↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/99

初等科編8

 二時間目は竜と契約をする時間。三、四時間目は陸上竜騎士になるクラスと飛行竜騎士になるクラスに分かれ、訓練メニューについての説明をした後、実際の訓練メニューを行う時間となるらしいと聞いてはいるものの……、たった一時間で契約を交わせることが出来るんだろうかとも思うけどぉ、ルト先生にはっきり言われちゃったしね。


「一時間で陸上竜騎士となるために陸上竜と契約するか、飛行竜騎士となるために飛行竜と契約するかを出来なければ、その時は竜騎士に向いていないと言うことだ。……諦めろ」


 と、手厳しい言葉を頂いてしまったからねぇ。休職中なだけであり、今でも現役的な精神を持っているルト先生がそうはっきり言うのなら、それが竜騎士としての現実なんだろうしぃ、それは受け止めなければいけないことなんだろうけど、プレッシャーの重圧に耐えきれなくなるほどに、現実を受け止めすぎてしまうのもいけないからね。

 飛行竜は、契約していれば契約主との会話でストレスを発散出来るものの、人と契約を交わしていない竜はその方法でストレスを発散出来ないため、何かに縛られることを好まない竜はこの時期になると気まぐれで行く学園を選び、その学園の竜舎の前に現れるらしいのよ。

 で、契約を交わさなかった竜は夜明け頃に竜舎から何らかの方法で出て、その学園の人間が気がついた頃には消え去っているのだからとても驚きだ。

 まあ、おじさんは何とかなるだろとのんきだから平気だけどー……、アンリちゃんとリースちゃんが称号者だと言う重圧に耐えることが出来れば良いけど。


「リースとアンリ達の心配をしてんだろう? クラが心配することなんてないよ、プレッシャーの重圧に耐えきれなかったら、それは本人達が弱かっただけ。そんな弱い意志で竜騎士になられても、いざと言う時に足を引っ張られて迷惑なだけなのだから……、その時はその時でその現実を受け止めるしかない」


 そんなに心配するような顔をしていたのだろうか、ノーリはあの二人に対して手厳しい言葉を言った。

 が、ノーリが言ったこともそれもまた、現実であるのは事実なのよね。

 少し心配したところでその現実は変わらないのだから、本人でもないのにここまで考え込む必要だってないだろうしねぇー……とそう考えながら、無言のまま隣にいるノーリの腕を掴めば、以心伝心しているかのように意図を読み取ってくれる彼は、おじさんが自分の意見を賛同したのがわかったのか、口元だけ緩ますように微笑んだ。

 その微笑みは作ったような仮面みたいな微笑みではなく、慈愛の込もっている本来のノーリの微笑みだった。

 よほど、自分の意見に納得をしたのが嬉しかったらしい、恐らくノーリは自分が今、微笑んでいることすらも気づいていない本人が自覚していないくらい自然な微笑みだったの。


 ……ノーリがモテる理由もわかったような気がするわぁ。距離感の近い友人でさえもやきもちを妬いてしまうその理由もね、今おじさんに向けられている視線、空気でわかった。

 皆も気づいているんだ、ノーリが普段の微笑みが感情が込められているものではなく、仮面のような微笑みだと言うことを。だから唯一側に居ることが出来て、心から微笑む姿を見ることの出来るおじさんに対して嫉妬したんだと思う。

 おじさんは嫉妬されるのが嫌いよ? でもね、ノーリとの親友関係は嫉妬だけで崩れるくらいに脆い友情関係ではないとも言えるし、同じ目標を持つ親友だからこそ、この関係を嫉妬が嫌いだからと言う理由ぐらいではこの親友から依存することをやめられないとも言っても、この気持ちを言い表しても正しいかもしれない。

 ぼんやりと考えごとをしていた瞬間、ノーリは容赦なく嫉妬の視線を向けていた女子生徒達に、一瞬だけ警告のような殺気を向けて何ごともなかったことのように、普段通りの作ったような微笑みを浮かべていた。


「クラトルに嫉妬向けていた女子生徒の皆、そんな私情をはさんでいる暇があったら、竜と契約することに対して集中しろ。竜騎士学科をやめたくなかったらな」


 そう言って、ルト先生は鍵を軽く投げながら何処かへと向かって歩きだしたため、……ここはまだ昇降口近くだからきっと竜舎へ行くのだと判断したおじさんは、慌ててその後をついて行くのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。