第26話 白日の下に晒される罪、そして運命の判決
広場を埋め尽くす群衆の怒気は、もはや抑えきれない渦となっていた。手枷をはめられ、見るからに敗北者の顔つきをした『狂鬼』の五人を見て、街の人々は軽蔑と嫌悪を隠そうともしない。
役人の合図で、カイズの頭部に冷たく輝く国宝『真実の箍』が装着された。その魔道具がもたらす強制的な真実の重みに、カイズは喉を鳴らし、引きつった表情で口を開く。
「カイズ、君は『草毟り』と蔑まれていたソウタ殿に襲われたと主張していたが……あれは真実かね?」
「……嘘、……です」
その言葉が響いた瞬間、広場は歓声と罵声で爆発した。「やっぱりか!」「最低な奴らだ!」という怒号が地響きのように広場を揺らす。
「か、カイズ! なんてことを言ってくれたのよ!」
カマルカがヒステリックに叫ぶが、役人の鋭い視線に射抜かれ、ふにゃりと沈黙した。
「カイズ、その時の状況を詳しく述べよ」
箍の魔力は、カイズの意志とは無関係に、醜い本音を次々と吐き出させる。
「依頼に失敗し、夕飯も食えないほど金に困っていた……。『草毟り』を見つけ、剣を抜いて報酬を差し出すよう脅した。そうしたら、従魔の雷獣に反撃されたんだ」
「その後、冒険者ギルドでどのような行動をとった?」
「カマルカに『自分たちは何もしていないのに従魔に襲われた』と嘘の報告をした」
カイズの口から明かされるのは、ただの強欲と保身、そして罪のなすりつけ合いという、あまりにも幼稚で惨めな動機ばかりだった。街の人々が彼らに向ける視線は、もはや怒りを超え、路地裏の害虫を見るような冷ややかなものへと変わっていた。
「……何て奴らだ。自分たちの不手際を、街の恩人に押し付けようとしたのか」
ギルド長コヤマザが、静かに、しかし冷酷な響きで告げる。
「しかも、逃亡の際に錬金術師コエザ殿を殺害しようとした事実は、殺人未遂として重く受け取らねばならん。お前たちは、ソウタ殿の慈悲によって生かされていた恩を、最も醜い形で裏切ったのだ」
『狂鬼』のメンバーたちは、箍の力で嘘がつけない絶望感と、押し寄せる群衆の殺気に耐えきれず、泣き崩れた。
「すいません……許してくれ……死にたくねぇよぉ!」
先ほどまでの強気な態度はどこへやら、彼らは地面に額を擦り付けて命乞いを始めた。
しかし、広場の空気は彼らを許さなかった。
「カイズ、最後にもう一つ聞く。君たちが街中でソウタ殿を襲おうと探し回ったのは、自らの犯行を隠蔽するためか?」
「……そうだ。俺たちは……あの雷獣の魔石を奪い、ソウタを排除して……自分たちの罪をなすりつけるつもりだった……」
その告白が最後の一撃となった。群衆の中から、冒険者たちからも、石を投げんばかりの殺気が立ち上る。
ソウタは、自分の隣で静かに怒りを燃やすコエザと、握りしめた手を離さないカモリナを見上げた。
今、彼を「草毟り」と呼ぶ者は誰もいない。広場には、街を救った勇者に対する正当な審判の時が訪れていた。




