おじさんの穏やかな日々1
少し書き直しました。
魔力の“糸”と表現していたものを、魔力の“リボン”に書き変えました。
三人乗れるくらいにスノーを影で作り出した後、魔力で作り出した“リボン”を通して魔力を渡せば、スノーは一定のスピードで動き始め、自宅に向けて走り出した。
これは美術と魔法を応用し、幸いおじさんの美術の才能はレベル四だったから、魔力を見せられるように出来たのだけど……、この“リボン”に出来ることは戦闘向きじゃない。
この“リボン”に出来るのは伸び縮みさせることや、太さを変えること。
……そして“リボン”を通して誰かに魔力を渡すことしか出来ない。けど、戦闘以外のことなら応用がきかない訳でもないし、それにこの魔力の“リボン”のおかげで、スノーをまるで生きているかのように動作を表現することが出来たのだから、戦闘向きにするほど……高望みをすべきじゃない。
でも、この方法でスノーを遠くまで一人で移動したりするのは無理だ。
スノーは自分の魔力を持っていないけど、魔力を使って様々な動作をしている。もし、おじさんの魔力がなくなれば……、首を傾げる動作しか出来なくなってしまう。数分間は姿は保てるものの、直ぐに影へと姿を消してしまうだろう。
魔力の“リボン”は伸び縮みはするものの、それが出来る範囲が決まっている。例えもし、その範囲が決まっていなくても……、目に見えてしまうからきっと、隠密行動は出来ない。
でも、いずれは……この方法じゃない別の方法で、スノーだけでも行動出来るようになったら良いな、とは思ってる。この方法では、おじさんが側に居る時にしか使えないからねぇ~。
おじさんがこの四年間、してきたことは魔法の修行、実戦だけではないの。
才能を最大限に活かすための教育を、ジークさんに受けていたのよぉ。
幸いなことに、おじさんの師匠であるジークさんは賢者だ。……まあ、あの人は魔法使いとしての実力もチートと言えるくらいだったんだけどね? これまた厳しい厳しい、自分の才能にあった教育を受けていたんだよ~。
そうそう、おじさんの才能に“変装”ってあったでしょ。あれね、結構珍しい方らしくて、適合検査では出ないように一つ才能を隠すことが出来ちゃうみたいなの。
おじさんの場合、演技力だったわぁ。
この才能は唯一、レベル四の中でもレベル五寄りの才能みたいだったの。
おじさんはあんまりね、適合検査の結果的には戦闘には向いてないみたい。
戦闘ではなかなか強い、そういう目でしか見られないだろうって、ジークさんに言われちゃったしね?
だから……。おじさんは使える魔法を、才能を、自分の体質の全てを応用して、考えて戦わなきゃいけないし、常に努力し続け、一定の実力をキープしておかないといけない。まっ、目立つようなことはしないけど、生きていくには矛盾してるかもしれないけど、この世界は“強い”自分の武器が必要な世界なの。
成り上がりとか、ハーレムとか、チートとか……そういうのは精神年齢的にも若い人に任せるよ。
おじさんはただ、ほわほわと生きていきたいだけだからねぇ~。そのために努力し続けるって決めたの。
それにね? おじさんはさ、前世でのことが関係してるのか、あまり目立つようなことには向かないみたいだもの。
◇◆◇◆◇◆
流石に二日間の間、魔力を使い続けると疲労感がずっしりくるわぁ。
まあ、おかげで馬車と同じくらいか、少し速いくらいで自宅についたのだけど、シルフくんは申し訳なさそうな顔をしていた。
そんな顔したって仕方がないでしょ、二人とも戦闘向きなんだから。
こういうことが得意なおじさんがやるしかないの、もう二人とも心配性なんだから~。見た目は確かに細すぎるように見えるけど、まあまあな魔力量だってあるんだから! 二人とも気にすぎなんだよ〜。
と、内心文句を言いつつも自宅に入ろうと一歩足を動かした瞬間、ドアは開き、中から父上が出てきておじさんを抱きしめる。
「良く、ジークのあの厳しい修行に耐え抜いたな。元気そうで何よりだ」
そんな父上の言葉におじさんは苦笑しながら、ジークさんの修行が厳しいってわかってて、自分の息子を生き抜かせるために、心を鬼にして行かせてみたものの、四年も帰って来ないから心配させちゃったんだね〜。
――実際にジークさんの修行、特に実戦や、“天の歌姫に愛された者”の加護の使い方での指導の時は……、凄く厳しかったなぁ〜。まあ、“天の歌姫に愛された者”の加護は影響力が強いし、指導の仕方が厳しくなるのも当たり前だけどね。
と、そう考えた後、おじさんは今度は満面の笑みを浮かべ、こう言った。
「ただいま帰りました、父上。ジークさんに無事に“なかなか強い”と認めてもらうことが出来ました」
と、そう言えば、
「……そうか」
そう父上は言う。そう答えた声は何処か、嬉しそうだった。




