↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ブラッシュアップ版】 モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~  作者: ボルトコボルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/110

第108話 最強の魔族や獣人をアゴで使い、神獣をチェスの駒のように配置する俺、エルフの村長から魔王だと思われている件

 ここはエルフの隠れ里。


 常識外れのバケモノたちを従える「最凶の黒幕」としてエルフたちから畏怖されている俺――ソウタは、村長の豪華な屋敷で優雅に朝食をごちそうになっていた。


「はぁ……昨日は本当にいろいろあり過ぎたわね」

 モモカが温かいスープを口に運びながら、しみじみとため息をつく。


「そうだな。謎の超長距離狙撃から始まって、大精霊ガイアの笑顔の公開処刑まで、完全に怒涛の勢いだったよ」


 俺は苦笑交じりに返事をする。


「で、今日はどうするの? ソウタ」

「近くの大きな町に行って、溜まった素材をまとめて売ってきたいんだよね」


「ああ、俺も行くぞ!」

「私もお供します、ソウタ様」

 俺の言葉に、サイコとジュネが間髪入れずに即座に反応した。


「サイコもゴーレムの素材やら魔物の死骸やら、マジックバッグに大量に持ってるからな。同行は確定だね」

「おうよ! 早く金に換えてぇぜ!」


「お兄ちゃんが確定なら、私の同行も確定ね。ソウタ様の側を離れるわけにはいきませんから」

 ジュネが嬉しそうに俺の隣をキープする。


「そうだね、じゃあ二人は一緒に行こう。……っと」

「おい、私も行くぞ!」

(あちゃー……ブリュンヌも行きたいのかぁ。でも……)


「ブリュンヌはちょっと待って」

「えー! なんでだよソウタ!」

 ブリュンヌが不満げに耳をぴくつかせる。俺は彼女の問いにはすぐ答えず、静かにハーブティーを飲んでいたナナミへと視線を向けた。


「ナナミはどうする?」

「私はこの里に残って、薬草の採取と薬の調合をしてるわ。見たところ、この森にはかなり希少で質の良い薬草が多そうだしね」


「了解だ。……だったらブリュンヌ、君はナナミの護衛としてここに残ってもらうよ」

 俺の決定に、ブリュンヌは露骨に嫌そうな顔をした。


(……いやね、サイコ一人だけでも町に連れて行くのは相当気を遣うのにさ。ブリュンヌもかなり喧嘩っ早いから、二人同時に連れて行ったら町を一つ消滅させかねないんだよ。不安要素は減らしたいんだ)


「えー、採取なんてかったるいなぁ。ナナミの護衛ならジュネでいいじゃん。あいつ、採取とか好きそうだしさぁ」


 ブリュンヌが何気なく放ったその言葉に、ナナミの美しい目が一瞬でスッと冷たく据わった。


(……はぁ? 採取が好きなんじゃなくて、ジュネちゃんはソウタ様のことが好きなのよ。この猫娘、本当に配慮が足りないわね。それとも……まさかこの猫娘も、ソウタ様を狙っているのかしら?)


 ナナミから立ち上る無言の嫉妬のオーラに気づく様子もなく、ジュネがブリュンヌをキッと睨みつける。


「はぁ!? あんた如きにお兄ちゃんの暴走を止められるわけ? ――今すぐここで、お兄ちゃんに斬り殺されたいわけ?」


「ギクッ……!?」

 ジュネの凄まじい殺気に、ブリュンヌは恐る恐るサイコの方を盗み見た。


 当のサイコは、すでにいつでも抜刀できる体勢に入っている。

「……何だ? お前、また俺たちの『敵』になったのか?」


 大剣の柄をガチリと掴むサイコ。

「そうよ。この配慮の足りない猫娘は、今の私にとって明確な『敵』ね」


 ジュネが氷のような冷笑を浮かべ、ブリュンヌを指差す。


「いやいやいや! 敵じゃないって! 違うから! ねえ、聖者様! 助けて!」

 完全に形勢不利を悟ったブリュンヌが、顔を真っ青にして俺に救いを求めてきた。


「あー……ブリュンヌ、その『聖者様』って呼ぶのはそろそろ止めてくれないか? 聞いてて恥ずかしいし。そうだなぁ……君のことは敵だとは思ってないよ。……まぁ、『元・敵』かな?」


「ええええええ!? 何ですかその不穏な含みは! 明確に否定してくださいよ! そ、ソウタ様ぁ!?」


「おう、呼び名はそれで良い。……というわけで、ナナミの護衛を頼んだよ、ブリュンヌ」

「は、はい……(完全降伏)」


 俺の有無を言わせぬ(ようにエルフたちには見える)命令に、ブリュンヌは直立不動で頷いた。


「サイコ、ブリュンヌは敵じゃないぞ。ナナミの大事な護衛だ」

「ん、そうか。ならいい」


 俺が一言そう告げると、サイコは何事もなかったかのように大剣の柄から手を離した。その一連の流れを見ていたモモカが、少し心配そうに俺に提案する。


「ソウタ、私が代わりにナナミの護衛に入りましょうか?」

「いやいや、モモカは絶対に俺に同行だよ。町に行ったら、モモカに商人たちとの価格交渉をして貰わないと困る。俺、そういうお堅い話をするの苦手だし。……サイコとジュネに交渉を任せられると思う?」


(サイコに交渉なんてさせたら、買い叩こうとした商人の首が飛んで、一瞬で国家指名手配犯になる未来しか見えないって……!)


「あ……そうでしたね。あいつらに交渉を任せたら、交渉じゃなくて恐喝になりますもんね」

 モモカは納得したように苦笑しつつも、残されるナナミの方に視線を戻した。


「でも、警戒は必要でしょ? まだこのエルフの里の連中が、本当に完全に大人しくなったかも分からないし」


「だなぁ。……あと、まだ今日の動きを決めてないのは、クロリスと、ブルと――」


(ソウタに同行するキュ! 主の隣は譲らないキュ!)

(了解だ、リャンゾウ)

 足元で服の裾を引っ張ってくる雷獣に念話を返す。


「リャンゾウは俺と一緒に町へ行くから、青い鳥のブルをナナミの警戒につけるよ。クロリスはどうする?」


「私はぁ〜、この森が気に入ったからぁ、ここにいるよぉ〜」

 クロリスがふわふわと宙に浮きながら、のんびりと答える。


「オッケー、じゃあこれで決定だね。ブリュンヌ、もし何かトラブルがあったら、遠慮なくクロリスに相談して。エルフたちは精霊のことを神として敬っているみたいだしね。クロリス、ブリュンヌとナナミのことは任せたよ。特にブリュンヌが外で問題を起こさないように、しっかり見ててね」


「ええええ! 俺は絶対に問題なんて起こさないってば!」

 ブリュンヌが必死に弁明する。


 ――そんな、何気ない旅の仲間たちの「役割分担の会話」を、部屋の隅でガタガタと震えながら見つめている影があった。


 この屋敷の主であり、エルフの老村長セメレである。


(な、何という恐ろしい会話だ……っ! あの凶悪な魔族の兄妹を、ただの一言で完全に手懐け、元敵の獣人すらも完璧に隷属させている……! さらに伝説の精霊や聖獣までもが、あの男の指先一つでチェスの駒のように配置されていく……っ!)


 村長の目には、ソウタが「世界を裏から支配する、冷徹で完璧な独裁者」にしか見えていなかった。


「よし、じゃあ準備ができたら、町へ向けて出発しようか!」

 自分の評価が天元突破していることなど微塵も知らないソウタは、美味しい朝食を満喫し、のんきに声を上げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。