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【ブラッシュアップ版】 モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~  作者: ボルトコボルト


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第56話 不死身の軍団、崩壊の真実

 ヤイムラ王国と隣国の激戦が続く前線。王国の将軍、コトウハ・トグリは重装兵による「三段交代戦法」を駆使していた。前線が疲弊すれば素早く後退させ、回復薬で瞬時に英気を養い、再び戦列へ送り出す。この圧倒的な継戦能力こそが、コトウハ軍を「不死身の軍団」たらしめる所以だった。


 しかし、戦況は突如として暗転した。


 無敵だったはずの軍が、まるで泥沼に足を取られるかのように押し込まれていく。これまでなら薬を飲んで立ち上がった兵たちが、今回は動けない。次々と倒れゆく兵士たちを前に、コトウハ将軍は戦慄した。


「なぜだ……なぜ回復が間に合わん! これではただのすり潰しではないか!」


 そこへ、青ざめた補給部隊の伝令が駆け込んできた。


「将軍! 緊急の報告です! 今回の補給分、その……中身が『ヤコイケ印』ではございませんでした!」


 コトウハの動きが止まった。戦場に轟く咆哮が上がる。

「どういうことだぁぁぁぁぁッ!!」


 偽物の回復薬。その事実は、兵たちの命を直撃していた。戦列は脆くも崩れ去り、コトウハ将軍は断腸の思いで退却を命じるしかなかった。


   ◇◇


 王都へ這々の体で戻ったコトウハ将軍の足は、国王への報告よりも先に、ある場所へと向かっていた。それは、処刑を待つだけの男、元メアサ男爵が閉じ込められた薄暗い地下牢だ。


「ドカドカドカッ!」

 鋼鉄の鎧が鳴る荒々しい足音が響く。牢の中のメアサは、衰弱しきった姿で顔を上げた。そこに立っていたのは、憤怒の形相をした偉丈夫、コトウハ将軍だった。


「メアサァァァ!!」

 咆哮と共に鉄格子がひしゃげる。


「貴様のせいで……貴様のせいで、どれだけの兵が死んだと思っている!!」

 メアサは恐怖のあまり失禁し、泡を吹いて白目を剥いた。しかし、将軍の怒りはそんなことでは収まらない。牢に踏み込み、気絶したメアサの腹を容赦なく蹴り上げる。


ドカッ!!

「ぐふっ……はひぃっ……!」


「貴様ァッ! 許さん、万死に値する!!」

 将軍は死なない程度に、しかし骨が砕けるほどの加減で拳を振り下ろし、蹴りを入れる。かつて王国の英雄と呼ばれた男の、無惨な暴力が繰り返された。


「た、助けて……助けてくれぇぇ!」

「うるせぇ!」


「死ぬ、死んでしまう……!」

 将軍は荒い息を吐きながら、ようやくわずかに溜飲を下げた。だが、元凶は他にもいる。将軍の眼光は、さらに先へと向けられた。


「メアサの背後にいるリーキヤ公爵……貴様のことも、このままでは済まさねぇぞ」

 将軍は壊れかけのメアサを冷たく一瞥し、国王への謁見へと向かう。


 不死身の軍団を崩壊させ、前線を壊滅させた責任。その政治的な汚職の根源を断つべく、ヤイムラ王国の軍事トップが牙を剥く。


 静かに、しかし確実に、リーキヤ公爵を追い詰めるための包囲網が狭まっていた。

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