初等科編9
十分ほど歩いた後、木材で出来た竜舎へと着いた。続々と竜舎の中へクラスメイト達が入って行く中、おじさんはルト先生に何故か引き止められた。
おじさん達以外のクラスメイトが竜舎へと入った後、後からやって来た女性教員に後は任せたとルト先生は一言声を掛けて直ぐに、その返事さえも聞かずに歩き出すから、慌てて後を追えばいつも以上に面倒くさそうにこう言った。
「はあー……。あの教員、竜騎士としては優秀だけど、肉食系過ぎて苦手なんだよなあ。あまりうるさく言ってこないセンリでさえも、アイツに捕まえられないように気を付けろって言われてんだから、あの教員の肉食さには引くわぁ。
まあ、そんなことよりもお前らには他のクラスメイトらよりも先に陸上竜の竜舎へと向かってもらう。実を言うと、飛行竜は揃いも揃って真面目な性格をしててだなー……、お前らって人とは違う感性と言うか何かこだわりを持ってんだろ? それにお前らの力は陸での戦闘の方が本来の力を発揮出来ると思って、だから契約するのは陸上竜だけにしてもらうことにした。
もし、陸上竜でも駄目だったらもう古代竜と契約出来ることに掛けるしかないだろうけどなー……!」
へえー……、ルト先生って独身なんだぁ。肉食系女子に狙われてると大変だねぇー……とのんきにそう考えていた後、飛行竜と性格的に合わないと聞かされて後、まあそんなこともあるよねと陸上竜と性格が合うことを祈りながらそう考えていると、暖かい日差しにいつも以上にほわほわした気分になってきた。
そんなおじさんを見て、ノーリは微笑ましいものを見るような視線を向けているんだろうってことは、数年間一緒にいたから見なくても良くわかる。
だって今、クスクスと笑ってはいるだもの。こう言う時のノーリは、決まっていつも穏やかで優しい目で見守るかのような視線で眺めてくるのよぅ。
いつもなら拗ねるような表情を見せるところなんだけどー……、ちょうど良い春の暖かさに思考能力も遅くなっており、笑われていることなどどうでも良くなってきているから、とても気持ちが穏やかなのー。
「……マイペースな奴」
と、ルト先生はそう独り言を言っていたのか聞こえてきた。その独り言に対して、先生だけには言われたくないかなー……と考えながらも、その言葉は内心で留めておいた。
それから五分くらい経った後、木製で造られた竜舎へと着き、鍵を開けた後、中に入って行けばルト先生が言った通り蛇のような見た目をした陸上竜がそこにはたくさん居たの。
『あら? いつもより早くないかしら?』
と、たくさんの陸上竜の中で、その中の誰かがそう聞いてきた。
陸上竜のその質問に対してルト先生は、
「大体が真面目な性格をしている飛行竜には、ちょっと手強い生徒二人でね。
一人はほのぼのマイペースだし、もう一人は親友至上主義者だからなぁ。
お前ら、結構こう言うタイプの人間好みだろ? 優先して連れてきてやった」
と、そう答えていた。
自分らでも変わっていると自覚してるからあまり否定しなかったけどぉ、何気に的を射ていたから、否定出来ないと納得するしかない説明だったしー……。
そう考えながらも、おじさんはキョロキョロと竜舎の中を見回していると、漆黒の色をした竜と空色の色をした竜が視界へと入り、おじさんは思わずその二匹の竜に駆け寄ってこう言った。
「おじさん、クラトル キリシアって言うの。唐突だけどおじさんと契約して!」
この二匹の竜を見た時、おじさんが契約するのはこの竜達だとそう思った。
真っ直ぐ二匹の竜を見つめていれば、竜達は戸惑ったような表情を浮かべ、顔を見合わせていたのだった。




