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終末世界、AIと生きていく  作者: 雛月 みしろ
1章:”シエスタ”
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2053年9月17日 午後:南r-26b地区

 お昼休憩をはさみ私は南r-26b地区に来ていた。地区名は“ルシエラ”で管理しやすいように観測カメラの設置と同時に割り振ったもので正式なものではない。この辺りは埋め立て地で人工島になっているから割り振ったものにさらにa、b、cと付け加えている。私は鞄から手帳を取り出して簡易的な地図と現在地を照らし合わせて未探索の建物を探す。と言ってもここら辺の建物はほとんどが未探索なんだけど。

「あの大きな工場?にしようかな」

私は探索する建物を決めて歩き始めた。


 建物に近づき正門を探すためにフェンスに沿って歩く。しばらく歩くと門が見つかり手帳に大まかな位置を記録する。そして敷地に入り一番近くの棟に近づいていく。入り口は簡単に見つかった。そして扉は施錠されていなかった。私はそのまま扉を開けて中に入る。

「あれ?思ったよりも綺麗」

建物内は10年間も放置された建物とは思えないほどに綺麗だった。でも何があるかわからないし注意して進もう。


「えっ、嘘……でしょ」

探索を開始して数十分。この建物が綺麗な理由がわかった。この建物はまだ生きている。おそらく管理AIが生きているんだろう。清掃用のロボットと整備用のロボットが多いとは言えないとはいえ稼働している。そしてこの工場は自動車の製造工場と思われる。ここの管理AIを見つけることができたら大きな進展があるかもしれない。となれば今優先するのは管理AIを見つけること。少し離れた場所にここより小さな建物があったような。管理AIがあるとすればそこかな。私は一度工場を出てその建物に移動した。移動した先の建物も施錠されていなかった。そして予想通りこの建物はこの工場の心臓部のようだ。建物内の地図がないので1階から探すしかないけど多分日没までには見つかるはず。


管理AIを探し始めてからおそらく20分くらい。最上階となる3階で管理AIを見つけた。そこまで広くなかったこともあって案外早くに見つけることができた。

「管理者様聞こえていますでしょうか?」

私は管理AIに問いかけてみる。ここのロボット達が生きているから管理AIもおそらく生きている。

『何でしょうか?』

管理AIは予想通り生きていた。

「まずはあなた様をなんてお呼びすれば良いですか?」

『私は“シエスタ”と呼ばれております』

「“シエスタ”様ですね。私は“ユラ”と申します」

私は“ルシエラ”に登録している名前と同じものを名乗る。

『“ユラ”様ですね。私に敬語は不要でございます。用件は何でしょうか?』

「まずは“シエスタ”、あなたは現在の外の状況を把握していますか?」

この工場についてとか聞きたいけどまずは今の状況とかどこまで知っているかとかの共有が優先だよね。

『いえ、全く把握しておりませんが2043年9月16日13時27分36秒に突如本社、サーバ、他の工場との通信が途絶。同日の13時38分5秒と13時47分28秒に通信衛星からの緊急信号を受信しましたが応答がなく詳細不明。その後、通信が復旧せず、従業員や来訪者が確認できなかったことから人類の存続に関わるような災害が発生したと推測しております』

「ありがとう。だいたいそんな感じ。10年前の9月16日、突然青白い光が発生したかと思えば都市が崩壊していて私以外の生存者は不明。こっちでも緊急信号を確認できたけど同じく応答なしで詳細不明。私が知っていることはこれくらい」

少ないけど私が持っている情報を“シエスタ”に共有しておく。

『そうなのですね。でもそれだと疑問が生じます。何故“ユラ”様は生存されているのでしょうか?』

「わからない」

そう、わからないのだ。他の生存者も動物もいなければ動物の死体すらない。

「私からも質問するね。この工場は何を作っていたの?」

『この工場ではVTOL自動車と整備用ロボットの製造をしていました』

予想通りこの工場はVTOL自動車の製造工場だったみたい。これは運がいいかも。

「ここの設備はまだ使える?」

『はい。ここ、管理棟、VTOL自動車製造ライン、整備用ロボット製造ライン全て稼働可能状態です』

よし、第一関門は突破。

「今ってここに動くVTOL自動車ってある?」

『おそらくはあります。2日ほどいただければご用意できるかと。納品していないものを解体すれば部品も取れますからしばらくは使用できるかと思います。お譲りしましょうか?』

「ありがとう。お願いしてもいい?」

第二関門も突破かな。あとは“ルシエラ”のパーツを作っていた工場がわかれば。

『わかりました。他に何かありますか?』

「榛名型用の部品を製造していた工場ってどこにあるかわかる?」

『はい、熊本県大津町、静岡県清水市、北海道苫小牧市の3か所で製造されていました』

ここから一番近いのは静岡か。車が手に入れば近い……よね?

「ありがとう。車を譲ってもらうお礼みたいになっちゃうけど何かしてほしいことある?」

『2つあります。1つ目は私の正式なマスターになってもらいたいです。2つ目は私の予備部品の調達をお願いしたいです』

マスター登録はすぐに終わるし部品の調達も多分できるはず。

「わかった。まずはマスター登録しようか」

『ありがとうございます。それでは“ユラ”様を正式なマスターとして登録、マスター情報の更新を行います。……更新完了』

「それで部品なんだけど“シエスタ”って榛名型?」

まずは“シエスタ”の型名を確認する。最新型のもがみ型だったら榛名型部品との互換性はない上に10年前に出たばかりだったから生産量も少ない。

『はい、私は榛名型です』

「ありがとう。それなら部品の調達できるかも。もしかして予備部品あんまりない?」

『はい。あと半年は大丈夫かと思われますがそれ以上は不明です』

半年か。静岡県の工場に使える部品が無かったらかなりギリギリになりそう。

「わかった。静岡の工場に使える物が無かったら優先して探すね」

『ありがとうございます。静岡工場の所在地はお譲りします自動車に登録しておきます』

「こちらこそありがとう。静岡工場の管理AIについての情報ってもらえる?」

静岡工場の管理AIが生きていなくて修復が必要な場合のために型名だけでも情報が欲しい。

『静岡工場の管理AIは“フジ”。私と同じ榛名型です。先ほども申しましたが静岡工場とも連絡が取れませんので現状は不明です』

「ありがとう。その情報だけで十分だよ」

よかった。これでなにかあっても多分問題はないはず。

「車はいつ取りにくればいい?」

『2日後のお昼ごろにはお渡しできるかと』

「わかった。2日後の午後にもう一度来るね」

私は“シエスタ”にそう伝えて私は管理棟を出た。さて、ここはもう探索済みにしていいかな。時間はまだあるしもう1か所探索してから帰ろうかな。

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