7話 神魔聖の姫達が紡ぐ言葉
ゼロは拗ねたままだし、フォルはなぜか不機嫌。ヴィーはエレとティアの面倒で忙しい。エルが知らぬ間にヴィーに預けてるから。エルとフィルは、考えるのに飽きたのか、魔法具遊び。
これだから、この人選で行くと僕にばかり皺寄せが来るんだよなぁ。
「ゼロ、いい案あるなら言ってよ」
「……探索。探索、するんだ。冒険なんだ。エレをにゃんにして、冒険するんだ」
いくら拗ねているからって、エレを猫にする必要はないよ。
猫エレはかわいいけどさ。
ちらっと、ゼロが僕を見る。反応次第では、さらに拗ねるんだろうね。わかってるよ。どう返せばいいのかなんて。簡単な事なんだから。
ゼロの望む返しをくれてあげればいい。ただそれだけ。簡単でしょ。
そう、簡単なんだ
「エレは僕の妹だから」
……あっ。つい、本音の方が漏れてしまった。ここで、そうだね。冒険しよう。とか返せばよかったんだ。それが正解なんだ。
ゼロが僕らの話を聞かない姿勢に入る。僕が声をかけようとしただけで、「キシャァーーーー! 」って威嚇を始めた。
「……ふにゅ? 騒がしいの」
「みんなどうしたのよ」
姫達が起きた。ゼロの威嚇で。
「……ゼロ、ゼロにゃん。あまあまな、ふわふわ飴だよ」
「ハズレだろ」
「ハズレじゃないもん。じゃあ、こっち」
口開けた。エレによる餌付け。これで少しは
エレにだけ懐いた。相変わらず、僕らを見ると威嚇する。ティアにも、触れる事許してる。会話も。「えー、なに可愛い。」とか言いながら、ティアがゼロの頭を撫でている。完全猫扱い。
「それで、どうしたの? エレ起きるくらい騒がしいの」
「えっと、ここから出られないんだ」
「そうなんだ。じゃあ、エレはもう一回寝るから。エレ寝ている間に……眠くないからやめよ。エレも協力してあげるの」
上からエレは、ティアとらぶらぶ。子供っぽいエレに、落ち着いた印象があるらしいティア。
二人が並ぶと、華。
僕らの華は、何も解決方法が見つからない時に一番輝く。エレが乗り気なら、ティアも乗り気になる。
「エレ、ティア。お願いがあるんだけど」
きらきらお目々と、上目遣いが重要。こうする事で、お願いが成功する確率が高まる。
エレとティアが顔を見合わせた。ここからが勝負。頼むないようによっては、断られる可能性がある。今回のような、少し無茶な事してなんて頼みとかね。
こそこそと話し合っている。二人でどうするのかの相談だ。ちらちらと僕を見る。ここで油断しちゃだめ。油断せず、僕はきらきらお目々と上目遣いを続けている。結果が出るまでは、決してやめない。
「……シェフィがそんなに頼むなら」
「エレ達は、お手伝い、いいよ」
無事に頼み成功。まだ内容は言ってないんだけど。今気づいた。
「占い術使ってくれる? 」
また、エレとティアが顔を見合わせる。しばらくして、僕の方を見る。
「私はいいけど、エレは」
「フォルにお願いする」
「じゃあ、先に私から」
ティアが収納魔法から魔聖書を取り出す。どうして取り出せているのかは、理解不能。概念的なものなのかな。魔聖書って。
「枯れた水は、星の中で眠る。大地取り持つ、夜にあげよと」
今回はこの文章が示されたのか。水と夜が何か関係している以外わかんない。翻訳の仕方なわけはないか。
「エレ、僕のエレ……エレだけが僕の癒し」
「ふにゅ……フォル? えっと」
「占い術使いたいんでしょ? いいよ。愛してる」
フォルがエレの額にキスをする。愛情過多で思考停止させる気か。フォルの狙い通り、なのかな。エレは、夢気分のようだ。
ふわふわの状態で、エレが占い術を使ってくれる。
「……氷、水に戻れず。星眠る。暗き闇夜に朝をあげよ。まわるまわり、世界の輝き。深層、続く道見つけよと」
枯れた水は、水に戻れない氷って事なのかな。あるのは地面? 夜に朝と思うほどの光をあげるのかな。あとは、その場に合わせていればどうにかなるだろう。
脱出方法が見えてきた。これでようやく、元の場所に戻れそう。なんて、簡単に行けばいいんだけど。
「ヴィー、真っ暗になるまで暇だから、私達と一緒にお話でもしない? 」
「俺でいいのか? つまらないだろう? 」
「そんな事ないよ。私もエレも、ヴィーと話ているのは楽しいから」
ティアが早速暇を潰そうとしている。ヴィーは、ティアを満足させられるだろうか。とか考えているのかな。顔に出ている。わかりづらいけど。
「そうか? 俺は」
「ヴィー、君って自分が思っているほど、つまらない人じゃないよ。むしろ、僕はいっつも君で遊ん、君のお題をがんばる姿で楽しんでたよ」
わぁ、なんでだろう。ヴィーは、色々と知らなすぎるからって、エレがお題という形で遊びとか教えてたんだ。ほんとに、いっぱいお題で教えてきたよ。クッキーとか、服選びとか。
なのに、そんなものは浮かばなかった。
フォルの言葉で浮かんだヴィーの姿。それは、僕らがふざけて書いたお題。
「……かっこいい感じの仕草してよ」
「ふふっ……フォル、それやめてよ」
フォルは僕の考えてる事わかるのかな。僕の隣にきて、小声で言い出す。
「君もそれ浮かんでたんだ。あれほんとにおもしろかったよね。エレが悪ノリし始めた後とか特に」
「わかる。エレが何回ももっとかっこよくって言ってたよね」
僕らが笑っていると、突然の「キシャァーーーー! 」の声。
そういえば、ゼロが冒険とか言ってたかな。
暇だから、付き合ってあげようかな。
「ゼロ、僕が付き合ってあげるよ」
「シェフィはいい。エレと二人っきりで冒険するから」
「……シェフィ、エレの真似できる? 僕、エレと一緒にいたいから」
夜になるまでは暇。暇と分かれば即自分中心行動。あっ、今までと何も変わってないわ。と気づくこの頃。
自分でこの状況作ってんだよね。知ってる。僕がみんなで一緒に仲良くしてこうとしなければ、らぶらぶ愛なんて生まれなかったんだ。きっと。
姫に対しても、必要以上に関わらなかったんだろうから。
あとさ、いくら僕が声高い方でも、あの愛らしい鈴音を出せるわけないから。
一応、出してみるけど。裏返る事はなく、高くかわいらしいあの声を
「僕……エレは、エレだよ。シェフィのかわいい妹で、フォルの愛らしい恋人だよ。よろしくね。ゼロは……常に一緒にいるのが自然だから……荷物! 大事な荷物! 」
どうだったかな。我ながらかなりの出来栄え。エレの愛らしさを出せていたと思う。
まずは、言い出しっぺのフォルの反応。無言。
エレとティアの反応は、遊んでる。
エルは、フィルと魔法具をまだ見ている。
ゼロは、温かい眼差しを送ってきている。
「ヴィー、みんなひどい。がんばったのに……がんばったのに」
「……可愛いには可愛かったと思う。だが、台詞がエレの言わなそうな台詞だ。仕草も、もっとエレらしく自然にしていた方がいい」
「ヴィーケヴァルよ、正直に言っていい。全然似ていなかったと」
グリちゃんまでひどい。というか、なんか慣れないなぁ。グリちゃんの、ヴィーに対する話方。ヴィーは、なんか、長い期間を経てエレ評論家になっている。
「……ねぇ、ティア、ヴィー、一緒にお水探しに、冒険行こ」
「えっ⁉︎ 僕も行く! 」
「俺も! 俺も! 」
「じゃあ、僕も一緒に行く」
エルとフィルは、まだ魔法具。グリちゃんに預けとけばいいよね。ゼロの時は乗り気じゃなかったのに、エレが言った途端乗り気になるフォル。
グリちゃんから降りるの、僕とフォルとゼロは余裕だろうね。でも、エレが大丈夫かな。お姫様達は、下を見て首を横に振っている。
ここは、僕らお得意の勝負かな。魔法陣速描き勝負。
顔を合わせる僕ら。その隙を狙われた。まるで計画されていたかのように、それは速やかに行われた。ヴィーが降りる。その後すぐに、ティアがエレと手を繋いで降りた。ヴィーは、着地に失敗した時の保険だろう。
こうして、僕らが勝負をする前に決着はついてしまった。




