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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から強者を叩き潰す  作者: あきお
第1章 奴隷、地上へ

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第19話 VSスライム

※本作にはTS要素があります。

先ほど、もの凄い勢いで俺に襲いかかってきた“それ”を見る。

それはスライム同様、ウゾウゾとうねり、蠢いている。

動いているそれもゲル状であることから、恐らく、自分の一部を勢いよく飛ばして来たんだろう。


「自分の体を飛ばして来たって事かよ……」


そのなんともいえない気持ち悪さに、背筋に怖気が走る。


『それで?どう対処するつもりじゃ?』


「……飛んできたのを避け続けて、奴の体が小さくなるまで待つ、とか?」


『ふぅむ。あの体積が減り切るまで、どのくらいの時間がかかるのかのう。と言うか、それまで貴様が持つとも思えんな』


飛んできた奴の一部は、拳ほどの大きさだった。

対して奴の本体は、軽々と俺を包み込めるサイズ感である。

……そいつが見るからに小さくなるまで耐え切る?


バルフェリアの言う通り、それは現実的ではない。

俺がどこかでミスって、まともに食らうのが関の山だ。


『加えてほれ、あれを見てみよ』


言われて、蠢いていた奴の一部に視線を移す。

そいつはなんと、モゾモゾと元の場所へと戻るように、スライムへと近づいていく。


「まさか……」


そしてスライムの一部は本体に触れると、溶け込むかのように、本体と結合した。


「……マジかよ」


切り離してもまた再結合できる。

つまりヤツは、ほぼ無制限にあの攻撃を繰り出せるってことだ。


「こりゃ、避けきるなんて事は、そもそも無理ってことか」


『そう言うことじゃ。しかし近づけば、当然アレが飛んでくるじゃろうな』


「分かってるよ」


だが、近づかなければ倒すことは叶わない。

それなら、リスクを承知でやるしか無い。


本体の動きが鈍いのは間違いない。

それなら何とか動きを見極め、短剣を使って倒したい。

今後のためにも、経験は必要だろう。


俺は戦う覚悟を決め、再度短剣を構える。


「さて――」


無闇に突っ込むような真似はしない。


体の投射攻撃をはじめる条件は?

それ以外の攻撃パターンは?

予備動作が無くとも、こいつの行動条件さえ分かれば勝機はある。


試せることは、全て試してやる。


「まずは……」


慎重に、じわじわと距離を詰める。


少しずつにじりより、確かめるようにスライムに近付いていく。

まだ動きはない。

そして、もう一歩、間合いを詰めた瞬間――



ピュッ!


スライムの一部は、距離感を錯覚させるほどの速さで、こちらに向かって伸びるように飛んでくる!

予備動作なんてものは当然見えなかった。


「くっ!」


しかし警戒をしていたお陰で、何とか避けきった。

直後、俺の背後で派手に壁にぶつかったであろう衝突音が響く。

そして二発目は……飛んでこなかった。


「……まさか、そういうことか?」


こいつは俺を捕食したいんだろう。

だが鎧野郎と同じだ。

意思を感じない。


この攻撃が本能に過ぎないなら、思考する頭は持ち合わせていないはずだ。

条件反射で行われている可能性がある。


「なら――」


この予感を確信にするために、俺はバッグから大きめの破片をひとつ取り出した。


「そらよっ!」


俺は手に握った破片を、スライム方向の対角線上へ勢いよく投げる。


ピュッ!


バゴォッ!


スライムが吐き出したその一撃は、勢いのままに破片を粉々に破壊した。

これは、決まりだな。


「アイツ、一定距離に入るまで攻撃行動を取らず、入った瞬間自動で攻撃をする、ってとこだな?」


『正解じゃ!』


そういう事なら、話は早い。

破片の数はまだある。


テンポよく破片をばら撒き、攻撃を誘い、小ぶりになったところに一発お見舞いしてやればいいわけだ。

仮に破片が足りなくなったとしても、攻撃開始の距離がわかれば回避は容易い。


『じゃが……侮りすぎるなよ?』


「当然。つっても、もうほぼ攻略完了だけどな」


バルフェリアはああ言うが、もう終わったようなもんだ。

俺は余裕を持ってスライムを見据え、早速作戦を実行するために立ち位置を調整――


「あれ?」


調整できない。

足が急に地面に張り付いたように、ピクリとも動かない。


「何だ?」


たまらず足元を見ると、そこにはなんと、スライムの一部が俺の足に絡みついていた。

地面と足に吸着し、俺がその場から動くことを許さない。


「くっそ!」


殴っても、短剣で斬りつけても、剥がれない。

全く効いてる様子がない。


『おい貴様、足元に気を取られている場合ではないぞ!』


「んなこと言っても……!」


ふと、俺の顔に影が差す。


顔を上げると、近づいてきた本体が風船のように大きく膨らんでいる。


ゾクリ

緊張が走る。


そしてスライムは、全身で覆い被さるように、俺を押し潰そうとする。


「うおおおおおっ!」



バシャアアアン!!!



俺は間一髪、靴を脱ぎ捨て、難を逃れた。

重く激しい衝撃音。

その場に留まっていたら命がなかっただろうことは、明白だ。


「あっぶねえ……」


投射を対応できる。

しかし、避ければ避けただけ、足を取られるリスクが増えていく。


そして、今の俺は素足だ。

次に足を取られたら、もう先ほどの攻撃を避けることはできないだろう。


だが、今の攻撃で見えたものがある。

あの瞬間、本体の中心で無防備になっている、核のようなもの。


「なあ、さっきの押し潰しの時に見えた核みたいなやつ……弱点だったりする?」


バルフェリアは少し驚いたように目を見開く。

そして、面白そうだと言わんばかりの口調で答える。


『その通りじゃ。アレを壊せれば奴は体の維持が出来なくなり、崩壊する。じゃが、チャンスは一瞬じゃぞ?』


「……はは、上等だ」


俺は口角を上げ、笑いながら答える。

時間をかければ、俺のリスクだけが増えていく。

アイツにゃ悪いが、短期決戦といこうじゃないか。


心臓が高鳴り、手が汗ばむ。

押し潰そうとするあの質量を頭の中でリフレインしてしまい、思わずぶるりと体が震える。


勇気が必要だ。

逃げたい気持ちを、無理やり踏み潰すほどの。


「おう、勝負しようぜ、スライム野郎!」


強い言葉で自分を鼓舞し、スライムの間合いに足を踏み入れた。

当然ながら、投射が襲いかかる。


「よっ、と!」


一発、二発、三発と、避ける。

距離は読めている、楽勝だ。


少しして、予定通り俺の足にスライムの一部が絡みつく。

ヌルッとして気持ち悪いが、倒すためだ。

このあと、俺を押し潰すために、奴は迫ってくるはずだ。


狙いはその時に無防備になる、奴の核。

潰される前に、この短剣で突き壊してやる。


「よし、こいっ!」


身動きが取れない俺目掛け、奴が圧殺しようとのしかかって――



来ない。



「は?」


何?足に絡み付いたのが合図で、のしかかってくるんじゃないのか?

予定外の行動への、一瞬の逡巡。


それを見透かすかのように――



ピュッ!



あろうことか、投射が襲いかかってきた!


もちろん、足は固定されてるので避けられない。

この状態で短剣で受ければ、大きくのけぞることになる。

そこにのしかかられると終わりだ。


「うおお!」


俺は避けるため、必死に膝を曲げ、顔を逸らす。


バチッ!


「痛っ……!」


奴の一部が俺の左こめかみをかすりつつも、何とか避けた。

鮮血が飛び、目の前にチカチカと光が弾ける。

かすっただけでもこの威力かよ!


『くるぞ!』


とどめとばかりにスライムは体を膨らませ、俺を押し潰そうと覆い被さる!

そこに見えるは、無防備な核。


息つく暇もないが、やるしかない!

この瞬間、絶対に逃してやるかよ!


「この野郎!死ぬのはどっちかなあ!?」


俺は右手の短剣を強く握りしめ、スライムの核に向けて、全力で突き刺した!

刃が核に沈み込む感触が、柄を通じて腕に、体に広がる。



一瞬の静寂。



核を破壊されたスライムは、その体を維持できず、ゆっくりと溶けるように崩れ落ちた。

足に絡みついていたスライムも、力なく崩れていく。


『また、危なっかしい戦い方じゃな』


「勝ったんだ……いいだろ」


……しかし、短剣で斬れない相手は、できればやめて欲しい。



などと考えつつ、俺はカバンに手を突っ込み、ピッキングツールを探しはじめていた。

読んでいただきありがとうございます。

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