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王宮24時! ~婚約破棄、その舞台裏~  作者: ミズアサギ
8時

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7/23

王太子と第二王子


 レオンハルトはいつも通り、夜明けと共に起床して軽く剣を振った。

 一見、いつも通りの朝。

 レオンハルトの側近たちはどこか緊張した面持ちで、言葉少なく自分の仕事に就いていた。

 


 朝食を終えたレオンハルトは、兄である王太子の元に向かった。最近訪れる機会が増えたためか、王太子の近衛たちもさっと通路を空けてくれる。

 レオンハルトは兄の近衛たちに手を挙げると、颯爽と兄の執務室へと向かった。

 その執務室では、兄アルベルトと側近たちが既に仕事を始めていた。


「兄上、お早いですね」


 レオンハルトは自分がゆっくりし過ぎたと猛省した。が、アルベルトはレオンハルトに笑顔を見せる。


「おはよう、レオンハルト。偶然、皆いつもより早くに集まっただけだ」

 

 それを聞いて、レオンハルトは少し安心した。アルベルトが続ける。


「それに今日はお前にとって大切な夜会がある」


 アルベルトが「夜会」と言った瞬間、レオンハルトは空気が張りつめるのを感じた。

 アルベルトは側近たちに執務室を出るように言いつけた。



 執務室にはアルベルトとレオンハルトの二人だけが残った。

 幼い頃はよく似た兄弟と言われたが、大人になった今、二人が似ているところはゴールドの髪と青い瞳ぐらいだ。レオンハルトに比べると人の良さそうな顔をしたアルベルトが、珍しく険しい顔つきになる。


「準備は出来たか」


 レオンハルトはみぞおちを押さえながら、短く答えた。


「はい」


 アルベルトはそんなレオンハルトの様子をしばらく見ていたが、やがてため息を一つ吐くと、自らお茶を淹れだした。

 湯気の立つ小さめのティーカップがレオンハルトの前に置かれる。湯気からは独特の香りが漂う。レオンハルトは嫌な顔をした。


「またですか?」

「まただ。飲め」

「苦い割には効きませんよ」

「知っている。気休めだ」


 レオンハルトは諦めてティーカップを受け取った。苦いような甘いようなそのお茶は、正直口に合わない。レオンハルトの歪んだ顔を見てアルベルトが苦笑いした。


「昨日は寝られたか」


 アルベルトの問いに、今度はレオンハルトが苦笑いをした。


「まあ、そうだよな」


 二人は苦笑いしながら視線を落とす。


 

 執務室の扉が開いたのは、それから一時間後だった。


 レオンハルトが出て行った執務室のテーブルには、半分飲み残した冷えた薬茶が置かれている。アルベルトはそれを一瞥すると、再び膨大な書類にペンを走らせた。

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