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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から強者を叩き潰す  作者: あきお
第1章 奴隷、地上へ

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第18話 刃を突き立てろ

※本作にはTS要素があります。

横穴に逃れひと心地ついた俺は、横穴の通路を進んで行く。

行ける場所がそこしかないのだから、進むしかない。


「もう罠はしばらく勘弁してくれよ……」


『そのような顔をするでないわ。情けない』


寿命が縮んだと言っても過言ではない経験だったんだ。

顔ぐらい許してほしい。


そうしていると、程なくして行き止まりにぶつかる。

その壁には、上へと続くハシゴが掛けられていた。


「……これで上に戻れるのか?」


手をハシゴにかけ、力を入れて何度か引っ張ってみる。

充分な強度を腕で感じる。

どうやら、途中で壊れる様なことはなさそうだ。


気配を殺し、ゆっくりとハシゴを登る。

俺は、上から何か降ってこないか、壁に何かないか、警戒を解かずに進んでいく。


が、心配事が起こることはなく、梯子は終点を迎える。

俺は直ぐには登り切らず、そっと顔だけで覗き込む。


「ここは……さっき目指していた部屋かな?」


『位置関係から言って、恐らくそうじゃろう』


部屋の中を見回すが、幸い、魔物の姿は見えない。

俺は安心してハシゴを登り切り、部屋へと足を踏み入れた。


そこはしっかりとした広さのある空間。

片側には先ほどの通路の出入り口があり、もう片側には、



――階段が見える。



上へと向かう、登り階段。


今までは暗闇の中を手探りで進んでいた。

ここにきて、ようやく一筋の光明が見えたのだ。


「やった……やっとここまで……」


『感激するのはいいがの、まだあと十九層あるのじゃぞ?』


「む。いちいち水を刺すなよ……やっとの思いでここまできたんだ。素直に喜んだって、バチは当たらないだろ」


何度も何度も死にかけて、ようやく階段を、上への道を目の当たりにしたんだ。

喜ぶ権利はあるだろ?


『警戒を怠るな、と言うとるんじゃ』


「は?何もいないんだから、問題ないだろ?」


『貴様はそう思うか』


「……何だよ、意味深なこと言ってよ」


部屋に入る前にしっかりチェックしたし、罠がある様子もなかった。

それなのに、この期に及んで何を警戒すればいいって言うんだよ?


「とりあえず、階段を確認するか」


早速、階段前へと足を向ける。

喜びからか、足取りは軽い。

しかし、


――よく見ればそこには鉄格子。


俺の行く手を阻んでいる。

鉄格子の鍵を外さなければ、階段を登ることはできない。


「おい、これのことかよ」


『……どうかのう』


「罠もなさそうだし、ただ解錠すればいいだけだろ?」


『そうじゃのう』


素っ気ない。

どう言うつもりだ?


ひとまず、ピッキングツールを手に鉄格子の前に――


ゾクリ

背中に走る嫌な予感。


何だ?

……空気が、何となく湿っぽく、重い気がする。

再度周囲を見回すが、やはり何もない。


だが、嫌な予感は消えない。

もしかして、見えない魔物でもいるのか?

もしそうなら、何か対抗できる方法はあるだろうか?


「なあ……見えない魔物とかって、いるのか?」


『……確かに存在するが、このダンジョンにはおらんじゃろうな。それより、貴様がまだ見ていないところがあるのじゃが、それは良いのか?』


は?

そんなところ、あったか?

ない、とは思うが。


「見てないところ……」


もしかして――


「上か!」


咄嗟に飛び退くと、俺がいた場所にゲル状の何かが落ちて来る。



バチャアアアン!



かなりの重さを感じさせる、水の炸裂音。

あと少し遅れていれば、俺はあのゲル野郎に押しつぶされていたに違いない。


「うお、気持ち悪っ!」


『だから、警戒を解くなと言うたんじゃ』


「なら直接答えを教えてくれよ!」


『簡単に答えを教えると、つまらんじゃろ。自分で気付けてこそ、研ぎ澄まされるんじゃ』


お互いの憎まれ口もそこそこに、俺は短剣を構え、様子を伺う。


ゲル野郎はウゾウゾと蠢き、直径二メートルはありそうなサイズを形成する。

だが、動きは緩慢だ。

正直、鎧野郎よりも動きは鈍い。


「コイツなら、短剣の試し斬りにちょうどいいかもな!」


ゆっくり蠢くゲル野郎に、遠慮なく短剣を斬りつけるために、踏み込んだその瞬間。


ピュッ!


ゲル野郎から拳ほどの何かが、俺に向かって高速で飛んでくる。

咄嗟に短剣で身を守り、短剣の横っ面で飛んできた何かを弾く。



バチィィィン!



ものすごい衝撃と共に腕に走る痺れ。

危うく短剣を手放してしまうところだ。

そしてその衝撃は、俺の足を地面から浮かせるには充分な威力だった。


「うおっ!」


後方へ飛ばされた俺はゴロリと転がり、その回転を利用して受け身を取る。

俺はそのままゲル野郎に向き直った。

奴の動きは、相変わらず緩慢だ。

しかし――


「こいつ、予備動作がない……?」


どのタイミングで攻撃を飛ばしてきたのか、わからなかった。

背中に冷たい汗が伝う。


『スライムは不定形生物じゃからな。人型や動物型と違い、筋肉や捻りを使う必要がない。つまり、動作が読めないと言うことじゃ』


スライムって言うのか、あれ。

ひとまず名前はともかく、動きが読めないのはヤバい。


俺は魔物にしても、罠にしても、観察をすることで窮地を乗り越えてきた。

それが通用しないということは……俺の唯一の武器が封じられたってことに他ならない。


「……なあ、バルフェリア」


『何じゃ』


「どうすればいいと思う?」


『倒すしかないのではないか?鉄格子を開けようにも邪魔じゃろう?』


もっともだ。

この状況、邪魔になるなら倒すしかない。

というか、さっきも斬りかかろうとしたんだから、今更か。


正真正銘のガチの戦闘だ。


引っ掛ける罠もない以上、俺の力が試される。


「……やってやる」



――必ずアイツに、この刃を突き立ててやる。

読んでいただきありがとうございます。

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