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3つ星セキュリティ

 こちらの世界に来た神が密かに暮らすマンションSSS(トリプルエス)

 SSSはシークレット・セキュリティ・サービスの頭文字で、人間からは防犯設備の整った金持ちマンションだと認識されています。

 SSSを3つのスターと勘違いした人がいるそうで、3つ星マンションと呼ばれることもあります。

 間違ってもSSSレート駆逐対象が住んでいるわけではありません。そのくらいの化物は住んでいますが。


「え!?今日のお昼は外食なんですか!?」

「そんなビックリするか普通」

「しますよ!」


 お昼前の通称3つ星マンションに私の声が響きます。

 外食、それは他所の家ではそこまで珍しいというわけではないでしょう。外食すべてが高い時代はとっくに過ぎて、安いチェーン店も外食に入りますからね。

 ですがこの家、お金がないわけです。超高級マンションに住んでいますが金持ちというわけではありません。神はまとまって生活したほうが都合がいいからここに住んでいるだけです。


「それでどこで食べるんですか?」

「すごいわくわくしてるね」

「わかります?」

「顔がにやけてるからな」


 だって久しぶりの外食なんですもーん。


「でもここで残念なお知らせがあるのだが」

「へ?聞きましょう」

「外食っつってもこのマンションの1Fでの食事会みたいな感じなんだ、他の神と合同でね」

「あー、そういうやつですか」


 外食と聞いて家族で食べるのを楽しみにしていましたが、さすがにそこまで贅沢?はできませんか。

 これでは外食じゃなくて内食みたいなもんですよ。

 ですが他の神って皆お金持ちなので味は期待できます。


「でもなんで突然食事会なんかすることになったんです?」

「レイティアが気分で住人全員に声かけたんだよ」

「頑張りましたねレイティアさん」


 このマンションはこっちの世界に来ている神全員が住んでいますから、100人くらいいるんじゃないですかね。

 普段ストーカーもどきのことをするレイティアさんがマンションオーナーとしてしっかり働いていて安心しましたよ。


「今日は何かの記念日でしたっけ」

「よくわからないが祝日じゃないか、暇だからって理由らしい」


 暇潰しに大人数での食事会をしてしまうとは、お金持ちはやることが違いますね。私はゲームをして潰しますね。


「フリュウくん!今日はフリュウくんが主役なんだから、はやく準備して来てくれないかな」

「すまんレイティア、すぐ行くよ」

「主役?フリュウさんが?」

「なんか着替えるとか言っていたな、何の日なのかさっぱりわからないが。時間までには来てね」

「はーい」


 レイティアさんに急かされてフリュウさんが慌てて玄関に行ってしまいました。ミコトさんとムラマサさんは従者として先に1Fに行っているので部屋には私一人です。

 寂しいですね、これ。

 暇潰しも兼ねてゲームでもしますか。


 30分後。


「あー!!なんでギリギリでリードされるんですか!?味方無能すぎでしょ、こんなのでS+とか笑えますよまったく!」


 某イカゲーお決まりの味方批判。

 だって明らかに弱いときあるじゃないですか。例えば味方は上がりたてで、敵にカンストが複数名いるとか。

 あるあるを飛ばしていきます。


「次!次こそ勝ってご飯行くんですからね!」


 もう一回は沼フラグだと言うのに続けてしまいます。実際たまに上手くいくのでやめられません。

 というわけで時間が過ぎてしまいました。


「さてと、そろそろご飯いきますか。今は……何分で……な!?」


 フリュウさんに言われた時間を30分もオーバーしているですと!?

 これはまずいです。怒られます。

 リビングで蒼白していて、私は背後から近寄る気配に気づきませんでした。


 バッ!!


「っ!?」

「動くなよ」

「あっ……」


 ドシン……カチャリ


 黒服の男に押し倒され、喉元に拳銃を突きつけられました。

 人間の泥棒でしょうか。ここが金持ちマンションだと知っていて狙ったのでしょう。


「今日はなんかの会合か?全然空いてる部屋がなくてな。ほら、金のあるとこ吐けよ」


 なるほど。私がいるので鍵をかけていませんでした、それでこの部屋に来たようですね。

 自分でも驚きですが、私は予想以上に冷静にいれました。

 だって、相手は人間ですから。


「断ります」

「は?お前自分の立場わかってねえのか!?これ見えてんだろ?」

「このマンション、想像よりもセキュリティ甘くなかったですか?」

「そうだなぁ!何が3つ星だって笑えるぜ」

「……泥棒さんこそ、自分の立場を理解したほうがいいです。このマンションのセキュリティは魔王用であって人間用ではありません。なぜなら……私たちにとって人間なんて脅威になりませんから!」


 私の右手のひらが泥棒さんを壁まで弾き飛ばします。


「がっ!!」

「この話をしたからには泥棒さんをマンションから出すわけにはいきません。覚悟してください」

「てめ!そっちがその気なら俺だって殺るぜ!てめえこそ覚悟しやがれ!」


 パァン!


 銃声なんて聞いたことがないのでわかりませんが、たぶんその音だったのでしょう。

 泥棒さんは私に弾丸を撃ったらしいです。

 私には届きませんでした。

 銃と私の間に鎧武者がいたから。


「おまたせ、迎えに来るのが遅れたね。お前……!マティルダに汚ねえ手で触れやがったな……!?」

「な、なんだコイツ!」

「フリュウさん?」


 鎧武者の中から聞こえる声はフリュウさんのものでした。

 私に優しい声をかけた後、泥棒さんを向いて睨み付けます。


「撃たれたはずだろ……」

「ああ、撃たれた」

「化物め!」


 何度もフリュウさんに銃口をあわせてトリガーを引きますが弾丸がフリュウさんに届くことはありませんでした。


「はやく消えろよ」

「ひっ……くそが!」


 泥棒さんが走って出ていって、部屋には私とフリュウさんが残されました。


「大丈夫だった?怪我してない?」

「大丈夫ですよ。フリュウさんこそ平気ですよね」

「弾丸は全て届く前に破壊したからね」


 そう言ってフリュウさんは私を抱き締めて、


「マティルダの体から、あの男に触れられた形跡を全て破壊する。マティルダはあんな男が触れていいような存在じゃないんだ、この俺の、破壊神の娘なんだから。しばらくじっとしてて」

「はい」


 娘という言葉が気がかりですが、私は大好きな人に大切にされて幸せです。






 長い抱擁を終えて、私とフリュウさんは1Fの食事会場へ向かいます。泥棒さんは慌てて逃げていったため、見つからないルートで逃げることを忘れていました。


「なんだよ!この化物マンションは!」

「私の庭に入り込んだのよ。代償はその命」

「ちょうどいい顔を探してたんだ、その皮をもらうぞ」


 という感じで泥棒さんは死神デュラハンさんの地下室に幽閉されました。後日泥棒さんの顔を被ったデュラハンさんが来たので、どうなったかは想像できますね。

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