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高等科編3

 永遠の別れかのようにおじさんの方へと手を伸ばし、引きずられながら連れていかれる陽の様子を満面の笑みで見送ってあげた後、悲鳴のような声が聴こえてきたものの、それを気にすることなくノーリが淹れてくれた紅茶を口に含ませ、未だに唯一落ち着きのないしのくんに微笑みかけつつ、本題へと話を移した。

「この世界には魔物がいるわ。おじさん達を見かければ直ぐに襲いかかってくる奴等もいる。生き残るためには戦う力と守る力、そしてそれをどう生かすのかを考える知力か必要なの。

おじさんはね、君らを守りながら戦えるほどあまり強くはないの。理不尽だろうけど、自分の意志で来たんだろうとなかろうと、この世界に来たからにはこの世界の理に乗っ取った行動をしてもらわなくちゃいけない。だからおじさんは君達に生きるための術を教えてあげる、君達が生き抜くために。敵になろうとなかろうと、君達を見捨てることなんて出来ないからね」

 おじさんはそう言った後、ソファーに寄りかかりながら紅茶を口に含んだ。

 神様は彼らを頼りにしているみたいだけど、どうするのか? それを選ぶのは彼ら自身であって、おじさんがああしろ、こうしろって強制することは出来ない。

 ただ、生き抜くための戦う力と守る力を身につけてもらなくては話にならないしね。……彩人は妹さんの行方がわかってから、選択してくれれば良いんだ。


 それと……、おじさんにはしのくんに予め言っておきたいことがあった。

「しのくん、ここの世界ではただ怯えているだけでは誰も助けてくれないよ。

良いかい? 君にとってはこの言葉は地獄に落とされるような言葉かもしれない。だけどね、これは君にとって変われるチャンスであることを忘れないで欲しい。怯えているだけの自分から変わりたいと思ったことはないかい? 良くこの言葉の意味を考えて、修行に取り組むように」

 出来ない、出来ないと思っているだけでしのくんには色々な可能性があるようにおじさんには思えるから、修行を始める前からこのような厳しい言葉を言うことになってしまったけど、この言葉の意味を素直に受け取ってくれると良いんだけどー……、そう世の中上手くはいかないよね。

 さて、一先ず話は終わったしぃ、まずは適合検査から始めるとしますかね?


 まずは彩人の血液を採血した後、涙目になりながらも採血の痛みで涙をこらえるしのくんを見て、彩人は目を見開いて驚いてた。小声でいつもなら怖いと自分にしがみついてくるのにとボソリとそう呟いているのが聞こえてきて、ああある程度は伝わっているのかな? と嬉しくなった。

 まあ採血し終わった後、注射をさした痕から消毒液がしみる痛みに半分泣きが入っていたものの……、彩人にしがみついていたのは今回は採血されている時に泣かなかったしのくんのその頑張りで見逃してあげようとそう思った。

 流石に今日から修行を始めるのは良くないので、二人には自室に戻るように言って、ノーリとシィの三人で二人の適合検査の結果を眺めながら明日からどう言う訓練メニューで始めるのか話し合うことにした。勉強に関してはセンリ先生とルト先生が見てくれるため、全く問題ないから、明日はとりあえずどれだけ体力があるのか見るとして、明後日からどのように修行していくのか、大雑把に決めておく方が良いと言う意見で満場一致した。


「この結果から見ると……、彩人はシィが主に見てあげると良いかも。

で、しのくんはどちらかと言えばおじさんが主に見ることになりそうね。加護的にはしのくんの方が良いものを持っているけれど、充分に教えてあげられるわ。ノーリはそうね、実力が停滞している方を選んで手助けしてくれると助かる」


 おじさんは冷静と淡々に、そう担当の割り振りを決めていく中、シィは適合検査の結果を眺めながら戸惑ったような表情を浮かべていて、心配になり「どうしたの?」とそう聞けば、

「ここまでの強者を間違えて違う世界に送るような間違いをするか?

……神様も本当はこうなるってわかってたんじゃないのか? ほんと、何考えてるかわからないな」

 そう呟いて、おじさんもその言葉を可能性として否定することは出来なかった。

 もしかしたら人は、紫髪の少女に対する接した方の選択肢を間違えて続けていたのかもしれない。

 師匠がああ行動し続けてなければ、この世界は四人の救世主さえも来ず、もっと前に滅んでいたのかもしれない。それが答えなのかおじさんにはわからないけど、今はそう思っておくことしか出来ないのかもね〜。……答えが出ないことをあまり考えすぎても不眠症になっちゃうし……とそう思いながら、内心で思ったことを少しだけ言葉にした。


「シィ、あんまり考えすぎても不眠症になっちゃうよ〜。いつかわかる時がくるよ、そんなような気がする」


 おじさんは瞳を閉じ、少しの間だけ無表情になったのだった。



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