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やはりマイペースなおじさんです1

 父上が怪我をし、半年が過ぎ、おじさんはノリトくんを“ノーリ”と呼ぶようになった頃なのだけど。

 流石は血縁ですなぁ、父上は何とかして左腕を失う前の戦力を取り戻そうと、数々の行動を見てきたであろう部下さん達が引くくらい鍛練を重ねています。

 そんな父上の姿を見て、ノーリの反応と言えば満面の笑みでこう一言。


「流石血縁だな、見た目の雰囲気が似てれば努力の仕方も良く似ている」


 その一言を聞いて、おじさん反省しました。周りから見れば、身体が壊れそうになるほど努力をする姿は、あそこまでハラハラするものなんだとあの姿を見て初めて気づいたわぁ。

 まあ、ほどほどにするようには努力をしようって決意した後、俵のような形をした紙袋に大量入っている小麦粉を両肩に一つずつ乗せ、軽々と運んでいればノーリはため息をつき、最近は諦めているのか重いものを持っても、奪われるように持っていかれてしまうことはなくなった。

 それでも過保護なのは変わりはないのだけどねぇ、ノーリが過保護なのは諦めるしかないと思うわぁ。


 俵のような形をした紙袋に入った小麦粉を、運ぶのがどんなに大変なことなのかを知っているまだまだ新人な魔法騎士達は、未だに半年前と身長が変わらない小柄なおじさんが一つ十キロのものを、二つ運んでいる姿を見て真っ青な顔をして視線を向けてくる。

 ――そこまで驚くことかしら。確かにおじさんは小柄で細そうに見えるみたいだけどぉ、人は見た目で判断しちゃいけないって言うしぃ、そこまで驚くことはないと思うんだけど。

 ぼんやり考えてても、二十キロくらいはまでは軽いんだけどねぇ〜……。

 新人魔法騎士だから、まだまだ本来の訓練が最後まで出来てないのかもね。

 まあ? もし、彼らがおじさんの師匠の弟子だったら、そんなこと絶対に有り得ないことだけどねぇ。


「余裕だとしてもよそ見するなよ、クラ。見ている方が怖いんだよ」


 あっ、ノーリに怒られちゃったよぅ!

 ノーリは相変わらず過保護なんだからぁ、しょうがないからちゃんと周りを良く見て運びますかぁ〜。

 そう考えた後、スキップしながら運んでいれば、新人魔法騎士の皆さんは思わずといったような様子で、悲鳴を上げていた。そんな様子を見て、おじさんは密かに口元だけ笑っていれば、ノーリはため息をつきながら後を着いてくるだけだった。


◇◆◇◆◇◆


 父上が鍛練をすることを許されたのは、週に三日だけ。人のことはあまり言えないが、その間は鍛練をし過ぎていないか心配なので、おじさんらは魔法騎士の方々の手伝っている。

 なかなか器用なおじさんは、鍛練し終わった後に毎回取れかかっている包帯を、掻いている汗を軽く濡れたタオルで拭いた後、巻き直して上げるのよ。

 九歳になると言うのに、未だに父上の腰辺りまでの身長しかないし、しかも女顔なのが最近ますます目立ってきたおじさんは、開き直って髪の毛を伸ばすことにしたのだけどぉ、包帯を巻く作業をする時には髪がうなじに当たり、くすぐったいのが最近の悩みなのよねぇとそう考えながら、包帯を巻き終え、軽く叩いてやれば苦笑いをして「有難う」とお礼を言われる。

 その瞬間、魔法騎士の総隊長であるヒアノ クロークさんが現れ、豪快にニカリと笑ってこう話す。


「よぅ、一ヶ月ぶりだな。相変わらずお前の息子は美少女だな、シルバー」

「ええ、可愛いとは認めます。クラトルは私の自慢の“息子”ですよ」


 ヒアノさんにそう言われても、どんなに周りから少女のように見えると言われても、父上だけはおじさんが少女のように見えるってことを認めないで、否定していて居てくれるから、あまり反抗しようとは思わないのよねぇ。

 ――まあ、ヒアノさんは父上を構いたくてそう言っているだけなのだけど!

 と、そう考えているとタイミングを見計らったかのように、竜騎士の方の怪我を治しに行っていたノーリが帰ってきて、ヒアノさんの言葉を聞いていたのか、こう言っていた。


「ヒアノさん、いつも言っているでしょう! 貴方達周りがそう言うから、クラは開き直って髪を伸ばすようになっちゃったんです。普通に短い髪でも女の子に見えていたのに、髪を伸ばしたらもう完全に女の子に見えているし! どうするんですか、クラのところに同性のお見合い話が来ちゃったら!」


 と、いつもは微笑むことで感情を隠しているノーリが、必死な表情を浮かべながら諭すようにそう言っている。そんな姿を見て、相変わらず心配性なんだからぁとそう考えながら、ニコニコと笑っていれば飄々とした口調で父上が爆弾発言をする。


「クラトルを女子だと勘違いした奴らから、同性の見合い話来たことはあるぞ。ショック受けるだろうから言わなかっただけで、何百回か断ったことはある」


 ……父上? それはそんな表情をして、言うことじゃないと思います。

 まあ、断ってくれていると言うことだから、別に構わないのだけど。

 自分でも女顔って自覚しているから、あまりショックを受けなかったけど回数がね、回数が問題だよね〜……。


「流石美少女!」


 ヒアノさん、貴方は少し空気を読んでください。それにおじさんは……、性別は男です。美少女ではありません!



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