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終末世界、AIと生きていく  作者: 雛月 みしろ
1章:”シエスタ”
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2053年9月17日 午前:南a-25地区

 いつも通り目が覚める。いつもと同じ部屋、いつもと同じ風景。昨日と同じ風景。今でも心のどこかでは『これは悪い夢なんだ』と思っている自分がいる。カーテンを開け、外を見る。昨日から降り始めた雨は小雨になったみたい。これなら探索に行ってもいいかな?でも強くなるかもしれないから遠くまで行くのはやめておこう。

「おはよう、“ルシエラ”」

『おはようございます、“ユラ”。只今の時刻は2053年9月17日午前6時3分です』

「ありがとう。私が寝ている間に何かあった?」

約10年前から続く“ルシエラ”との朝の会話。私の拠点から半径約五キロの範囲には“ルシエラ”と接続されたカメラが点在している。他の生存者を探し始めてから少し経った頃、少しでも早く他の生存者を見つけたいと思った私は“ルシエラ”に相談した。そして出た結論はカメラを使用した定点観測だった。そして毎朝他の生存者が映らなかったか、何か変化はなかったかを報告してもらっている。

『はい。南:r-25地区の定点カメラとの接続が切れました。原因はカメラの劣化によるものだと思われます』

r-25地区……確かr地区はここから南東に1時間くらいの場所に割り当てた場所のはず。カメラの劣化なら交換が必要なはず。それなら今日は午前にカメラの様子を見て午後にr地区の探索をしよう。r地区は未探索の建物が他の地区と比べて多い地区だったはず。

「わかった。今日は午前中にそのカメラの様子を見に行って午後はそのままr地区の探索をしてくるね。だいたいいつもの時間には帰ってこれると思う」

『わかりました。現在のr地区の天気は小雨です』

「ありがとう。それじゃあご飯食べてから準備をするね」

私は“ルシエラ”に感謝と今からの行動を伝えキッチンに移動する。と言っても料理をするというわけではない。私は棚から保存食と水を取り出しテーブルに移動する。手料理なんて“あの日”の数日後から食べれていない。もう慣れてしまった食事を早々と済ませ部屋着から外用の服に着替える。いつもの動きやすさを優先した服装。もちろんお洒落をすることもあるけどそれは気分転換したいときだけ。着替え終わり部屋の片隅に置いているリュックを取り倉庫と化している寝室へ向かう。私の拠点はマンションの3階の2LDK。基本はリビングにベッドやテーブルが置いてあって基本的にはここで完結できるようにしている。他の2部屋は“ルシエラ”の予備部品や探索で見つけた物の倉庫と保存食や飲み物を保管する倉庫となっている。今日はいつも入れている物にプラスして定点カメラに必要な物一式を持って行かなきゃいけない。それとお昼ご飯……と言ってもこれも保存食なんだけど。棚からカメラとリュックの中に入っていない道具と消耗品を取り出し入れていく。

「……これで大丈夫かな?」

忘れ物があっても致命的なことはないけどできるだけ忘れ物はしたくない。すべて入っていることを確認してから隣の部屋に移動しお昼ご飯となる保存食と水、キャンプ用ガスコンロをリュックに入れる。もう一度忘れ物がないかを確認してリビングに戻る。

「“ルシエラ”今何時?」

『只今の時間は6時51分です』

いつもだったら出るには少し早い時間。だけどカメラの修理……というか交換もあるしもう出よう。

「ありがとう。少し早いけどカメラが気になるからもう出るね」

『かしこまりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ』

「いってきます」

“ルシエラ”にそう伝え私は家を出た。


 家を出てからだいたい1時間が経過したくらい……のはず。私は“ルシエラ”の報告があったr-25地区に到着した。ここの定点カメラは確か産業道路が合流する大きな交差点に建っているビルに設置していたはず。ここから近いし早く行っちゃおう。

「にしても久しぶりにこの辺に来たなぁ。前は半年ぐらい前に散歩で来た時だっけな?」

あの時は無性に歩きたくなって目的地も考えずにただ歩いていた。昔から嫌なことが合ったり考え事をしたいときとかは無性に外を歩きたくなるのが私の癖だった。お気に入りなのは深夜や早朝の時間帯。あの非日常感というか住んでいる町のいつもと違う姿はとても刺激的で好きだった。

「着いた。確かこのビルに置いていたはず」

そんなことを考えながら歩いているとあっという間に目的地に着いた。カメラは上層階に設置しているわけじゃなくて3階に設置している……はず。私はビルの中に入り階段を上っていく。

「さて、カメラの状態はどうなっているかな?」

3階に着き設置しているカメラの様子を見る。見た目は何もない。ケーブルも大丈夫そう。発電機も大丈夫そう。つまりは。

「あっ、やっぱり本体がだめになっている。交換したら治るかな」

私は鞄を置き、中から持ってきたカメラを取り出す。カメラは固定した三脚にカメラを設置しているのでドライバーやレンチといった工具は必要ない。カメラからケーブルを抜き三脚から外す。持ってきたバッテリーに取り換えて起動しようとしたがやっぱり起動しない。レンズ交換式カメラなのでレンズはそのまま使えるから本体からレンズを外し新しいカメラに取り付ける。三脚に取り付ける前にさっきのバッテリーを移して一度電源をつけて問題がないか確認する。問題がなさそうなので三脚に取り付けてケーブルを繋げる。繋げているケーブルは2種類。一つは電源を確保するためのケーブル。もう一つは“ルシエラ”と繋がっている光ファイバーケーブル。“あの日”以来インターネットが使えないので“ルシエラ”に繋がっているカメラは全て光ファイバーケーブルで繋がっている。なので拠点のケーブルがすごいことになっている。もちろん綺麗に配線はしている。カメラの設定を確認して本体の液晶モニタで映りを確認する。

「映りも問題ない。これで大丈夫かなぁ。あとは帰ってから“ルシエラ”側で確認しないとわからないなぁ」

ここからじゃ“ルシエラ”側の映像が見れないので問題がないかを確認はできない。なので今できることはここまでだ。さて、交換も終わったことだしとりあえずお昼までは久しぶりにこの辺りを探索しよう。今日の目的を終わらせたのであとはゆっくりと探索するだけ。鞄から探索用の手帳を取り出して確認する。

「南r地区、南r地区。……あった南r-25地区」

どうやらこの辺りの建物はほとんど探索しているみたいけど少し離れた建物は未探索の建物が多いっぽい。探索していない建物の多さで言ったらここから近いr-26地区も未探索の建物が多いみたい。あっち側は工場が多かったはずだし。生きている機械があれば……いや、流石にないよね。それでも“ルシエラ”の部品は見つかるかもしれない。ならお昼からはr-26地区に行こうかな。そうと決まればr-26地区方面に移動しながら未探索の建物の探索をしよう。今日のこの後の動き方を決めたので私は壊れたカメラや出した物を鞄に仕舞い、建物の外に出てr-26地区方面に歩き出した。

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