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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
3章シェフィ編 探し人
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9話 水の中


 共通点。それを探す。術関連で言えば、フォルとエレは共通する部分がある。でも、それだとヴィーが説明つかない。

 考えるよりも勘でって思うけど、考えているとむずかしい時ってあるんだよね。


 また袖を引っ張ってくる。


「……」


 今度は、何を言いたいのかな。共通点探しにでも手伝ってくれるのかな。


「……あっ……うん……それなら、エレとフォルは当てはまるよ。ヴィーは……ヴィー、君って、幼い頃とか、埃に弱いとかあった? 」


 ついつい、エレに言うように言ってしまう。慣れているのかもしれない。


「あった、と記憶している」


 やっぱそうか。どういう理由かはまだわからないけど、共通点はこれだと思う。ゼロが教えてくれたおかげだ。


 エレとフォルも、埃で咳が止まらなくなる事がよくあるんだ。


「ああ、そういう事。共通点、僕ら三人は、一度でも、澱みが起こす病にかかった事がある」


 まだ、埃しか言ってないよ。あれも、そういわれたら埃反応してたね。治りかけに。

 埃も関係ありはした。


「だから、私達はなんともないのね……というか、いつになったら、グリちゃんはくるのよ」


「わかんない。反応なさそう。ゼロ、氷。こうなったら、ろぉじょぉなの」


「籠城? それいいかも」


 エレは、適当人任せ。でも、そこがいいんだ。それに、この場所がいやすぎて、籠城なんて思いつかなかった。


「……」


 ゼロが氷で周囲を囲ってくれる。天井を覆うと、真っ暗。ゼロの氷は溶ける心配がない。さっきの氷柱は、溶けるようにしていたけど。自分で調整できるんだって。


 天井に光魔法のあかりをつける。それに、浄化魔法を使う。この範囲だけだったら、匂いもどうにかなると思う。地面から臭いがきていても、地面も凍っているから。過ごしやすいようにしないと。一時間くらいはここにいないとだから。


 神魔聖の書物に載る夜は、深夜帯。


「ゼロ、そろそろ喋ってもいいんじゃないかな」


「臭い消えたから、喋れる。ずっと喋らないのに、みんな理解するから喋る必要ないかもしれない」


 そこは言わないお約束でしょ。ゼロが僕に懐いている。すりすりで撫でろと要求してくる。これあれだね。ヴィーの周囲はわいわいかわいい雰囲気。僕の周囲は殺伐とするね。


 要求が通らないと、威嚇が始まるから撫でてあげる。そうすると、やっぱりきましたよ。左隣のフォルが。ゼロとおんなじ事をしている。両方が独占しようとしているから、仲良く一緒ににはなれないんだ。


「ヴィー、エレね、ヴィーと一緒にいるのすきなの。だから……エレも撫でてほしい! 」


「今の話とこれは、どこが繋がるんだ? 」


 わぁ、純粋な疑問なんだろうなぁ。エレは痛いとこ突かれたなぁ。どこも繋がってないなんて、エレ言えないだろうから。

 相手がヴィーだからか、エレが動かなくなった。ティアがエレの顔の前で手を上下に振っている。

 そのくらいじゃ、エレは動き始めないと思う。


 こういう時は、フォルがいなく——


「エレ、僕のお姫様」


「ふぇ⁉︎ 」


 エレが動き始めた。後ろから両手で目を隠して、エレを呼ぶ。そうしたら、エレはこっちを見るんだ。僕がやろうとしてたのに、フォルに先取られた。

 この方法、集中状態のエレにも使えるからおすすめ。ただし、できる人は少ない。ヴィーは、そろそろできるようになってもいいと思う。


 それにしても、まだ夜にならないのかな。狭い空間で、ゼロを愛でるだけ。これ、意外と暇だ。


「フォル、何かおもしろいお話ない? 」


「おもしろいお話……なんだろう。急に振られても」


「シェフィかゼロでもいいの」


 エレが僕らの方を見る。おもしろい話をするまで逃がさない。そんな目をしている。


「俺、面白い話ある! いっぱい、面白い話してやる」


 ゼロ、そんな意気揚々と言ったら期待値が上がりまくるんじゃない。もし、そこまでおもしろくなかったら、エレとティアからジト目で見られるだけじゃ済まないよ。自信ありげなその顔が、ほんとに大丈夫なのかと思わせる。


「この前、あったんだが」


 十分後


「それで、ゼムが」


 さらに十分後


「そう言ってきて」


 さらにさらに十分後


「それで……」


 ようやく気づいたみたい。エレとティアの冷めた視線を。簡単に話すとね、ゼロは兄弟一緒に過ごした日があったみたい。その日に、術を見せてもらって、きれいだった。きれいって言ったら、ゼロの術も見たいってゼムが言ってきた。って感じの話。


 僕は、暇つぶしにはなったよ。


「フォル、時間は? 」


「残念。さっきの話、そこまで時間かかってないんだ」


「そうだったのね。エレを愛でて待ってましょう」


 ティアはずっとエレを愛でてるでしょ。エレを愛でて、すきすきって言って、夜になるまで待とっか。


 たまにはゼロも相手してあげながら。フォルが来たら、喧嘩しないように、みんな相手してあげないと。



 深夜帯。ようやく時間になる。エレが眠そう。ゼロが氷を溶かしてくれる。氷から出ると、ついに占い術が示したものを知れる。

 枯れた水は、すでにわかっている。

 わざわざ、枯れた水の話が出ているんだ。ただ、空を明るくするには違う気がする。


 光術は使えるけど、使う前にフォルを見る。


「……枯れた水に朝をあげる。これ、光じゃなくて……ヴィー、炎術」


「それでいいのか? 」


「うん。ついでに、誰か、愛術してくれるシェフィとかいるかな? お姫様に仕事させるなんて、ひどいシェフィはいないよね? 」


 炎の術は、ヴィーが得意。愛は、僕とエレとティア。フォルは、僕をご指名だ。なんか、言い方に棘を感じるけど気のせいという事にしよう。


 ヴィーの炎の術、久しぶりに見るかもしれない。普段は、鎖の方しか使わないから。


 ヴィーが右腕を前に出す。赤い光。きれいな、青色の炎。ほんと、この逸材、僕らの家に入れたかったよ。愛は、かなり希少で僕らのお目にかかれるほどの逸材は、見ないからねぇ。


 氷が溶ける。溶けた後は、僕の出番。ピンクの光が、水を輝かせる。色とりどりに輝く水は、本来の姿なんだろうか。


 エレの目が輝いている。きれいなものは、エレのだいすきだから。


 ところで、これで


「姫君! 」


 グリちゃんの声。やっときてくれた。どれだけ待ってたと思ってんだろう。もしかして、枯れた水に朝を与えたから、来れるようになったのかな。


 フィルとエルが降りてくる。グリちゃんが縮んだ。


「みんな合流なの。これで、みんなで脱出できる……けど、この後ってどうすればいいんだろう」


 エレがみんなを代表してくれる。誰もそれはわからない。フォルならわかるのかな。

 さっきからずっと、フォル頼り。


「そのうちわかる気がするの。エレはフォルと一緒に遊んでるから。フォルも言ってたの」


「僕何も言ってないよ? 」


 フォルは強制的にエレの相手。と言っていると、異変が起きた。

 水が溢れ出す。泳げないのはエレだけ。とにかく、エレを守らないと。

 エレを守ろうと、右手を伸ばした。すぐそばにいたフォルがエレを抱いた。


 僕もと思ったら、まさかのフォルがエレと僕両取り。と同時くらいかな。左手に何かが当たる。

 見ると、エルが僕の手を握ろうとしてたというか、握った。エレがヴィーの左手を掴む。すかさず、ティアがヴィーの右手を。これ、何かあった時大丈夫なの?


 ゼロがグリちゃん抱いてる。ついでにフィルと手を繋いでる。なぜかここだけ別になってる。独占できないと察したのかな。


 水の中で息できないと、エレとティアが困る。という事で、水中でも息できるように、結界魔法の応用を。顔のあたりには、水が入ってこないようにする。もちろん、全員にだよ。エルだけ仲間外れなんて事してないから。

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