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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から強者を叩き潰す  作者: あきお
第1章 奴隷、地上へ

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第21話 鉄の守護者

※本作にはTS要素があります。

目の前あるのは、異様な雰囲気を纏う大きな石扉。

この先に“何か”がいる――そう確信させる圧がある。


「ここに……守護者ってのが?」


『うむ』


ゴクリ


口に溜まる唾を飲み込む。


嫌でも想像してしまう。

いきなり襲われたら?

手も足も出なかったら?


不吉なイメージが頭をよぎる。

俺は頭を大きく振り、イメージを振り払った。


『どうした?怖いのか?』


バルフェリアは煽る。

しかし、俺の覚悟を確かめているようにも聞こえる。


「……舐めんなよ」


だからその煽りも、俺のケツを叩くためのハッパかも知れないと思うと、少しだけ緊張がほぐれた。

そして俺は、意を決して、その重い石扉に手を掛けた。


「んっ!」


めちゃくちゃに重い。

俺は息を止め、全力で扉を押した。


ギ、ギ、ギ、ギ……


すると、鈍い音を立てながらゆっくりと扉が開いていく。

何とかひと一人が通れるほどの隙間が出来た。

そこにするりと滑り込み、俺は部屋の中へと潜り込んだ。


力の支えを失った扉は、音を立てながらゆっくりと閉じる。


「これで逃げ場は無くなった、ってわけか」


部屋はドーム状のだだっ広い部屋だ。

俺の逆側に、もうひとつの扉が見える。

あそこの先が、上層に続く道に違いない。


部屋の中央には、ゆうに二メートルは超えるであろう、立派な鉄の金属製の像が立っていた。


「重そうな像だな」


『あれが守護者じゃな』


「あれが!?」


俺の声に反応をしたのか、その像はゆっくりとこちらに顔を向ける。


『アイアンゴーレムじゃ』


「アイアンゴーレム?」


『魔力で使役される、鉄の人型人形。魔物としては、割とありふれた類じゃ。しかし、強さは術者の魔力と、刻んだ魔力回路による』


バルフェリアは続ける。


『そしてあの魔力。あれは――このダンジョンで巨狼の次に強い』


マジか。


「ってことは、かなり術者が強い……?」


『その通りじゃ。この魔力、懐かしく……忌々しい』


「それって……もしかして」


『レギュラスじゃ』


心臓が跳ねる。

レギュラス。

バルフェリアと同じく、魔人だという。


そんな魔人が使役する、アイアンゴーレム。

一体、どのくらい強いのだろうか?

……いちかばちか、交渉とか出来ないかな。


「なあ、使役されてるなら、多少は言葉とか通じるんじゃないか?」


『ものにも寄るが――』


言葉が通じるかもしれない。

その可能性はあるらしい。

俺は距離を保ちながら、アイアンゴーレムに声を掛ける。


「おーい!敵意はないんだよ!通してくれないかなー?」


その瞬間、アイアンゴーレムの瞳に意識が宿る。


「貴方は、誰、ですか?」


「うわ!喋った!」


『貴様……』


やめろ、バルフェリア。

そんな目で俺を見るんじゃない。


気を取り直して、俺は話を続ける。


「ああ、俺は――」


「魔力、確認。対象、バル、フェリア」


アイアンゴーレムは、俺をバルフェリアだと断じた。

嫌な感じと言うか、嫌な予感がする。


「いや、俺の名前はアレックスって言って――」


「バル、フェリア。対象、バル、フェリア」


おいおい、話が通じないぞ。

もう少し俺の話を聞いてくれよ。


「いや、だから。俺はバルフェリアじゃなくて」


「バル、フェリア。排除対象。排除、排除、排除」


アイアンゴーレムの全身がほのかに光を灯し、こちらに対して身構える。

その姿は、さながら拳闘士のようだ。


『ほほう?アイアンゴーレム風情が、妾に勝てるつもりでおるのか?』


バルフェリアさんがお怒りだ。

だがちょっと待て、戦うのは俺だぞ。


「おい待て、戦うのは――」


『言うとる場合か!来るぞ』


ああ、もう!どいつもこいつも話を聞かねぇな!


俺は短剣を右手に持ち、相手の出方を伺う。


するとアイアンゴーレムはその鈍重そうな見た目とは裏腹に、俊敏な動きでこちらに迫る。

幸い、何か武器を持っている様子はない。


しかし――


「速っ!」


アイアンゴーレムは、左拳を素早くコンパクトに突き出す。

想像以上に速い。

短剣を顔の前に構えていたのが幸いし、拳は顔ではなく短剣を殴りつけた。



ガィン!



流石は鉄の塊、一撃が重い。

軽く小突かれただけなのに、俺は吹き飛ばされ、たたらを踏む。


「おっ、ととととと!」


『油断するな!』


「分かってるよ!」


アイアンゴーレムは重量を感じさせるステップを踏みながら、こちらを猛追してくる!


「チッ。リーチはこっちも負けてねえ!」


短剣と拳が交じり合い、目の前で火花を散らす。

俺は拳を弾きながらリーチを保って、攻勢に出るべく隙を伺う。


アイアンゴーレムは左、右、左と、戦い慣れた拳闘士のようなコンビネーションで俺を攻め立てる。


奴が一歩踏み出すだけで床が軋む。

拳が空気を唸らせる。

鉄拳の衝撃が、刃を通して伝わってくる。


短剣のおかげで、何とか反応できているが、一瞬の油断で状況はガラリと変わるだろう。

防具もない状態で、鉄の塊から殴られようものなら、骨も内臓もぐちゃぐちゃになるに決まってる。


男の体格でも到底無理だろう。

女の身体である今なら、なおさらだ。


一発でもいいのをもらえば終わる。

といえば絶望的だが、一発もらえば終わるのは別に今までと変わりはしない。

腹を括れ!



弾く、弾く、弾く。


ガン、ガィン、ガキィン!



弾くたびに金属同士の衝突音が響き渡り、焦げ臭い匂いが辺りに漂う。


「バル、フェリア。排除」


「だから、違うっつってんだろ!」


俺を殺す。

なら百歩ゆずって許すが、ずーっとバルフェリアと勘違いされてるのは流石にしゃくだ。

体内の魔力のせいで勘違いされてるんだろうが、イライラするのは間違いない。


しかし、こうも攻め立てられると、隙を伺うにもタイミングが掴めない。

人形が息切れして動きが鈍るとも思えない。

魔力切れとかあるかもしれないが、それにしたっていつ切れるのか見当もつかない。


攻撃を交えながらも観察は絶やさない。

どうやら、本当に全身鉄の塊のようだ。


「くそっ!弱点とか、ありそうに見えねえな!」


弱点になりそうな部分が、俺には見つけられない。

スライムみたいに核とかあるのかも知れないが、何せ全身鉄製だ。

どうすれば核に届くのかもわからない。


先ほどから短剣の刃がぶつかるのは、拳とのみ。


「待てよ……」


……拳とは、ぶつかる。

火花が散る。

つまり強度はほぼ互角。


なら単純に、今より強度を上げてしまえばいい!


「バルフェリア!短剣に魔力を通せるか!?」


『む?ほんの少しなら、問題ない』


「今より強度が上がればいい!できるか!」


『言うまでもない!レギュラスの人形なぞ潰してやれ!』


短剣に魔力が通り、柄を握る手にじわりと熱が伝わり、刃が淡く光り出した。


その短剣で攻撃をする、と言うよりは拳を斬りつけるように手首でスナップをかけ、拳に“当てにいく”。


ギャリィン!


「思った通り!」


今までよりも激しい接触音。


そして、鉄片が宙を舞う。

奴の拳が、削れた音だ。

魔力を通したことによって、短剣の強度が奴の拳を上回った。


「それそれそれ!」


俺は幾度となく斬りつけ、奴の拳に無数の傷を入れる。

そしてついに――



バキィン!!



奴の左拳は限界を迎え、砕け散った。

大きな破片がガシャリと音を立て、地面へと落ちる。

砕けた破片の中には、赤黒く光る線がいくつも走っていた。

あれが、魔力回路か。


おっと、ここで気を逸らすな。


「ここがチャンスだ!」


このチャンスを逃してたまるか!

俺は奴の胴体を斬りつけようと、大きく踏み込み短剣を振るう。

そして奴の胴体を捉える――


フォンッ


短剣は虚しく空を切る。

刃は奴を捉えることなく、避けられた。


奴は拳が砕けた直後に、何の躊躇もなく左腕を肩口から切り離した。

奴は左腕一本分の重さを捨て、動きが一変した。


攻撃を当てられず、体勢を崩した俺の左側から、奴の右拳が顔面に襲いかかる。


これは避けられない、と本能が告げる。


俺は、咄嗟に拳と顔の間に左腕を滑り込ませ――



ボキン



骨が砕ける嫌な音が体中に響き渡る。

そして、重い一撃を受けた勢いそのままに吹き飛ばされた。

読んでいただきありがとうございます。

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