアンタ用に作っといたんだから」
「……いただきます」
紅茶はいつものやつです、つまり安いやつなのですが、フレンチトーストはふわふわしてました。長い間ゆっくりと浸しておいたことがわかります。私が来る前から準備していないとできません。
フォルテさんは私が食べる姿を眺めてにこにこしています。
もしかして
「私が来ることわかってましたね?」
「あら、察しがいいのね。そりゃ運命神なんだから、なんとなく今日何が起こるかわかっちゃうよ」
「便利な能力ですね。……ですがなぜ今日だけフレンチトーストを?」
いつもは作ってくれないじゃないですかー!!
「報酬よ」
「報酬?」
「今日私にお悩み相談をしに来たでしょ。その悩みがなかなか面白いっぽいからお礼をね」
「……運命神の占いって一回10万円でしたよね」
「運命神に占ってもらいたいならそのくらい金払えって話よ。でも面白そうな相談なら大歓迎。ほら、食べたらはやく言いなさい」
「……フォルテさんには勝てませんね」
そう言うとニッと歯を見せました。運命を見れる神に腹の探りあいなんて勝負になるはずがありませんよね。
フレンチトーストごちそうさまです。
両手をあわせて感謝の意を表し、紅茶を飲み終えてから話始めましょうか。
「面白そうな相談なのかわかりませんが、最近フリュウさんが私を避けてる気がして……」
「あの親バカ予備軍がねぇ……うんうん、それは一大事だ」
「どうすればいいのでしょうか」
私の最大の悩みを暴露したつもりですが、それを聞いたフォルテさんは困ったような顔をしました。
「ちょっと悩みがふわふわしすぎ」
「ふわふわしてます?」
「アンタ学生でしょ、もっとわかりやすく伝えなさい。面接で点数貰えないでしょ、これだと」
「学生関係します?」
語彙力は仕方ないでしょう、環境と個人の努力で変わってきますからね。それより学生のイメージ高すぎませんか。国語のテストですか。
私としては友達と――友達と呼ぶには恐れ多い人ですが――話してる感覚なんですよね。
ふわふわでも察してくれるのが友達でしょう。つまり友達じゃないようです。
「何をしようとして、どういう行為からそう感じたのか。占いなら私がなんとかするけど相談はアンタのほうで気を利かせなさい」
「なら占いにしてくださいよ」
「それは無理。あの破壊神は運命とか秒単位で破壊しまくって生活してるから、不確定すぎ」
やれやれとフォルテさんは肩をすくめていますが、酷い言い種ですよ。
神は神どうしで能力を相殺しているようです。もしくは相性があるようですね。
……フリュウさん、全部の神に相性いいのでは?
「具体的に……ですか……恥ずかしいですね」
「そうそう、その感情がでる悩みを聞きたいの」
「うわぁ、性格悪い」
「うっさい」
さっきのフレンチトーストでいい人認定してあげたのに、取り消しです。
ですが話が進まないのは困るので、仕方ないですが話してやりますか。




