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おじさん、初めての魔物狩り9

 勝手に決めたことを、一つぐらい文句を言えれば損な役回りをしなくて済んだものの……と考えながら、二人を送るためにおじさんが先頭になって歩き始めてからしばらく経った後、真剣な表情を浮かべながらも怖がらせないように振り返らずこう言った。


「君達はまるで被害者のように振る舞ってるけど、本当の被害者はナナセくんだ。君達がこうして生き抜くことが出来るのも、無傷で無事なのもナナセくんが止めをさしてくれたからだ。はっきり言わせてもらうけど、もしあの場に僕ら三人がいなかったら……、君達は数分で死んでいたよ」


 と、そう言葉を口にした後に彼女ら二人から、息を飲んだような音が聞こえてきたが、内心では謝罪しつつもルト先生にはっきりと言っておくように言われたので、おじさんは心を鬼にして後ろへと振り返り、厳しい声色を作り出してこう言う。


「このままなら、君達は竜騎士として生きていけない。……何も出来なかったことを絶望に感じるのではなく、生き抜くことが出来たのだから、自分の強みを活かした戦い方を見つけるのよ。ここで諦めるなら、今から別の学科に移動しなさい。学園に入った後は親はいないわ、箱入り娘のままの気分のままでいられるほど……、竜騎士の世界も甘くはないからね」


 と、そう言えば彼女らは同時に顔を下に向け、声を殺して泣いていた。

 おじさんがそう言った意図を察しているであろうノリトくんは、静かに泣いている彼女らの背中を撫でる訳でもなく、ただ静かに見守っているだけだった。

 おじさんは彼女らを送りとどけるまで、厳しい表情を作り続けるしかない今、この出来事を彼女ら自身で乗り越えてないと、竜騎士の仕事はこなせない。

 能力が強いからと言って、竜騎士の仕事が完璧にこなせるかと言えば、そうではないこと今回の出来事で良くわかったはずだ。あとは彼女らの気持ち次第ってところかなと思う。

 と、そう考えていると、ノリトくんはこちらの方に駆け寄ってきて、ぶつかるんじゃないかと思うくらいに肩を引き寄せられ、「頑張ったね」と耳元で穏やかで優しい声でそう言われた。


 ノリトくんには敵わないなぁ、少しでも気が緩んじゃうと些細な変化でも気づかれてしまうんだもの。

 ノリトくんはわかっているの、完全に気が許せる相手以外とは話すのが苦手だと言うことを……。

 今だってそう、本当は精神的に疲れているわ。だけどそれ隠しているのに、気づいてそう言ってくれているんだもの。親友として依存しちゃうのよねぇ、あまりに信頼出来るから。

 と、そう考えた後、思わずノリトくんの服の袖を掴みつつ、開始宣言された会場までの道を、辛うじてついて来れている二人を気にしながら歩くのだった。


◇◆◇◆◇◆


 一時間くらい歩き、開始宣言された会場までつけば、眠そうな顔をしながら男の先生が出迎えてくれた。喋り方も期待を裏切らず、とても眠そうだった。

「あ……。もしかして彼女らがそうなの……? 任せといてぇ、君たちの代わりに彼女らを見守っておくね。先生居眠りしないように頑張るからぁ〜……」

 と、そう言いつつも、既に眠そうだったのはとても印象的だった。

 なので、取り敢えず「眠らないように頑張って下さいねぇ」とそう言えば、幼いと印象を持つような笑顔を浮かべた後、は~いと可愛らしく返事をし、二人を連れて簡易テントに歩いて行ってしまった。

 ちなみにその先生はセンリ ユーラ先生って言って、保険医らしい。

 なんか、センリ先生と喋ってみて開始宣言した会場を担当している理由がわかったような気がした。

 大体初対面の人と喋っても疲れるような感覚を抱くはずなのに、珍しくセンリ先生に対してはその気持ちを抱く間もなかったと言うか、そんな不思議な人だなともそう思った。



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