二十三話 友情とは脆いもの
テストが終わったのでひとまず投稿しますた。
いやー疲れた。
でも今回はバルケイト篇の50%くらいの謎解き回。
張り切っていきましょう!
でもやっぱり3000字強くらいになりました。(前は6000字強くらいは書けてたのに………)
『友達』という単語を最初に言ったのは誰だろうか。
それは尊ぶべきほどに良い友を持っている人間だったのだろうか。
いや、違うとリョーカは考えた。
リョーカはこう考える。
「友達ってのを最初に言った奴は、恐ろしいほどに孤独だったんだろうな」
孤独だからこそ繋がりを求める。
孤独だからこそ人と触れ合いたくなる。
限界に思ったそいつは傍に居るだれでも良かったから『友達』という存在がほしかった。
「まぁ、随分歪んで寂しい考え方だがな」
リョーカは過去にそういう事も言っている。
なぜならば、自分がそうだったのだから。
もしも友達という言葉がなかったら、それを作っていたのは自分だっただろうと。
そういう考えを、リョーカは小学校6年の頃から思っていた。
しかし今はそういった自分なりの考えも捨ててしまった。
世界に流されるだけの今のリョーカは、善は善。悪は悪。そう決めきっている。
それが例え、長年敵対してきた者だとしても。
それが例え、しばらく一緒に旅をしてきた仲間だったとしても………。
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「まさかお前が来るとは、まぁ思ってたけどな」
「予想してたのなら、防げるとでも?」
リョーカのテントに入ってきた暗殺者は最初にリョーカの首にナイフを突きつけた。
リョーカはそれを意に介していないようにいつも通りに飄々と接しているのだが、暗殺者はそれを不愉快に思ったように地面にナイフを刺した。
「―――――さっさと死んでください」
「うん、無理」
「バカにしないで下さいっ!」
「してるつもりはないんだけどなぁ」
窮屈そうにしながらもリョーカは自分の頭を摩る。
しかし一瞬後にはその軽い空気も一気に重くなり、アリシアの顔を大きな手のひらで掴んだ。
本気じゃないにしても明確に力を入れられたその手に、アリシアは急に恐怖を感じた。
リョーカは怒っているのだ。
それもリューシアの為に怒った時とは、大きさではなく種類が違う怒り。
「分かっていたとはいえ、俺に対して、それも『友情』を装って近づくとはな。お前、選択間違えたよ………」
さらに力が加えられる手。ミシミシと音まで立ててどんどん締められていくアリシアの顔の骨格。
痛みに限界を感じたのか、アリシアはリョーカの手を払って離れた。
「なぁ、サキュバス―――――いや、魔力がふたつ混ざっているから、正確には妖精族とサキュバスかインキュバスのハーフか。
くくっ、面白い。昔にこんなことはなかった」
「む、昔………?」
一瞬、本能でリョーカではないなにかの気配を感じたアリシア。
リョーカはニヤッと笑っていたのだが、すぐに頭を押さえて正気に戻った、のだろうか。
「さてどうするか。俺を殺そうとしたのは明白だが………殺すのも面白くないな。
拷問するのも趣味じゃないし………」
本人の目の前でなにを恐ろしい思考を巡らせているのだと叫びたくなった。が、アリシアは自制する。
「はてさてどうする―――――ちっ、面倒なことに」
リョーカはテントなど構わずに跳んだ。
一気にテントの杭が抜け、リョーカが背に纏うマントのようになった。
そして、さっきまでリョーカが立っていた場所に大量の矢が降り注いだ。
テントでリョーカが見えていなかったにも関わらず、正確に放たれた矢。つまりはそういう事だ。
(カーマルと同等が3体。それより少し弱いくらいの奴が10体、か)
「みりいいいいいいいいいいいいいっ!」
リョーカの叫びと共にもうひとつのテントの中からひとつの大きな影が飛び出した。
リューシアを抱えたミリーだ。
「逃げるぞっ」
リョーカの呼びかけに首を動かして答えた。
ミリーも外の状況を見て察したのか、この短時間で少し冷や汗が滲み出ていた。
リューシアを抱えたミリーをさらにまとめて抱えたリョーカは黒い影となって高速でどこかに消えた。
後に残ったのは黒ずくめの人影。
「逃がしたか………追えっ!」
リーダー格の男がそう叫ぶとここに居るほとんどの人影は居なくなり、残ったのは命令をだした男とアリシアのみ。
「アリシア・ラヴァート・ビクトリア王女。お疲れ様です」
「良いから、貴方も行きなさい……………」
アリシアは俯き気味に答えた。
雰囲気はリョーカたちと旅していた時と正反対。
姿かたちも、ただ透明だった羽も、そこに引き込むかのごとく黒く透き通った羽になっていた。
八重歯も伸びて、はっきりと尖っている。
ただ、身長とBWHは変わらない。サキュバスとして、まだ子供だからだ。
「しかし、王女をひとりにするわけには―――」
「くどいっ! さっさと見つけて殺してきなさい!」
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『アリシア・ラヴァート・ビクトリア王女。お疲れ様です―――――』
「そういうことだったのか………」
アリシアも含めた全員が居なくなったところで影が3つ近づいた。
もちろんリョーカ、リューシア、ミリーの3人だ。
リョーカは崩れたテントの中に手を突っ込んでなにかを取り出した。
それは長方形の形をしていて、少しの光を発する。
地球で買ったリョーカのスマホだった。
自殺の際、くせでポケットにスマホを入れていたリョーカ。
今まで存在に気付いていなかった訳じゃない。
こっちの世界の奴らが見たら、どういう反応をするのかが分からなかったからだ。
カナンが「《クランガル》はこの世界で一番魔科学が進んでいるところだ!」と自慢げに言っていた。が、リョーカはそのクランガルの科学技術の程度を知らない。ならば大人しくしている方が得策だと思って隠しておいた。
「なに、それ」
「………これは、音を記録することもできる機械だ」
「おもしろそうだー。触らせて!」
「後からな」
やれやれといった感じでリューシアを軽くあしらう。
(奴らの会話は幸いにも録音出来ていた………しかしこれは)
「もし、そうなら、アリシアは」
「―――――バルケイト第一王女アリシア・ラヴァート・ビクトリア。それくらいは俺でも教えてもらったが………」
リョーカとミリーは一緒にため息を吐く。
でも、とリョーカは会話を続けた。
「これで謎は解けた―――」
「ほん、と?」
「ような気がする………」
「お父さん、締まらない」
「お兄ちゃんっ! なんのことか分からないけど、今すっごく情けなく見えたよ!」
「うっさい。確証がない以上、言い切るわけにもいかないだろ」
軽く拗ねたような表情となるリョーカをみて二人は安心した。
さっきまで、今までなかったほどに静かな怒りを見せていたリョーカを見ていたから。
いつもが優しいだけに、余計に。
「じゃあ、予想を教えて?」
「はぁ。まず、アリシアが魔族と妖精族のハーフだってのは教えたよな」
「「うん」」
「バルケイトの第一王女が人間のDNAを一切持っていないのなら、それはどういう事か。ミリーになら分かるだろ?」
「DNAっていうのが、分からない」
「簡単に言うと子供が親から受け継ぐ、親の成分だ。子どもが親に似るのはそういうこと」
「ん、じゃあ、わかった」
リューシアはふたりの会話についていけてないのだろう、オロオロと首をリョーカ→ミリーという順番で繰り返し見ていた。
リョーカは最初からリューシアが難しい政治の話が分かる訳ないと確信していたので、フォローはせずに頭を撫でて、ミリーに続けるように言う。
「つまりは、バルケイトの王家、それの親族、家臣。いずれかの一部、または王国そのものが、魔族に乗っ取られている、ってこと?」
最後は疑問形にあったが、リョーカは頷いた。
「そうだ。アリシアは、母親が人間の貴族に嫁入りしたって言ったり、人間から命令されて妖精族の集落襲撃の手伝いをさせられたと言ってはいたが、それは裏切りを行ったアリシアの言葉だ。十中八九どころか、120%嘘だろう」
「そして、さっき襲ってきたのも、全員魔族。それは、私にも分かった」
「つまりこれは、「「今すぐにバルケイトに戻った方が良い」」
リューシアは遂に泣き出してしまった。
そんなに話についてこれなかったのが寂しかったのか、マジ泣きだ。
「分かった分かった。移動の時に説明するから、大丈夫だ」
「ひぐっ、絶対……?」
「ああ、お兄ちゃんがリューシアにも分かるように説明するから」
リョーカは今すぐにでもリューシアを抱いてやりたいと思っていた。
「なんでこんな可愛い生き物が居るんだ!」と叫びもしたかった。
しかし状況が状況、空気も読むなら出来るはずもなかった。
「取り敢えず、移動だ。今すぐに、全速力で。二人とも俺が持ってやる」
「えぇ~、またあの速さで走るの?」
「わ、私は別に///」
「遠慮すんなって」
軽々とふたりを抱え上げ、そして片足を引いて走る準備。
リューシアは過去に体験したリョーカの速さを思い出してげんなり、ミリーは顔を赤くして待っている。
「じゃ、できるだけ休みなしで行くぞ。最低1日、いや1日と半日はかかるか」
リョーカは一気に、ロケットのように駆け出した。
さっきまで女の顔をしていたミリーも、流石に顔を青ざめた。
というわけで、アリシアは悪魔と妖精族のハーフでした。
それにいきなりのリョーカ暗殺(未遂)。
いったいどうなっているのか。どうなるのか。
これから一気に今までのフラグを回収していきます。
バルケイト篇が終わって回収し忘れたフラグがあったら教えてください。
こちとら行き当たりばったりで書いてるんじゃあ!………
《次回はリョーカが出てこないかもしれません。出てくるかもしれません》




