↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ブラッシュアップ版】 モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~  作者: ボルトコボルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/110

第59話 平和な森と、訪れる招集の使者

 深い森の中、木漏れ日が差し込む静かな一角。


「こっち、こっち!」

 ドリアードのクロリスが、楽しげに手招きをする。その先には、見たこともないほど瑞々しい緑を湛えた薬草が群生していた。


「どれどれ……おお! これは文句なしの特上だ。さすがだな、クロリス!」


 ソウタは鑑定ゴーグルを装着し、慎重に薬草を採取してアイテムバッグへと収めていく。その足元では、相棒の雷獣リャンゾウが、ソウタのゴーグルに魔力を供給して視界を補佐していた。前方では、探索者のモモカが鋭い眼光で周囲を警戒し、森の気配を読み取っている。


「ソウタ! 待ってよぉ……はあ、はあ」

 少し遅れて、幼馴染の薬師・ナナミが息を切らして駆け寄ってきた。


 かつてのヤコイケ村から、さらに開拓を進めたこの辺境の地。ソウタたちはさらなる発展のため、新たな薬草を求めて森の奥深くへと足を伸ばしていたのだ。


「ソウタさん! 何か来た!」

 モモカの警告と同時に、リャンゾウの鋭い鳴き声が響く。


(ゴブリンだキュー!)

「リャンゾウがゴブリンだと言っている。来るぞ!」

 ソウタが剣を抜き放つと同時に、ナナミが「豊穣の杖」を高く掲げた。


「ソウタ、私に任せて!」

 杖から放たれた柔らかな光が草むらに届いた瞬間、飛び出そうとしたゴブリンたちの足元から蔦が噴出し、瞬く間に彼らを締め上げた。


「やったー! 攻撃していいわ!」

「いくぞ!」


 モモカとリャンゾウ、そしてソウタが同時に駆け出し、絡めとられたゴブリンたちを一気に片付ける。慣れた連携だった。


 ソウタは淡々とゴブリンの死体をアイテムバッグに放り込む。魔石は換金、肉は畑の肥料にする。無駄なものは何一つない。


「よし、目的の特上薬草も確保したし、肥料も揃った。引き上げようか」


 ソウタが背を向けると、クロリスとリャンゾウも慣れた足取りで続く。


「そうね。コエザさんも待ってるわ」

「先導は任せてください!」

 モモカが軽やかに先頭に立ち、一行は賑やかに村へと戻っていった。


   ◇◇


 村に戻ると、待っていたかのように村長であり錬金術師のコエザが、神妙な面持ちでソウタの元へやってきた。


「コエザさん、どうしたの? あとでそっちへ寄ろうと思ってたんだけど」

「ソウタ、ビーカル辺境伯より召集の命令が下ったのじゃ」


「召集? 領都に行くってこと?」

「そうじゃ。緊急の事態と言っておる」


 ソウタは呑気に「ふーん、行ってらっしゃい」と流そうとしたが、コエザの次の一言で凍りついた。


「ん? ソウタも行くのじゃよ」

「えええええ!? 何で~? 俺はもう一村人だよ? そんなの断ってよ!」


 ソウタの悲痛な叫びもどこ吹く風、コエザは小さく微笑んで言った。

「何を言っておる。この辺境がこれほど早く立ち上がり、豊かになったのは、すべてお主のおかげじゃ。ソウタ、お主はこの辺境の『幹部』なのじゃよ」


「えええええ!」

 ソウタは露骨に嫌な顔をする。


 ようやく手に入れた穏やかな日常。それが、王国の上層部の身勝手な論理によって、再び騒乱の渦中へと引きずり戻されようとしていた。


 だが、その召集の裏に隠された「王国の不穏な動向」を、ソウタはまだ知らない。


 平和な薬草採取の時間は、ここで終わりを告げようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。