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【ブラッシュアップ版】 モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~  作者: ボルトコボルト


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第98話 ただの雑草が特級ポーションに!? 護衛が驚愕する中、無自覚に神料理を作ってしまう

「おいおい、また『雑草』集めかよ!」

 あきれ果てた声が、街道に響く。


 声を上げたのは、護衛をしている裏ボスである剣魔のサイコ。


 その横では、同じく護衛をしている王女ブリュンヌが退屈そうにため息をついていた。


 二人の視線の先。


 そこには、熱心に地面の草をむしる俺――ソウタの姿がある。


「俺達は採取士だからね。これが本業なんだ」


「本業って……ただの草だろ? 金にもならねえ」

 サイコが吐き捨てる。


 脳筋武闘派である彼らにとって、地味な採取活動は時間の無駄にしか見えないらしい。


 だが、すかさず美少女たちの反論が飛ぶ。


「お兄ちゃん! その『草』で作った回復薬で、私は救われたんだからね!手伝ったらどう?」

 妹のジュネが頬を膨らませて怒る。


「いやぁ、ジュネに言われても草刈りはいやだなー」


「全く、お兄ちゃんたら………」


 さらに、ソウタを信奉するナナミも冷たい視線をサイコに送った。

「文句があるなら、手伝わなくて結構です。ソウタ様の凄さが分からないなんて、可哀想に……」


「ソウタ様! この薬草、根を残してナイフで切ればいいんですよね?」


「そう、大正解。ジュネは筋がいいね」


「えへへ、ソウタ様に褒められちゃいました!」

 嬉しそうに微笑むジュネ。


 その横で、ナナミが手際よく薬草を仕分けていく。


「あーあ、こんなんじゃ次の村にいつ着くか分かんねえぞ」

 頭を抱えるサイコ。


「(キュ、キュウ!)」

 足元では、雷獣のリャンゾウが虫を追いかけて激しく走り回っている。


「私もいるよ〜ん」

 木陰では、植物の精霊クロリスがのんびりと手を振っていた。


 緊張感ゼロの光景に、サイコが怪訝な顔をする。

「……おい。本当にこいつらに護衛を任せて大丈夫なのか?」


「大丈夫、大丈夫! お兄ちゃんは狩りにでも行って、美味しいお肉でも取ってきてよ!」

 ジュネがサイコの背中をぐいぐいと林へ押し出す。


「チッ、分かったよ! 留守中の護衛、頼んだぞ!」

「私も行く。ここにいても暇だ」

 ブリュンヌもサイコの後を追って、林の奥へと消えていった。


 俺は二人の背中を見送りながら、小さく苦笑する。

(……まあ、あの二人が驚く顔が、今からちょっと楽しみだけどね)


 独自の『鑑定』スキルで見定めた超高純度の薬草を、俺は静かにマジックバッグへ収めた。


 ◇


 数時間後。


 薬草の採取を終えた俺たちは、開けた野営地で昼食の準備を始めていた。


 ガサガサと草むらを分けて、サイコとブリュンヌが戻ってくる。

「おい、ソウタ。戻ったぞ……って、おいおい!」


 サイコが目を見開いた。


 目の前には、すでに簡易的な解体台と、信じられないほど透き通った『最高級の回復薬(ポーション)』がズラリと並んでいたからだ。


「ナナミ、もう回復薬を作ったの? 相変わらず手際がいいね」

「はい、ソウタ様に教えていただいた方法なら、一瞬で『特級品』が完成しますから」

 ナナミが当然のように微笑む。


「と、特級だと……!? 市販の高級ポーションより輝いてるぞ……!?」

 サイコとブリュンヌの顔が引きつる。


 だが、驚くのはまだ早かった。


「サイコ、獲物はたくさん獲れた?」

「おう♪ ……これを見て驚くなよ?」

 サイコは自慢げに、手持ちのアイテムバッグから魔獣の死体を取り出し始めた。


 一頭、二頭、三頭……。


「随分たくさん狩ってきたな」

「おうよ! お前がくれたこの『マジックバッグ』、マジで頭おかしいぜ! 容量無限かよ! いつもは大半を捨ててたのに、全部持って帰ってこれた!」


 サイコは興奮気味に獲物を出し続ける。

 だが、その量が異常だった。


 十頭、二十頭、三十頭――。


「ま、まだあるのか……?」

「おい、これ、どうやって解体するんだよ……」

 山積みになる魔獣を前に、ソウタが冷や汗を流し始める。


 完全に狩りすぎて、自分たちでは処理しきれない量だ。


「よし、俺も解体を手伝うよ」


「私もやるー!」

 ブリュンヌと、いつの間にか索敵から戻っていた盗賊のモモカがナイフを抜く。


(ブルとリャンゾウは、阿吽の呼吸で再び周囲の警戒へと向かった)


「助かる。じゃあ、俺は昼食の準備に入るね」

「ソウタ様! 私も手伝います。料理を教えてください!」

 ジュネが嬉しそうに俺の隣に並ぶ。


 俺は微笑みながら、手際よく即席の魔獣肉料理を作り始めた。


 その瞬間。


 野営地に、次元の違う「神がかった香り」が立ち込める。


「な、なんだこの美味そうな匂いは……!?」

 解体中だったサイコの手が止まる。


 ブリュンヌも、ゴクリと唾を飲み込んだ。

 ただの野営料理ではない。


 超一流の宮廷料理人が作ったと言われても信じるレベルの、五感を刺激する香り。


「よし、肉の旨味を閉じ込めるスープの完成だ」

「すごいです、ソウタ様……! 高級宿の料理より何倍も美味しそう……!」

 目を輝かせるジュネ。


 驚愕の連続に、サイコの脳処理が追いつかない。


 ふと、サイコは近くでニコニコと座っているだけのクロリスに目を向けた。

「……なぁ、ソウタ。で? この女は何をするんだ? ずっと座ってるだけだけど」


「♪」

 クロリスは楽しそうに鼻歌を歌っている。


「クロリスは何もしないよ。彼女は上位の精霊だからね。必要なときにだけ奇跡をお願いするけど、普段は自由なんだ」

 スープをかき混ぜながら、俺は一言。


「あ、ちなみにさっきの特級ポーション、クロリスの魔力をちょっと分けてもらったから出来たんだよ?」


「「えッッッ!?」」

 サイコとブリュンヌの叫びがハモる。


 ただの雑草だと思っていたものは、国宝級の回復薬になり。


 ただの居候だと思っていた美女は、伝説の精霊だった。


 そして、それらをすべて平然と従え、国を揺るがすレベルの恩恵を「当然」のように使いこなす男――ソウタ。


「……おい、ブリュンヌ」

「ああ、サイコ。何も言うな」

 二人は冷や汗を流しながら、確信した。


(この男……ただの採取士なんてレベルじゃねえ……!!)


「♪」


 最強の無自覚チート主人公を中心に、賑やかで、規格外な旅はどこまでも続いていく。

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