5話 夢と思いたい遊園地
夢見遊園地。その名の通りだと思うの! とっても楽しそう。くるくる回る大きな円盤。きらきら光る門。入り口。まだ入り口なのに、もう期待大。大というか、期待最高値。これは、絶対に楽しい予感しかしないの。
こんな場所なら、ずっといたくなるって思っちゃうかも。思わない方がおかしいのかも。みんなそうだよね? 楽しい場所はずっといたいよね。
エレは、るんるんって鼻歌まで歌って、遊園地の中に入るの。
「……」
……
……
……
ふぇ?
泣いていい? 泣いていいのかな? というか泣く。
なんで、なんでなの。さっきまで、門をくぐる前まで、とっても楽しそうな場所だったじゃん。なんで、なんで、なんでこんなにも、廃れているの。
「まぁ、入る前にこれを見れば、誰も入らないからね」
「だなぁ。エレの反応見りゃぁ、確実かぁ」
この二人と来たのは、間違いだったかもしれない。エレの悲しみは無視されてるの。撫ですらしてくれない。
でも、それならどうして、行方不明者なんて出ているんだろう。こんなんだったら、このままくるりと半周して
……
……
……
なんで⁉︎ さっきまで入り口ここにあったじゃん! おかしい! 絶対おかしい! 何かの罠なの! 誰かがエレを化かしたの!
そうじゃないと考えられない! 入り口消えて、廃れや遊園地が続いているなんて。
「まぁ、そうじゃなかったら、みんな外に出てるよね」
「だよなぁ」
なんで二人はそんなに冷静なの。つまらないんだよ。遊園地が楽しそうな場所じゃないんだよ。遊べそうにないんだよ。
エレは、どこへ行けばいいんでしょう。誰かその答えを教えてください。どこなら、まだ楽しい遊園地が
……
にゃ⁉︎ 終わりが見えない遊園地。見えるところは廃れている。でも、見えないところは違うのかもしれない。がんばって歩いたご褒美。あるかもしれないの。
きっと、歩いた先には、とっても楽しい場所があるのかもしれない。
「ねぇ、普通の子供がさ、ここまで前向きだと思う? 」
「どーだろぉなぁ。オレも普通のガキの相手した事ねぇかんなぁ」
「そうだよね……わかんないけどさ、普通の子供なら、そんな思考転換なんてせずに大泣きしていそう」
「ありそーだなぁ」
エレも泣きたかった。でも、これはきっと今がどれだけ廃れていても、先はとってもぴかぴかなの。そう言われているに違いないの。
「フォル、ギュー、楽しい遊園地を求めて、ゴーゴー」
エレ隊は、真っ直ぐと進むの。楽しい遊園地を探す冒険なの。
「……フォル、知ってっか? この辺りの黒い噂」
「うん。あの子、危ないだろうね。噂がほんとなら、あの子のような子が狙われる」
噂? なんの事だろう。そのお話は教えてもらっていないの。いろんなお話教えてくれるけど。例えば、シェフィがエレ達の写真を要求して、エレがすんなり協力応じたから、想定より早く用意できたとか。そういうお話とかも聞くの。
そういうのの中に入っていたかもしれないけど、エレに心当たりはない。
とりあえず、楽しい楽しい遊園地を探すの。
歩いて歩いて、いっぱい遊ぶ。きっと、すてきな遊びが待ってる。遊んでって待ってる。
「ふぇ⁉︎ ま、魔物なの⁉︎ じょーか、じょーか! 」
エレの必殺浄化魔法。白い光が、真っ黒魔物を浄化するの。白い光に包まれて、真っ黒魔物も真っ白に
ならないの。
エレ、浄化魔法しか使えない。魔物に有効な手段。
「……フォルー」
「エレ、一人で好き勝手歩くの禁止。話聞いてなかった? 君のような子は危険だって、さっき話してたよね? 」
お話していたから、エレがおとなしくしている。なんて考えは捨てた方がいいと思います。エレはおとなしくする気のない生き物なのです。
「エレは話聞いてんだろ。自分の事だって思ってねぇだけで」
さすがはギュー。エレの事をよく分かってらっしゃる。エレはお話は聞いていたの。理解しないだけなんだから。
「エレ、こうなっから、一人で行きたい場所行くんじゃなくて、ちゃんとオレらに言うんだぞ」
「うん。わかったの。じゃあ、エレは向こうの方に行きたい」
「そーかそーか。なら、一緒に行こうな」
お気楽お話。魔物は、黄金の光が魔物を浄化してくれている。移動する前に、ギューが魔物に祈りを捧げる。ギューは、こんなに自由に神聖術使えるようになったんだ。
今気づいたんだけどさ、別にフォルとギューに助けてもらわなくても良くなかった? ぬいヴィー、護衛いるんだから。
エレが抱っこしているぬいヴィーは、気のせいかもしれないけど、目を合わせてくれない。
これなら、エレが抱っこしている必要ないかも。フォルに預けよっと。その方が、色々といいかもしれないから。
「……ねぇ、ここの魔物達……気のせい? 」
「気のせいじゃないよ。ここの魔物達は、人工物だ。噂のヴィングジェアは、組織の連中で間違いなさそうだね」
「だろうなぁ……魔物特有の気配が全くねぇ。連中は、こんなもん作って、何しようとしてんだ? 」
魔星実験。人工魔物。エンシュア組織の目的は、全種族の頂点に立つ事。それとこれは、繋がらないと思う。こんな事をしなくてもいいくらいの戦力はあるんだから。実力行使で目的を果たそうとしても。
それで通用しないとなれば、エレ達のような存在だけだと思う。星で生きたエレ達は、世界の常識は通じないから。
うーん、わかんないの。考えるの苦手。考えない事が得意。
「ふきゃ⁉︎ 」
急に真っ白。視界真っ白。何も見えない。フォルも見えない。エレの幻覚のゼロも見えない。何が起きてるの? 誰か教えて。
「エレっ⁉︎ 」
ギューの声。眩しい緑色の光。キーン——金属がぶつかる音。
ヴゥゥゥゥン——風のようだけど、違う音が聞こえる。聞き覚えがあるようなないような。また魔法具とかなのかな。それなら、聞き覚えがあるかもって思っても不思議じゃないから。
というか、二人ともどこにいるの。見えないから、手探りで探るしかないの。エレの手の感覚が、きっと見つけてくれる。
なんか当たった。何か当たったの。こ、これは……
わかんないの。これ、当たっても誰かとかなにもわかんないじゃん。誰なの。これでわかるよって言ったのは。みゅ? 誰もいってなかったの⁉︎
それにしても、この当たったものはなんなんだろう。
「エレ? 見えてねぇなら、そこ動くな」
「……ギュー? うん」
「相変わらず、せこいやり方するよ……ヴィー、少しだけ協力して」
ふぇぇぇぇぇ⁉︎
も、燃えてる。エレの周りが燃えてる。でも、視界はっきり。エレはギューの背中に当たっていたみたい。そして、知らない人達が倒れてる。
黒いお洋服。この人達、エンシュア組織の人達みたい。
エレを攫おうとでもしてたのかな。二人が助けてくれたから、大丈夫だったけど。
「子供……大丈夫なのかな」
「最悪の事態は覚悟しておいた方がいいかもしれないね。それよりエレ、見てみな。君のお望みのものがお見えだ」
エレのお望みのもの? それはなんなんでしょう。フォルのらぶかな。シェフィとエルがらぶらぶしている姿なのかなの。ピンク色の子猫なのかな。エレの幻覚のゼロって可能性もあるの。
エレは周囲の確認をする。そうしたら、なんと、なんと、そこにあったのはまさかの
「ふぁぁぁぁぁ! ふぇ⁉︎ こ、これ、幻覚じゃない? エレだけに見えているゼロとおんなじじゃない? 本物? 本物なの? 」
「エレだけに見えてるゼロって何? 」
「エレにだけ見えているゼロの幻覚。ずっとキシャァーーーー! ってしてる」
約束守らないとキシャァーーーー! されるからかも。エレの目の前には常に見えているの。
「……本物だよ」
「ふぇ⁉︎ 」
本物。エレの目の前に広がっているの。本物の遊園地が。廃れていない、楽しそうな遊園地の姿が。エレの、望んでいたお楽しみのお時間が目の前にあるの。




