おじさん、初めての魔物狩り7
眠った気がしない。
ルノーンの森がいつ霧が晴れても、対応出来るように浅い眠りを保っていたからねぇ、気を張っていたせいかあまり疲れが取れていないような気がする。
ノリトくん無しで、リーシェちゃんと話したのもあるかな。おじさん、あまり異性と話をするのが得意ではないから、気を使ったと言うのもあるかも。
と、そう考えながら朝の挨拶代わりに、ノリトくんに大人しく抱きしめられていれば、周りの皆はそんなおじさん達を苦笑しながら眺めていた。
そんな周りの視線は気にせず、抵抗することなくノリトくんに抱きしめられたままの状態になってから数分が経った頃、おじさんはルノーンの森から聴こえてくる今まで安定していた音に、僅かに乱れたような異変を感じ取ったような気がして……、思わず顔を勢い良く上げてしまう。
周りの皆は、何ごとかと驚いていると言うのに、一番おじさんの近くにいたノリトくんは全く驚くこともなく、にこやかに微笑みながらこう言った。
「どうしたの?」
ただ、そう聞いてきただけだった。……理由もなく、不審な行動をおじさんはしないって、ノリトくんはわかってくれているから、まず何があったのか? とそう聞いてくれる。
だから、信頼してノリトくんの側にいることが出来るのよねぇ〜……。
「まずいかも。おじさんの一番起きて欲しくないあの可能性が、現実に起こってしまうかもしれない」
と、そう言った瞬間ことだった。……ああ、伝えるのが遅かったかと何故か根拠もなくそう思ったおじさんは、思わずノリトくんの服の袖を掴んだ。
その数分後、何かを感じ取ったようにナナセくんは戦闘体勢に入った。
それから数秒後、おじさんの目の前には十メートル軽く越えた、熊の魔物が目の前には現れた。
おじさんは影で拳銃を作り出し、銃弾ではなく、仕掛けを仕込んである弾を入れ、魔力を込めながら魔物の片足に向けて一発ずつ、合わせて二発の弾を両足の足元に撃ち込んだ後、ノリトくんは絶妙なタイミングで札魔法で魔物を結界で囲んだ。
その数秒後、おじさんが仕込んでおいた仕掛けが発動し、急成長した巨大植物が魔物の脚に絡み、一時的に身動きを自由に出来ないようにした。
そのチャンスを戦い慣れたナナセくんが見逃す訳がなく、一回すらの瞬きも許さないくらいに一瞬で大量の矢を魔法を作り出し、魔物の頭上からまるで雨を降らせるように、その矢を一気に降らせた。
ナナセくんのそうした判断を、想定していたかのようにノリトくんは、ちょうど良いタイミングで魔物を囲んでいた結界を解き、近くにいたおじさんを抱えて後ろに飛び退いた。
それと同時に魔物に矢が刺さり、その痛みから魔物は暴れまわっていた。
魔法で身動きを取れないようにしていた植物を引きちぎり、魔物は地団駄を踏むかのように地面が割れるほど、地面を蹴りつけた瞬間、おじさんは無詠唱で魔物の足周りを優先的に地面を直した後、割れた地面全体を数十秒で直した。
おじさんは魔法で壊れた物を元の形に戻したり、作り出したりするのは得意なのよと考えながら、魔力を込めることで育つ巨大植物が仕込んである弾ではなく、別の仕掛けが仕込んである弾に入れ替えた。
そんな行動にこれから何をするのか察したノリトくんは、結界で空中に階段を作り出した後、抱えていたおじさんを地面に降ろしたと同時に、結界で空中に作り出された階段を駆け上がり、全く躊躇うこともなく飛び降りた。
そんなおじさんの行動にさっきまで冷静に眺めていた、ルト先生も流石に焦ったような声で「クラトル!」と名前を呼ばれたけど、気にせず仕掛けを仕込んである弾を魔力を込めながら魔物の片足に一発ずつ、合わせて二発の弾を両足の足元に撃ち込んだ。
その後、逆らうことなく落ちていけば、またしても絶妙なタイミングでノリトくんは、おじさんを地面に落ちる寸前で横抱きするような形でキャッチした。
「流石ノリトくん!!」
と、そう言えば、珍しくノリトくんは照れたようにはにかんで笑った。
そんな表情を浮かべながらも、攻撃が届かないルト先生がいる場所まで、まるで瞬間移動したかのように錯覚するくらいの速さで移動するノリトくんに、先生は唖然したような表情を浮かべていた。




