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やはりマイペースなおじさんです2

「お見合いの申し出はそれだけじゃないぞ。クラトルが男子だと知って、女子からも来ているぞ? ちなみに王族からも来たが、息子を王族にさせるつもりはないと断っておいた」


 あまりにさらりと重要なことを言うものだから、呆れて何も言えないわぁ。

 王族からのお見合い話を躊躇いもなく断る父上はとても肝が据わっている。

 そんな父上本人は気づかない、そういうところを総隊長であるヒアノさんに気に入られているところを鈍感だから、全く気がつく様子もなく、どうして自分が声を掛けてもらえているのか、疑問を持っているようだったが、本人に聞くほど気になってはいないようだけどぉ。


「良く王族が怒らなかったな、シルバー」

「ええ。こう言ったら、王族の皆さんも黙って諦めてくれましたよ。

クラトルを姫様の婚約者候補にしたいなら、傷一つ傷つけることは許さない……それを破るなら、それに相応した対応をさせて頂くと言ったんです。

顔を真っ青にしてこの話はなかったことにしてくれと逃げていきましたよ。

私が姫様を見守る分には構いませんよ、その責任が私にはあります。ですが、目標のあるクラトル達を巻き込むのだけはやめて頂きたいものです。それにクラトルは何かに縛られることを嫌いますから、王族になるなどもっての他です」


 ヒアノさんの言葉に父上はそう答える。

 父上は周りからの評価より、おじさんらの意見を優先してくれる。

 それでも王族が不敬罪に出来ないのは、父上と母上の二人を失うことで大きな戦力を失うからなのよ。

 だから、王族は父上達を恐れている。

 怒らせればどうなるのだろうか? と。


「まあ、父上よりもクラの方がある意味最強ですけどね。竜騎士の古株、あの二人に孫のように溺愛されていますからね。クラが嫌がることをされれば、あの二人がどうなることやら」


 ノーリは遠い目をしつつ、そう言った。

 そんなノーリを眺めながら、何でそんな表情をしているのかわからず、おじさんは思わず首を傾げた。


「……シルバーだけじゃなく、キリシア家全体を敵に回すべきじゃないな」


 ヒアノさんはボソリと、そう呟いた。


◇◆◇◆◇◆


 相変わらず、竜騎士や魔法騎士の方々に愛想を振り撒きながら、声を掛けられる度に手を振っていればそんなおじさんを囲むように横に歩いている、ノーリと父上は苦笑している。

 そんな反応されることなんて慣れている。気にせず気軽に声を掛けてくれる竜騎士や魔法騎士の皆さんに愛想を振り撒いていれば、おじさんの目の前に急にナナセくんとシィ(シキくんのことね)が現れた。


「クラ、相変わらずだな。お前の竜騎士や魔法騎士のおじさま方々からの人気は。自分の息子、孫のようで可愛いと王城の中で評判だもんなぁ、クラは!」


 シィは会った早々、一言目でそう言ってくるんだもん! ……流石のおじさんでも照れちゃうよぅ〜。

 まっ、おじさんの可愛がってくれる方々は十八歳くらいのお年頃の娘さんがいる人が多くてねぇ……。

 可愛がってくれるのよねぇ、まるで自分の息子のようにね。皆さん、揃いも揃って面倒見が良いから。


 まあ、この話はおいといて。流石に半年も仲良くしてくれているからかなぁ、シィもおじさんの扱い方もわかってきたのか、そう言ったと同時に挨拶代わりに抱きしめてくれるの。

 シィは会う度に、ノーリに似てきているわぁと毎回そう思うの。


「シィ、一週間振りだねぇ。シィも相変わらず、ナナセくんと仲良しね」


 シィは冷やかしに慣れているから、にこっと微笑んで流されてしまった。

 シィも紳士度が上がりつつあるわぁと考えながら、抱きしめられている腕から逃れても、怒ることなく微笑んでいるだけだった。そんな様子を見て、おじさんと仲良くなると包容力が高くなるのかしらとそう考えていた。

 ふと、シィの後ろの方へと視線を向けてみれば、仲良しだとおじさんに言われたことに照れているのか、ナナセくんは両頬を両手で包み込んでいる姿が見えた。

 ――まずい、その仕草は非常にまずい。

 見る人から見れば、どんなに完璧な男装をしていてもバレてしまうからねぇ。今、自分が男装をしていることを忘れている状態にあるね、確実に。

 完全にナナセくん、素に戻っちゃってるよ。幻覚魔法をかけて完璧な男装をしていると言えど、思考は恋する女の子だからどうしようもないよね……。

 そう考えながらも、後で注意しておかなくちゃと同時にそう考えていた。


◇◆◇◆◇◆


 この国の王女となる姫様、レティシア ディー リノアノ様とすれ違う。

 九歳になる二ヶ月前だったかな、女装したおじさんとマナー&社交ダンス対決に負け、それ以降から何かとさらに真面目に授業を受けているようで。

 姫様に偶然とは言え、会ったのはその勝負以来だった訳なのよ。

 出会って最初に言われた一言は……。


「……何か、女として負けた気がする」


 おじさんを見て、そう呟いた後にふらふらと何処かへと行ってしまった。


 さっきのナナセくんの表情を見てて忘れてたけど、彼女今は男装をしているんだった! 王城のメイドさん達に服を用意してもらっているんだけど……、スカートではないものの、可愛らしいデザインで女の子が来てもおかしくないものばかりだから、初対面の人だったら女の子に見られてもおかしくはないと言うことはですよ……!

 おじさん今、周囲から見れば逆ハー状態に見えるってことなの!?

 勘違いしないで欲しいわぁ、ノーリ達は大切な友人なのにねぇ。

 シィとナナセくんはお互いに両片想いで想い合っているしぃ〜……。

 ノーリは婚約者さんのことを不器用ながら大切に思っているのよ、婚約者さんを見ている目はとても優しいもの。婚約者さんに向けているその優しさは、友情とは違った優しさだと言うことを、見ていればわかるわ。

 ……でも、流石のおじさんでも姫様のあの発言にはショック受けました。



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