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【ブラッシュアップ版】 モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~  作者: ボルトコボルト


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第45話 宴の夜と、始まる開拓の夢

 ビーカル伯爵の居城から採取士ギルドへの帰路。夕闇に包まれ始めた街並みを眺めながら、ソウタは小さく息を吐いた。


「採取士ランクと冒険者ランクの連動、あれは素晴らしい提案だったね、コエザさん。これで冒険者たちも、僕たちがダンジョンにいることへ文句は言えなくなる」


「うむ。あれは冒険者ギルドへの鎖でもあり、採取士たちへの自信を与える盾でもある。他領へ出ても『冒険者』として認められれば、彼らの道は大きく開けるじゃろう」


 コエザは満足そうに微笑むが、すぐに溜息をついた。

「……しかし、ソウタのランクが『B』止まりというのは、やはり解せぬのう。あの功績ならば、本来なら即座にAランクでも良かろうに」


「いやいや、僕はランクなんてどうでもいいんだ。それよりも子爵への叙爵と、領地の話の方がずっと重いよ。いっそ辞退したいくらいだ」


「それは叶わぬ相談じゃよ。国王の恩賞を返せば、この国での立場がなくなってしまうからのう」


 ソウタは苦笑しながら、手元にある小さな魔法の揺らぎを感じた。


「……ヤコイケ村にするよ。僕の故郷だ。あそこなら、少しやりたいことがある」


「ほう、珍しく積極的じゃな。ただの貴族の義務感だけではなさそうじゃが」


「うん。そのためにね……」

 採取士ギルドに到着すると、ソウタは周囲に誰もいないことを確認し、アイテムバッグから一本の杖を取り出した。


「これが、そのための道具さ」

 コエザが鑑定魔法を走らせると、杖の魔力に目を見開いた。


「おお……なんという品じゃ。採取士にとってこれ以上の宝はないな」


「そして、もう一つ。……出ておいで、クロリス」

 ソウタの影が揺らぎ、木の中級精霊ドリアードが姿を現した。彼女はソウタの腰にしがみつき、コエザをじっと見つめている。


「名前はクロリス。僕の大切な相棒だよ」

 その夜、ソウタの屋敷は叙爵とBランク昇格の祝賀ムードに包まれていた。かつての「草毟り」が今や領主へ。ギルドの面々の歓声が響く中、ソウタは喧騒から少し離れたバルコニーで夜風に当たっていた。


 足元にはリャンゾウ、腰にはクロリス。まさに家族のような光景だ。


「水を持ってきたわよ。少し騒ぎすぎじゃない?」

 ナナミが静かに現れ、冷えたグラスを差し出す。


「ありがとう。ナナミ、実はみんなに伝えていないことがあるんだ。領地は故郷のヤコイケ村に決めた」


「ヤコイケ村? あそこを領主として開拓するの?」

「そう。そこで大規模な薬草畑を作ろうと思っているんだ」


 ナナミは目を見開いた。

「薬草畑? そんなこと……できるのかな?」


「できるさ。責任者は君に任せるよ」

「えええええ!?」


 ソウタは優しく微笑み、手元にあった『豊穣の杖』をナナミの手に預けた。


「この杖は、持ち主の魔力と土地の精霊の力を引き出し、植物の成長を劇的に早める魔道具なんだ。クロリスの力も借りれば、きっと伝説級の薬草だって育てられる」


「ウソぉ……。これ、伝説の武器じゃない!」

 驚きに固まるナナミ。ソウタはその横顔を見ながら、確信していた。この杖があれば、いつかは枯れ果てた大地すらも豊かな森に戻せるかもしれない。


 採取士ギルドの冒険は、ダンジョン攻略から、今や「領地開拓」という新たなステージへと進み始めたのだ。

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