破壊神と死神②
前回のあらすじ。
顔のない神とオバケがやってきました。
私が気絶しました。
私が名前をつけてあげました。
「改めて自己紹介を、俺は死神デュラハン」
「僕デスマーチ!デスマーチ!」
「うん。なんかこっちのほうがしっくりくるな」
「ですね」
なんかゲームの主人公にNNつける感覚で名前をつけてしまいましたが、いいのでしょうか。
気に入ってくれてるようなので安心しましたが。
にしても霊神さんのほう、ゆるい日常系の顔してデスマーチはちょっと失敗したかもです。
「それじゃあ死神デュラハンさんよ、依頼を聞こうか」
「ちなみに俺らの名前をつけるのは金とらねえよな?姓名判断は頼むつもりなかったんでな」
「そこは心配しなくていいよ、俺が勝手にやったことだからね」
そこまでお金に執着しているわけではありません、ポケ●ンでも姓名判断は無料ですから。
「そうか。本題の依頼なんだがな……俺の友達になってくれ!」
「おねがーい」
「……はぁ?」
「……」
何言ってるんですかこの神様は。
デュラハンさんとデスマーチさんは頭を下げて本気らしいですが、私からしたらちょっと馬鹿馬鹿しさを感じてしまいます。
だって友達って頼んでなるものではなく、いつの間にかなっているものですから。
「だ、だめかっ」
「そういうわけではない。俺は友達になっていいが、なんか違うだろ」
「違うって何がだ、どうすれば友達になれる」
「そこだ!友達の作り方だ!」
フリュウさんは声をあげてデュラハンさんを指差します。そんなデュラハンさんはキョトンとしてますし、どこか抜けてますよね。
本音。また変な人が知り合いに増えた。
神は変な人しかいないようです。
「俺は友達になれるさ、そういう依頼だからな!だが誰もが求める気のあう親友には今の段階ではなれないぞ!そういう友達を求めるのなら出直してこい!」
「なぜだ!?俺はこう見えて優しいぞ」
人の皮を被って顔にしてる人に言われたくないです。それに優しいは人として当然の部類ですからね。
「初対面で友達申請されてなんの会話もなく親友になれると思うなよ!?友達関係は時間をかけて作っていくものだ!」
「そうなのか!?」
「知らなかったのー?僕しか友達いないもんねーデュラハンねー」
「グサッ」
なんか今心に多大なダメージを受けた効果音聞こえたんですが、デュラハンさん大丈夫ですかね。
日常みたいなゆるい顔して無垢な言葉でダメージを与える、デスマーチさんもなかなかやりますね。
吐血しながらデュラハンさんが立ち上がりました。
「じゃあ破壊神、俺毎日ここ通うからよ、いつか友達になってくれや」
「バイバーイ」
あ、帰っちゃう。
「いいんですかフリュウさん」
「何がだ」
「悩み解決していないので報酬金はなしでしょ?今月もわりと家計ピンチなんじゃ」
「グサッ」
あ、また心に刺さる音が聞こえた。図星ってことですよね。
フリュウさんすごいスピードで走って玄関に回り込みました。
「俺は友達になれないが、友達の作り方なら教えてやろう」
「いいのか!」
「つくるー」
マンション最上階。
創世神レイティアの家。
「ここは」
「俺の友達というか同業者というか、とりあえず知り合いの家だな」
「なぜ知り合いの家に来ている」
「完全な他人から友達になるより、知り合いに紹介してもらったほうがなりやすいだろって」
「なるほどな」
真面目な解決案を出してくれてよかったです。
フリュウさんも人間との関わりは薄いのでどこか抜けてますからね、主に常識が。
「デュラハンさん」
「ん?ああ、マティルダちゃんだったかな」
「はい。レイティアさんは変な人ですがとても楽しくて明るい人です、仲良くしてあげてください」
「可能ならそうしたい」
デュラハンさんはムラマサさんからゲームを抜いたみたいな性格してますからね、とても真面目です。その真面目さでレイティアさんのストッパーになってくれたらいいのですが。
「耳かしてください」
「わかった」
「フリュウさん友達じゃないみたいな言い方をしていますが、たぶんもうお二人は友達ですよ。今は仕事で繋がっているわけですが、フリュウさんはデュラハンさんのことをしっかり考えて行動しています、この時点で友達になるのに十分な関係を築けています」
「本当か!?」
「はい。あとは関係をどれだけ深められるかです」
「そうか、俺頑張るよ」
「頑張ってください」
デュラハンさんすごく嬉しそうな顔してますね、その顔被り物なのに。
そして気づいてないかもですが私も、こんな話を話をするくらいデュラハンさんに情が入ってしまっているわけですから、もう友達みたいなもんですよ。
「どうかしたか」
「なにもありませんよ」
「そうだぞ破壊神」
「……変に笑ってたもんで」
フリュウさんも正直じゃないですね、友達になるだけならすぐなのに変に拘りをもって徹底した人間関係を目指しちゃって。
一応仕事という壁を作っていますが、フリュウさんはフレンドリーなのですぐ普通の友達になれるでしょう。
「そういやデスマーチのやつどこいった?」
「さぁ?」
「俺の近くにいないと誰にも見えないからな、近くにはいるはずだが」
そういえばデスマーチさんがいなくなってましたね。幽霊だけに影が薄いのか、性格はとても明るい人なのにまったく。
辺りを見ます一目で分かるマンションの外にはいませんでした、となると中ですが。
「壁抜けできるよなアイツ」
「私びっくりさせられましたよ」
「先に中に入ったんだろ」
ピンポーン
『はーい。誰かしら』
「あー、レイティア?俺だよ」
『フリュウくん!どうしたのデートのお誘い?』
「んなはずねえだろ。解決団として依頼がきてな、手伝ってほしくて来たんだ」
声音だけでレイティアさんのわくわくが伝わってきますね。
想い人が予想外の訪問をしてきたわけですから、嬉しくて当然でしょうけど。
『まってて、今入れるからね』
「悪いな」
しばらくすると足音が聞こえてきました。近づいてきてるようです。
「おじゃましまーす」
「きゃぁああああ!!」
なんか家の中から悲鳴が聞こえたんですけど。
「キレイなお姉さん、お願いがあるんだー」
「いや!いや!なにこの日常系オバケ!なんなのよー!」
ピカッ…………ギュィーーーーン!
「「「!?」」」
ドーン!
「大丈夫か、怪我はないか!?」
「危ねぇ、すまない破壊神」
「な、なんですか今の!?」
扉を突き破って破壊●線のようなレーザービームが放たれましたよ。フリュウさんが私達の体に触れる衝撃を全て破壊してくれたので無傷ですみましたが、雲が不自然な形で直線を境に分断されています。
「フリュウくん!オバケが!OBKが!」
「ききませーん」
「いやぁああああ!」
ギュィーーーーン!
ギュィーーーーン!
ギュィーーーーン!
「デュラハン、いくぞ」
「……そうだな」
「友達候補第一位ですけど、いいんですか?」
破壊●線連発してますけどね。
「お前が離れればデスマーチは見えないんだろ、はやく離れたほうがいい」
「はぁ、デスマーチのやつ」
「それに初対面でああなっちゃもう無理だ」
「ですね」
人間も初対面の印象がかなり強く残る。初対面で印象最悪になってしまっては今後の関係は望めないとの判断でしょう。
レイティアさんのことなのでフリュウさん繋がりで友達になれそうですが、落ち着いてからにしましょうか。
「……怖いです」
「樹海で、しかも霊感付与されてるからなぁ」
「うう、すまない」
私たちが来ているのは樹海です。陽が少ししか射さない薄暗い空間にはいくつものOBKがいます。デュラハンさんの特性で霊感付与されているので見えてしまいます。自殺者の霊が。
「でも人間の友達なんか神だから作れないし、神の友達も保留になったわけだし、残すは霊の友達しかいないんだよなぁ」
「俺は霊には慣れている」
「そりゃいっつも霊神と一緒ですからね」
「あっはっはっはー」
まったく、性格までゆるい霊神様には困ったものですよ。レイティアさんをびっくりさせなければ依頼完了で樹海に来ることなかったんですからね。
ちょっと気分が悪くなってきました。
「あの……私離れていていいですか」
「ああ、あとは俺だけでなんとかしてみるよ」
「悪いな依頼なのにサポートも何もできなくて」
「案を出してくれただけでとても助かっている」
フリュウさん、怖いですよー。
ここぞとばかりに抱きついちゃいましょう。
デュラハンさんから離れてペタリと座りこみ、心配そうな顔をするフリュウさんの腰あたりに手を回して固定します。
安心できます。
「破壊神とマティルダちゃん」
「ん」
「はい」
「ここでイチャつくのはよせ、男女関係で自殺したやつらに呪われるぞ」
それは嫌ですね。
ですがもしフリュウさんに嫌われたら自殺しますね、たぶん、いや絶対。
「なぁアンタ、俺の友達になってくれよ」
「友達?変なやつだね君は、まぁ私の願いを聞いてくれれば何にでもなってあげるよ」
デュラハンさんが霊と話始めましたよ。まぁ変なやつに見られるのは仕方ないですよね。私からしたら独り言をしてる変な男性にしか見えませんからね。
「そうか!それでアンタの悩みってのは何だ?」
「とある男を殺してほしい」
自殺者の霊ですからね、こうなっても仕方ないです。
「そこの生きてるお前、俺の仇もとってくれよ」
「●●株式会社を潰してほしいんだ」
「元カレまじ許さねえ!」
「あのクズに最悪の苦痛を与えてから殺してくれ」
「結婚してるやつ全員呪ってやる」
「リア充爆発しろ」
いろいろとカオスになってきましたよ。
樹海の霊を友達にするなんて無理っぽいです。
あ、デュラハンさん諦めたみたいですね。とぼとぼと歩いてきます。
「悪い破壊神、ここの連中とは友達になりたくねえ」
「薄々気づいてたよ、普通に墓地行ったほうが早いってな」
フリュウさん、墓地以前にちゃんとした生きてる友達を探してあげましょうよ。




