2話 エレのお悩み事
エルグにぃのお部屋は、何度も行っているので、迷う事なし。と思ったんだけど、結局またヴィーのお助け借りた。
行けるもんって言っていたからかな。近くに来たら、扉が開いた。
「一人で行けたか? 」
エルグにぃ、わかっていて聞くなんて。オルにぃに似てきたの。あの人も、エレが迷子にならないって言ったら、ちゃんと着いたかって聞いてくるんだから。
「……ぷぃ」
「ところで、魔法具技師免許の更新書類は? 机の上に置いておいたが」
へぇ、そんなのがきていたんだ。エレは知りません。またゼロかフォルに頼もうかな。
エレは、きょとんとしておく。
「そんな事より、シェフィと連絡取れるんでしょ? シェフィに、神殿の祭事の日に何かしけかられるかもしれないから止めて欲しい。あと、魔星実験が行われるかもしれないって言っておいて欲しいの。夢見遊園地と水没都市とかつての当主の暗躍の件、エレ達お手伝いするから」
「自分が関わった分の報告書」
「ギューにぃに頼んでおくの」
もうね、言われると思った。エルグにぃは、エレをギュシェルに入れたいのか、毎回これだから。報告書書く練習しろって。
「あの人が手伝うと言ったのか? 」
「うん。エレが頼んだら、すぐ引き受けてくれたよ? 」
「オル兄上不在で、仕事溜まりに溜まっているはずだというのに」
ギューにぃ、フォルと似たタイプだからねー。エルグにぃ、信じられないみたいなお顔してるよ。エレからしてみれば、いつもの事なんだけど。
「エレ、伝言を頼む。俺が言ったとは、絶対に言わずに。そんなに仕事早いなら、フォルの仕事の一部代わりにやっておけと」
どっちに警戒しているんだろう。フォルなのかな。ギューにぃなのかな。わかんないけど、こくりと頷いておく。
心の中では、お疲れ様ってしておくの。
扉閉まった。連絡姿は見せたくないのかな。それとも、エレの声を聞かせたくないのかな。お願いはできたから、エレはそれでいいの。
用事も済んだんだから、アディのお部屋に戻ろっと。
さっき行ったんだから、今度は大丈夫なの。
というのは、幻想に過ぎません。というよりも先に、背中に感じる重み。それにぽかぽか。
「エレ、僕と一緒にいるって言ってたじゃん」
いつ? 言った記憶がないの。言ってたのかな。フォルがそう言うんだから。
「フォル、今からアディのお部屋行かないと」
「僕も行く」
即答。断れない雰囲気。フォルを連れていくの。もう少し、色々とお話固まってからがよかったのに。エレすごいって言われたかもしれなかったのに。これなら、管理者見習いの見習いなんて言わず、見習いくらいにはしてあげるよ。って言ってもらえるはずだったのに。エレの考えは、全て消え去りました。
なんて言わない。ここからでもまだ、可能性はある。ふにゅにゅにゅにゅ。成功した後を考えると、笑いがこぼれてしまうの。
「アディ、お話終わった? 」
「おう……姫さん、何があったんだ? 」
「何でもないの。それより、お話再開。明日までに、いっぱい考える事あるんだから」
何の事って感じのフォルに、ぬいヴィーを抱っこさせてあげる。
みんなでソファに座って、会議開始。
「あのね、神殿の祭事が十日後。ティアがそう言ってた。だから、期限は十日。その間に、情報を手に入れて解決する。その後は、報告書を書く。エレは書かない。ついでに、フォルはエレの魔法具技師免許の更新書類を書く」
重要な事は先に言っておかないと。詳しい事は、後で少しずつお話してけばいいの。
なんか、ぬいヴィーのしっぽが、ペチペチ当たってる。エレのお膝に当たってる。普段なら、当たんないようにしているのに。わざとかも。
フォルが、ぬいヴィーを撫でてる。やっぱりわざとなの。
「報告書と書類の件は、後で書かせるけど……祭事の日に何かあるの? 」
「うん。あのね、エレのお友達からいっぱい情報もらったの」
フォルに説明中。説明中。半分くらい説明したところで理解。まだ半分残ってるのに。
「そっか……夢見遊園地、僕も行くよ。十日なら、ぎりぎりで間に合わせる。それと、イヴィはこっちに残して。エルグにぃ様とルーとイヴィ。それぞれ連絡役を担ってもらう」
「神殿の祭事と魔星実験、同時に解決しようとすんなら、もう一人必要だろ」
「必要ない。僕らの方は基本連絡いらないから。イヴィは、オルと連絡とってもらって」
連絡係。そんな事考えてないの。置いてきぼりにならないようにしたいけど、置いてきぼりにされそう。もうね、フォルとアディ、二人でお話してるもん。
「……エレ、愛の神聖の代理頑張る。見つかったけど、まだその気はある? 」
「ふぇ? うん。そうしないとなら」
「なら、神聖の方で問題が起きた時、君がどうするか決めな」
えっ⁉︎ それって……
「大丈夫。最終的な判断は僕がする。でも、経験させるのも必要だと思うから」
どうして、急にそんな事を言い出すんだろう。今までなら、こんな失敗が許されない状況で頼むなんて、しないのに。
「……フォル、何か、隠してる? 」
「隠し事はお互い様じゃないの? そんな事より、今はこの件を解決しないと」
それは、そうだけど。どうしてなんだろう。お胸の辺りがざわざわしているの。
フォルが魔法機械を取り出した。そこから情報を得ているの。ギューにぃに頼まなくても、フォルが本家の情報を教えてくれるって事はないのかな。
情報を見ているのかと思えば、エレに連絡魔法具を渡してくる。受け取ったはいいけど、何をすればいいんだろう。
「エレ、ユグベーズ手記の水没都市と夢見遊園地についての記述聞いといて」
それならできるの。さっきから、黙っているけどどうしてるんだろう。そう思って見てみたら、ぬいヴィーはずっとクッキー食べてる。気に入ったのかな。
エレは、フォルの連絡魔法具でメッセージを送る。エレの頼み事っていう事にして。
そうしたら、すぐに返信が来た。
エレの頼みだから、とっても分かりやすい。あのね、水没都市は昔は普通に栄えていた場所だったんだって。ただ、技術がよろしくなかったみたい。魔星を利用した技術によって、滅んだんだって。魔星の暴走。
夢見遊園地っていうのは、帰ってきた人達がみんな口を揃えてこういうらしいの。まるで夢を見ているかのようだったって。不思議なのは、一緒にいた人を忘れているんだって。その人達は子供が多くて、子供が行方不明になるって有名になったらしい。
エレはフォルに連絡魔法具を返す。
それにしても、ユグベーズ手記の内容全部そのまんまじゃなくてよかった。読むのに時間いっぱいかかるから。前回だって、一時間以上かけた。
「……遊園地……問題解決したら、遊んで帰っていいかな? 」
エレは、遊園地に行きたい。遊びたい。そういうお年頃なのです。しかも、夢を見ているかのような場所。絶対に楽しいに決まっているの。
「姫さん、夢はいい夢とはかぎらねぇぞ。ずっと魔物に追いかけまわされていて、逃げ帰ったら普通の平和な日常。それでも、遊園地内は夢を見ているようって言うだろ」
夢を壊されたの。アディにエレのささやかな夢を壊されたの。ヴィーの肉球揉んでやろっと。八つ当たり。と思ったら、思いの外揉み心地が良すぎて、癖になりそう。
揉み心地、揉み心地
「ふにゃ⁉︎ 揉み心地だったの! もみもみで気持ちよくさせて、魔物の気を逸らすの! 」
気づいちゃった。エレは新たな技を思いついた。実践はできるか謎だけど。魔物に対抗する手段が少ないエレは、せめて逃げ時間でも稼げるようになる。それだけでも、違うと思うから。
エレの名案に、アディは関心を寄せてくれない。へぇって感じで、聞き流している。フォルに至っては、情報収集で話聞いてすらくれていない。魔物に追われた時を見ていればいいの。エレが時間を稼いであげるから。
えっへん。




