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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から這い上がる復讐譚  作者: あきお


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第5話 右手の中の魔人

※本作にはTS要素があります。

「え!?誰!!?」


女の声に驚き、急いで辺りを見回す。

しかしどこを見ても、この部屋に人影は見当たらない。


あるのは、空の台座と狼の死骸だけだ。


「あれ……宝石は?」


台座の上には、確か宝石があったはずだ。

なのに今は見当たらない。


『おい』


「はい!?」


またも女の声が聞こえる。


『どこを見ておる。ここじゃ、ここ。』


「ど、どこですか!?」


なんだろう。

女の声は聞こえるのに、姿はない。


というか、正確に言えば頭の中に直接響いているような奇妙な感覚だ。


『まぬけめ。右手の甲を見よ』


「手?」


手に何があるんだ?


と言うかむしろ、喰われたと思った手があったんだけどさ。

それはともかく、言われた通り右手を見ることにした。


すると右手の甲に、何かがある。

丸いものが皮膚の下で蠢く、異様な感覚。


甲の皮膚が上下に開き――目玉が見えた。


それはギョロリと動いて、俺と目が合う。


「うわ、キモ!」


『何じゃと貴様!』


「うわあ、ごめんなさい!」


『せっかく助けてやったと言うに、何じゃ貴様、その態度は』


「え……?」


その言葉に偽りはない。

何故かそう感じた。


つまり、この何だか偉そうな目玉?が俺を助けてくれたらしい。


「という事は、あの狼は?」


『妾が倒した』


「……どうやって?」


『貴様の身体を触媒に、妾が受肉したのじゃ。受肉した途端襲いかかってきたもので、思い切り殴りつけてやったわ』


「な、殴ってあんな穴、空くんだ?」


『この程度、造作もないわ』


待て。


造作もないという事はつまり、今の俺にもそれだけの力が?

こんなスーパーパワーがあるなら、誰にも負けないんじゃないか!?


「もしかして、俺もその力使えるの?」


『無理じゃな』


即答かよ。


「な、何でだよ」


『貴様がヘボだからじゃな』


ヘボて。


「いや、でも同じ身体でしょ?」


『いいか。同じ身体であっても、魔力に対する資質が、妾と貴様とではまったくと言っていい程違うのじゃ』


「……?」


よく分からないけど、聞いておこう。


『妾の持つ魔力回路のほとんどが、貴様の支配環境下では閉じてしまっておる』


「えー、つまり?」


『何と言ったものか……そう、そうじゃ。

魔力は水、魔力回路を水路の様なものだと思うが良い。』


……いやに素直に教えてくれるな?


『妾の水路は、大量の水を流すための整備がなされておる。反面、貴様の水路は、土や泥で詰まり、まともに流すことができん。それでも無理やり水を流そうとすれば……どうなるか、分かるか?』


「溢れかえる?」


『その通り。魔力が流せなければ、力が出せん。それだけでなく、無理に使えば自らを痛めてしまうというわけじゃ』


……分かったような、分からないような。

ひとまず、使えなさそうってことだけは分かった。

残念。


「うん、ありがとう。」


『良い良い。他に聞きたいことはないか?』


おお。

何か、いつの間にか質疑応答タイムになってる。

聞きたいことは……そうだ。


「あのさ、さっき“受肉”って言ったよな?それってどういう意味?」


『うむ。簡単に言ってしまえば、貴様の身体を使って妾が顕現した、ということじゃ』


……嫌な予感がするぞ。


「えー、お前の力で、俺を女の身体に変えたってことだよな?」


『左様』


「それで、男に戻ることは?」


『無理じゃな』


また即答かよ。

つーか、どういうことだそれは!


「何でだよ!?」


『良いか?妾の魔力で、貴様の身体は作り直されたのじゃ。更に片腕を失っておった分、本来のサイズよりも小さく形成されてもおる』


それは何となく分かる。

以前より、俺の視界が地面に近い。


『もし貴様が、どうしても男に戻りたいのであれば、単純に妾より強い魔力回路を持つことができれば可能じゃ。』


「俺が魔力を使い慣れればいいのか?」


『最後まで聞け。しかし、妾は魔人で貴様は人間。我らは人より魔力の操作に優れておる。故に“魔人”と呼ばれておる』


聞きなれない単語はあるが、流石にここまで言われれば、馬鹿でもわかる。


「つまりは、無理ってこと?」


『そういうことじゃ。言うておくが、仮に戻れたとしても喰われた右手は戻らんし、諦めるのが無難じゃぞ』


「マジかよ……」


でもまあ、生きてるだけマシか。

死んじまうより、何十倍もいい。


「あとひとつだけ。なんで俺が、そんな身体を操作できてんの?」


『それは……』


ん?歯切れが悪いな?

今まで、スラスラ答えてくれたのに。


「それは?」


『……の……じゃ』


「なんて?」


『……妾のミスじゃ!あの時、お主が死んだと思うたから触媒にしたのじゃ!

だというのに、貴様が死んでおらんかったお陰で、元の持ち主である貴様に操作権が戻ってしもうた。

そして妾の意識は、ここに追いやられたというわけじゃ!』


ハハーン?あわてんぼうだな?コイツ。


『正直に言えば、妾も焦っておったのじゃ。……気が遠くなる様な年月、ここに封印されておっての』


「それで、右腕を噛み切られた俺を見て、死んだと判断したって訳か」


『有り体に言えばそうじゃ』


経緯はともかく、コイツのお陰で結果として生き残れたんだ。

性別は変わっちまったし、右手に奇妙な同居人も居付いちまった。


が、せっかく拾った命だ。


右腕を喰われた時、ついでに奴隷の腕輪も喰われ、晴れて自由の身になった。

これから、新しい人生を送るってのも悪くないかもしれない。


「それはそうと、ここってダンジョンのどの辺なんだ?」


『ここか?最奥じゃ。そもそもこのダンジョンは、妾を封じるためのダンジョンじゃからな』


「……最奥って、嘘だろ?」


何のスキルもない俺が、どうやって一番奥から脱出すればいいんだよ。


しかも、この身体で。

読んでいただきありがとうございます。

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