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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
3章 エレ編 過去のおいてきもの
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9話 白い空間でエレ隊神聖術練習


 朝になって、ゼロが帰ってきた。ルナが、エレをずっと探していた。そう言ってた。ルナに連絡してくれた。エレが見つかったって。


 フォルは、眠っている。昨日、転移する前、起きていたのは、その時だけ。


 エレは、一日、ずっとフォルのそばにいた。ゼロと一緒に。


 眠ったら、不思議な場所にいた。



 真っ白。ゼロと、フォルもいる。立つ事のできないフォルにぎゅぅする。


「……ふぇ」


「あっ……エレ」


「エレ」


 もう一人のエレ。星の記憶だけのエレ。エレの色違い。


「……フォル……エレ、エレ達……わたし達で、ベッド創ろう」


「うん」


 なんだろう。ほっとしている。エレは、エレなんだ。ただ、お姫様として、言い直しているだけみたい。


 ベッド創る。ふかふかベッド。ゼロに、フォル寝かせてもらう。


「……ありがと」


 フォルは、エレ達を交互に見る。目が、訴えかけてた。エレを独り占めさせろって。


 フォル、両手に花ならぬ、両手にエレなの。


「ねぇ、エレ、記憶の共有してみない? 」


「うん。してみるしてみる」


 エレ達は、両手を重ねる。もう一人のエレの記憶が、流れてくる。シェフィは、とっても優しいおにぃちゃん。

 エルに、とっても甘えている。


 エレの記憶も、見てくれたのかな。


「そうなんだね……ずっと、がんばってきたんだね。エレ、一緒にシェフィの視界見て遊ばない? 」


「それ遊びか? 」


「遊ぶ遊ぶ」


 エレが楽しい事は、エレも楽しい。エレ達は、おんなじなんだから。

 シェフィは今、何をしているんだろう。どこにいるんだろう。


 もう一人のエレが、みんなに見せてくれる。シェフィの視界を


 緑豊かな景色。とっても、寝心地が良さそう。


 魔法機械生物。そんなものを作れる技術があるなんて。って、なんか、他人事に思えない。


 シェフィ、がんばれ。愛の神聖術で、魔法機械生物に勝って。


 動きが激しい。目の前に、拳が突き出される。あれ? ふぇ?


「……記憶消去中……記憶消去中……」


「……記憶消去中……記憶消去中……」


「……記憶消去中……記憶消去成功……」


「……記憶消去中……記憶消去成功……」


 何があったんだっけ? 思い出せない。とりあえず、このお遊びは危険なのかも。


「……やめよっか」


「うん」


 このお遊びはおしまい。フォルは、なんか、肩を震わせている。右手で口を押さえて。

 ゼロは、唖然としてる。


 何があったんだろう。エレ達は、顔を見合わせる。きょとんと首を傾げる。


 この真っ白い空間だと、遊びに困るの。でも、ここから出たら、もう一人のエレは一人。


「フォル、動けるようになるまで、ずっとここいていいよ」


「うん。ありがと、エレ。ついでに、エレの独り占めまでさせてくれるなんて」


 そこまでは言ってない気がする。

 でも、フォルがそれをお望みなら。フォルがフォルフォルしてるなら。


「エレもフォルらぶ」


「うん。らぶらぶ。両方エレらぶ」


「らぶ〜」


 ここは、エレとフォルの空間なのかも。そう思うくらい、らぶがいっぱい。愛の星の街みたい。あれは、もっとらぶだったかも。


 ゼロの視線を感じる。不機嫌オーラ。エレ気にしない。気にしたら負けだと思っている。


 でも、暇になってくる。


「ゼロ、適当に術使って。エレ暇だから」


「それなら、二人とも魔法と術の練習しない? 教える事くらいはできるよ? 」


 ゼロが術を使うのを見るより、練習の方が楽しそう。もう一人のエレはどう思ってるんだろう。ほっぺ赤い。ここ暑いのかな。


「練習するの」


「わたしも」


 エレ達は、フォルから離れる。術を使っても、誰も被害こないように。使いやすい神聖術。なんだろう。エレはもう一人のエレを見る。もう一人のエレも、何もしていない。立っているだけ。


 練習する。なんて言いながら、どんな術を使えば良いのかわからない。


 わからないまま時間だけが過ぎていく。


「……被害考えるなら、水とか光あたりはどう? 」


 水は使い所わかんない。でも、光なら使い所いっぱいありそう。暗いところとか。夜にこっそり、本を読みたい時とか。


 フォル天才。エレは、光の神聖術を使うのに決めたの。


「……えっと……えい」


「えい」


 もう一人のエレの方も、光の神聖術を選んだみたい。二人で共同作業しているみたい。エレ達は両手を前に突き出す。黄色い光りがエレ達の手の先に集まる。

 小さな光。失敗ではないけど、成功とも言えないような光。エレ達の手の先でふわふわ漂っている。


 エレ達は、ハイタッチする。ちゃんと、光あるんだから。


「……それほんとに神聖術? 魔力しか感じないんだけど。花器の方。シェフィのおまけの方は、そろそろ神聖力の制御覚えて」


 花器とシェフィのおまけ。見分けやすいには、見分けやすいよ。でも、もっと違う言い方ないのかな。フォルに教えてもらっているエレ達。だから、言えないの。


「エレ、フォルのご機嫌損ねないように、神聖術の使い方教えて」


「エレ、フォルのご機嫌損ねる前に、神聖術の制御教えて」


「わかんない」


「わかんない」


 フォルに聞く。その回答は存在しないの。


 エレ達の出した答え。慣れればわかる。という事で、エレ達のがんばり。一日目は、全然使えなかった。二日目は、光がちょっと大きくなる。三日目は、あまり成長ない。五日目、とうとう、夜に本読んでも問題なさそうになれた。


 そして


「ゼロ〜、こっち〜」


「エレ〜、俺のエレ〜、エレの俺〜」


 とうとうエレは、遊び出しました。フォルの面倒は、交互に見る事にしたの。ゼロはずっと、どっちか片方のエレの相手。

 今は、もう一人のエレの方がフォル担当。


 この終わりのない広い空間。それをたっぷりと利用する。時々、お空を見る。今見えるのは、真っ赤な炎に包まれる世界。ぶるるる。この前の、暑さが。


「エレ? どうかしたのか? 」


「……あちゅい、思い出した」


 ゼロにちゃんと説明してあるの。転移魔法を使った星の事。

 ゼロがエレをぎゅぅってする。涼しい。ちょっと冷たい。


「エレ〜、ゼロ〜」


 あっ、もう一人のエレがきた。フォルの看病交代時間なのかな。


「シェフィとエルが来て、エレ隊は遊んで良いって」


 エレ隊。エレ隊、とっても良いの。今度から、エレ達はエレ隊って言おっと。


 エレ隊は、ゼロと楽しく遊ぶ。追いかけっこ。ゼロに捕まったエレが負け。エレ達は、覚えたての神聖術を使うの。光の神聖術で、目眩し。


「まぶしい」


「まぶしい」


 エレ隊まで、眩しい。良い作戦だと思ったのに。


 光の中に、何かある。真っ黒。光が、黒い何かに呑まれているみたい。なんだろうこれ。かけら、とは違う。あの時のような、エレ感は感じない。


 光が消えた。黒いのも消えた。なんだったんだろう。ゼロ? ゼロは? ゼロはどこ? いない。ゼロ、どこにもいない。さっきまで、エレを追いかけ回していたのに。真っ白な空間が続いているだけ。滅んだ世界が、お空にあるだけ。


 エレは、もう一人のエレは? お隣にいる。エレ隊は無事。


 じゃあ、いなくなったのはゼロだけ?


「……ぐすん……」


「……ぐすん……」


 エレ隊は、おてて繋ぐ。おてて繋いで、フォル達のいる場所に走って向かう。

 来た道を戻るだけだから、すぐにフォル達の場所に着くの。


 そのはずなのに、全然フォル達が見えない。まっすぐな白い地面。見通しはいい。だから、少し離れていても、見えるはずなの。なのに見えない。


 ただ、白い地面が続いているだけ。お空を見る。フォル達がいた方は、氷で覆われた世界があった。ここには、真っ暗闇の世界がある。全然違う。


「……エレは、こっちだと思う」


「……エレも、こっちだと思う」


 エレ隊の勘。エレ隊は、勘を頼りに走る。そうしたら、無事にフォル達のところついた。フォルとシェフィとエルがお話している。エレ隊は、大泣きしながら、なんか偶然まっすぐ走るとそのまま追突しそうだったシェフィに抱きついた。

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