破壊神と死神
休日の午後のティータイム。
「わざわざお取り寄せしたマンゴーティー」
「いえーい」
「怪●の種を砕いて」
「●力の種!?」
いきなりの出落ちですよ。
料理男子なフリュウさんカッコいいです!って反応したかったのに忘れてしまいました。
ゴリゴリゴリゴリ……。
「注いであるマンゴーティーに混ぜまーす」
「マンゴーティーが怪力ティーになってますよ」
「怪力の●は名前のわりに主張弱いから味は問題ないぞ」
「味じゃなくて効果が問題なんですよ」
これ飲んだら絶対体から赤い光が出ますよね。
そもそも飲んでいいのでしょうか。ハンターさんがそのまま食べてますけど、超人だからこそ出来るのではないでしょうか。
まぁ作ってもらったので飲みますけど。
「本当ですね、味は普通に美味しいです」
「だろ?」
「……フリュウさんの体光ってますよ」
「マティルダも」
効果がでるのはや過ぎでしょ。
3分後。
「あー!?マタ●ビ爆弾配置ミスった!?」
「これは俺の勝ちだな」
「おいおいお前ら、そろそろゲームやめろよ」
「えっ!?何かあるんですか」
ミコトさんとムラマサさんが最速クリアに挑む中のティータイムが終わり、フリュウさんが珍しいことを発しました。
ゲームをやめさせるって本気ですか……。
もしかして怪力の●のせいで頭がおかしくなったのではないでしょうか。
「今日客人がくるんだよ、そのために紅茶作ったわけだし」
「客人?」
「解決団の放送を見て、人間界で困ったから頼ってみようっていう神だ。報酬は円でくれるらしいからな」
「それはおもてなししなければですね」
この家は常に金欠ですからね。天大陸の通貨だけ貯まっていって円がない悲しい金持ちです。
「マティルダも手伝ってくれるか」
「はい!それで何時ごろに約束してるんです?」
「そろそろくるはずなんだ、服とか髪とか整えておいてね」
「了解です」
リビングから出て洗面台に向かいます。
私は常に整えてます。だって毎日大好きなフリュウさんに見られるわけですから変な格好なんて出来ません。いつでも可愛いあなたのマティルダですよ。
洗面台に向かったのは念のためです。
「髪は崩れていませんね、にぃー……スマイルもオッケーです。男性は女性の笑顔が大好きですから」
この笑顔で返事をされたらフリュウさんも思わず惚れてしまいますね、よし。
笑顔の練習をして鏡を見ていた時でした。
「ん?」
「……」
鏡にうつるOBK
「私……しかいませんよね」
「うん!」
鏡にうつるしゃべるOBK
「日常系アニメみたいな顔のあなたは?」
「オバケ!」
ゆるい顔した鏡にうつりしゃべるOBK
「きゃぁああああああ!!」
「どうしたマティルダ!?」
「OBKが……OBKが」
「OBK?何の略だ」
「ばぁ!」
「うおっと!?誰だこのゆるい顔したやつ」
フリュウさん反応薄い!
オバケも少し戸惑ってますよ。
「ミコトさんっ、ムラマサさんっ、OBKです!今すぐ来てください!」
「今モン●ンやってるから無理」
「OBKって大きな化物狩ってるよって意味?」
「頭モ●ハンに侵略されてます!はやくやめなさーい!」
フリュウさんにやめろって言われてもやめない従者神め。
ピンポーン
「あ、来たかな」
「ちょっとフリュウさん!怖いです!OBKと二人きりにしないでー!」
「まぁまぁいいじゃんか、遊ぼうよ」
「いやー!!」
私の心からの悲鳴が届いたのでしょう、フリュウさんが戻ってきてくれました。
フリュウさん、怖いよぉ。
鏡にうつるOBKとか最高に怖いやつじゃないですか。ゆるい顔してるのでまだましですが。
「わかったから黙れ」
「うう……」
「僕も玄関いくー」
OBKはついてこないでください。というか壁抜けして扉の向こう側にいっちゃいました。
2度と帰ってこなくていいですよ。
玄関ガチャリ。
「はーい、待ってましたよ」
「いらっしゃいです……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ………………。
「あー」
「!!?」
「きちゃった♪」
「…………」
首から上がない人。
肩に乗ってるゆるい顔したOBK。
「ぎにゃあぁぁぁぁああ!!」
「あ……マティルダ!?」
「えっと……あなたが依頼者ですか」
「ああ。先ほどはすまなかった、顔の皮をつけていなかったもので、驚かせてしまったようだ」
「皮をつけるって……」
少し気絶してしまいました。フリュウさんの隣で依頼者の二人と面談をしているのですが、まぁ気になることが多いです。
だってオバケと顔のない人物が依頼者ですからね。
今はイケメンな顔をつけているので問題ないのですが、オバケのほうはどうしようもないです。
「あれ?あれ?つかめないや」
「オバケって触れないだね」
「うーん……僕のぶん飲んでいいよ?」
せっかくフリュウさんがいれたお茶ですがオバケは飲めません。めっちゃスカッスカッとからぶってます。
「依頼者さん、依頼を聞く前に名前を教えてくれるかな」
「名前か」
「名前とかないととてもじゃないですが話せそうにないです、容姿的に」
「こらマティルダ」
だって本当のことじゃないですか。
顔のない人に『ねぇねぇ、なにするの?』って聞けませんよ怖くて!親しみを少しでも持つために名前は絶対必須です。
「死神だ」
「霊神だよー」
…………とてつもなくやヴぁい神様が来ましたね。
「それは職業だろ、名前だよ名前」
「死神だ」
「霊神だよー」
「神って職業なんですか!?」
「当たり前だろ」
なんか思っていたのと違いますね。というか名前変わってないですよ。
もしかして……
「名前……ないんですか」
「ああ」
「うん」
可哀想です、すごく可哀想です。
「フリュウさん、依頼の前に名前をつけてあげましょうよ」
「……二人はそれで構わない?」
「ああ」
「名前ねー、つけてほしいなー」
というかよく名前なしで生きてこれたもんですよね。
「新鮮な気分だ、誰かとふれ合うのはいいものだな」
「え」
「死神って聞いてここまで反応が薄いやつは珍しい、さすがは破壊神だ。他の連中は死神と聞いただけで殺されるとか言って逃げてしまうからな、ずっと俺は霊神と二人きりだった」
「僕は普通の人には見えないからねー」
いや、私だけで留守番していたら絶対お帰り願ってましたね。
死神さんはいい人なんでしょうけど、やはり肩書きが邪魔してるんですね。あと容姿。
霊神さんは、見えないってどういうことでしょうか。
「僕はね、死神の近くにいないと見えないんだ」
「俺たちが出会ったのも何かの運命だったのだろう。俺の特性ゴーストフィールドは俺から半径5メートル以内の生命体に霊感を付与する」
「特性って……」
まぁたポケ●ンみたいな設定追加してるじゃないですか。
しかも明らかに使えないですよねこれ。
「俺の特性は破壊王だ、部位破壊がはやくなるぞ」
「それ別ゲーです」
「私の特性はゲーム廃人」
「わかったんでいい加減ゲームやめなさい」
「俺の特性はイリュージョンだ、誰かに化けるぞ」
「わりと使えるから反応に困ります」
なんですかこの人たちは、特性だらけじゃないですか。
ミコトさんだけ神の特徴の欠片すらありませんが、ミコトさんが神の仕事してるところ創造できませんからね。
「ミコト、何か名前の案とかない?」
「マジオス」
「あ、お前いまそれ狩ってるんだな」
「なぜバレました!?返してくださいー」
「なぜバレないと思った。後で返してやる」
ミコトさんゲーム没収。
フリュウさんの標的はムラマサさんにいきます。
「ムラマサは案ある?」
「じるみん」
「ださっ」
ムラマサさんネーミングセンス無さすぎです。死神さんも苦笑いじゃないですか。
「はい没収」
「ああ……」
「マティルダはないかな、ないなら俺がつけるよ」
「え……私は神に名前をつけていいような立場ではないので」
魔王の私が名付け親って、嫌でしょう?
「遠慮しなくていい、じるみんの後ならなんでもカッコよく響くものだ」
「名前つけてー」
「うーん」
まさかムラマサさん、このためにあえてネーミングセンスがない振りをしてくれたのでしょうか。
チラッ
……ないですね。なんかしょんぼりしてました。
本気でつけてじるみんは酷いですよ。
「顔ないですから死神さんはデュラハン、霊神さんは…………死が歩いてるのでデスマーチとかどうでしょう」
「首なし騎士ね」
「僕デスマーチ」
なんかゲームとかでありきたりな名前になってしまいましたが、まさか神様に真司とか誠也とか普通の名前なんてつけれませんし、仕方ないと思ってください。
なんか微妙ですか死神さん。
「フリュウさんはなんてつけようと思ってたんです?」
「顔を被ってるからカブ朗、オバケだから幽助」
「デュラハンで頼む」
「デスマーチ!デスマーチ!」
フリュウさんもネーミングセンス酷かったです。




