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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から強者を叩き潰す  作者: あきお
第1章 奴隷、地上へ

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第30話 僕の依頼を受けてくれませんか?

※本作にはTS要素があります。

中から聞こえてくる、突然の悲鳴と何かが割れる音。

俺は扉を蹴り開き、薬屋へと突入した。



するとそこには――



床には割れた薬瓶が派手に散らばり、店主らしき男が倒れている。


「おい!大丈夫か!?」


俺が声を掛けると、男は顔を上げた。

鼻血は垂れているものの、無事のようだ。


「いやあ、転んじゃいました」


ヘラヘラと笑いながら薬屋は答える。


「薬瓶で両手がふさがってて、それで足を引っ掛けたもんだから、派手にやっちゃいましたね」


「……こけただけなら、よかったです」


何だよ、人騒がせなやつだな。

ともあれ、何事もなくホッとした。


「よくありませんよ!貴重な解毒薬だったのに!」


男は大層な不満を見せるが、割ったのは自分自身だ。


「で?あなた方は何の用です?……失礼ですが、当店で扱っている薬はどれも高いですよ?」


薬屋の男は立ち上がり、鼻血を拭う。

俺の見た目で判断したんだろう。

刺さる視線を、眼鏡の奥から向けてくる。


ボロが一人に奴隷が三人。

奴隷を連れてはいるものの、誰が見たって貧乏人だ。


「いや、違うんだ――」


「ゴホン」


カイルの急な咳払いで、咄嗟に言葉が引っ込んだ。

“言葉遣いに気をつけて下さい”

カイルの目が、俺にそう訴えかける。


「……違うんです。私たちは、ポーションを買い取って欲しくて、寄ったんです」


俺はバッグからレアポーションを取り出し、薬屋に見せる。

薬屋の眉がピクリと動く。


「……見せて頂いても?」


俺は頷き、ポーションを薬屋に渡す。

薬屋は手にしたとポーションをマジマジと見つめ、斜めにしたり、少し振ったりして観察をする。


「……これをどこで?」


「……ダンジョンで。私は、こう見えて冒険者なんです」


「失礼ですが、とてもそうは見えないですね」


薬屋は、はっきりと口にする。


「もしそうだとしたら、あなたの冒険者証も見せて頂けますか?」


「え?」


冒険者証……って何だっけ?

もしかして、冒険者はみんなそれを持ってるのか?


「……えーっと」


それがどんなものなのか、分からない。

どんなものか分からない以上、提示は愚か、偽造もできない。


「ふむ、お持ちでないと。失礼ですが、まさか盗品――」


「違います!」


盗品という単語に、つい彼の言葉を遮ってしまった。


「これは、私が生き抜いた、勝ち取った証なんです。断じて、盗品ではありません」


そう、これは紛れもない、文字通りの戦利品だ。

それを盗品呼ばわりされるのは、我慢ならない。


「……」


薬屋はあごに手をあて、何やら考え込んでいる。

そして考えが決まったのか、彼は俺にひとつの提案を投げてきた。


「では、僕の依頼を受けてくれませんか?それを無事達成できたら、こちらを買い取らせて頂きます」


「……いいんですか?」


意外だった。

この条件なら俺にとっても悪くない。

もちろん、依頼の内容次第ではあるのだが。


「ええ、構いません。」


「どうしてですか?自分で言うのも何ですが、怪しいですよね、私」


俺は素朴な疑問を口にする。

あれだけ怪しんでいたのだから、そもそも買取の話し自体なしになるかと思っていた。


「決まってるでしょう……

そのポーションが欲しいからです!」


見た目からは想像もできない大きな声が、店内に響きわたる。

薬屋の、魂からの叫びだった。


「これ、再生のポーションですよね!それも高純度の!」


「え、は、はい。」


俺は薬屋の突然の圧に圧倒される。


「それも恐らく、超高純度の!ダンジョンからの採取も難しい、レア中のレア!

こんなものを見せつけられて、買い取れません、引き取ってください。

何て言えますか?いや、言えません!

今すぐ買い取りたい!だって研究したいんです!!何なら自分の腕を切り落として試したいまである!!!」


男は早口でまくし立ててくる!

何だ!?ポーションマニアか何かか!??


「……ですが、冒険者証がなければ買い取るのは無理なんです」


うわあ!急に素に戻るな!


「……それは、どうして?」


「ダンジョンからの採取物は、採取した冒険者の情報を、書類に頂くのです。それをギルドに提出して、人物の相違がないかの確認を行う。

つまり本人確認が出来なければ、そもそも買取りができないのです」


冒険者なら誰でも持ってる冒険者証を提示できない。

俺が冒険者でないことは、はじめからバレていたわけだ。


「ですが、盗品ではない、という言葉に嘘はなさそうでした。貴方の言葉には、誇りと自負があった。

ではあなたが何者で、どうやってダンジョンから生きて戻ったのか?」


薬屋にも事情を説明するしかないのか。

言い方を間違えると、警備兵を呼ばれてしまうかも知れない。


「……などということは、僕にとっては何だっていいんですよ。そのポーションさえ手に入れば」


なんと。

また何とも変わり者がいたものである。


「では……依頼というのは?」


「はい。本来なら、冒険者になるにはテストが必要となります。特に重視されるのは、戦闘系のスキルの可否」


……それだと、俺は確実に落ちる。

何せ“悪運”しか持っていないんだ。


「ほかにも、身体能力や魔力の測定、座学など。とにかく時間がかかるんです。大体、半月ほど。まあ不適格者を弾くためですね」


それだけの適正テストをしていても、奴隷の扱いが酷い奴らは存在するわけで。

逆にテストの内容が気になる……が。


「そんなに待つ時間は……」


「ですが……街の住民からの直接依頼なら、話は別です」


「そうなんですか?」


「ええ。住民からの直接の依頼であれば、

“この人にはこれぐらいのことができる、人格にも問題なし”

と、その住民が責任を持って判断したということになります。

そうすることで、ギルドから仮冒険者証が発行できるんです」


なるほど。

しかし、仮っていうのが引っかかる。


「仮、というのは?」


「そう、あくまで仮です。測定もせず、まだ実績もないわけですから。その代わりに、依頼を達成できるかどうかを見せてくれればOK何です。

そうする事で、仮ではなくなります。

そうなれば、僕も堂々と買い取れるというわけです」


「つまり、買い取ってもらうには、依頼を達成するしかない、という事ですか?」


「はい、その通りです。待てないのならそれしかない」


……やるしかない。


この人の依頼を受けて、本物の冒険者証を手に入れよう。

そうすればポーションを売れるだけじゃなく、街での身分の証明にもなる。

生きる上での大きな武器だ。


「わかりました。依頼、お受けします」


俺の決意に満ちた目を見て、薬屋はニコリと微笑む。

落ち着いて顔を見てみると、ボサボサの髪にだらしない格好だが、ツラがいいなこいつ……。

いや、何考えてるんだ、俺は。


「あの、依頼を受けるに当たって、相談があるんですが……」


「はい?何でしょう?」


「身なりや武器も揃えたいので、前金とか……頂けませんか?」


「……依頼の前に、確認するべきことがありそうですね」


深いため息を吐き、薬屋は椅子に腰を掛ける。

手で俺たちにも椅子に座るよう促す。



「まず、お互いの自己紹介からしましょうか。

――僕の名前はオスカー。

よろしくお願いします」

読んでいただきありがとうございます。

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