4話 ゼロの忠告
エクリシェへついたの。転移魔法成功。エレの機嫌は晴天。
転移魔法陣のある場所。円形のお部屋。
ゼロは、ノーズねぇとヴィジェにぃを連れて、エルグにぃのお部屋。エレとフォルは、エレのお部屋に行く。
ふかふかピンクベッド。今日は、お疲れだから、ねむねむ。
フォルと一緒に、ねむねむなの。
とってもすてきな、夢を見た気がする。覚えているようで、覚えていないような。どっちなんだろう。えっと、少し考える。
何があったっけ。えっと、夢の中で、フォルと一緒。ゼロとも一緒。それに、それに、シェフィとも一緒。エレは、とっても、うれしい。そう思ってた。気がする。
素敵な夢、すぐに終わるの。
フォルは、エレの隣でお仕事中。報告書の確認。お勉強は、フォルが暇な時以外は、エルグにぃが見てくれるらしい。
「エレ、問題発生。各地で謎の襲撃と行方不明。おんなじ原因、だと思う」
各地で謎の襲撃と行方不明? 誰がそんな事しているのか。その調査からなの。きっとそう。
フォルは、いつも以上にむずかしいお顔。
また、占い術を使えばいいのかな。でも、あれはゼロがいないと。
「……エレ、君は考えすぎないくらいの方が、かわいいよ」
「でも、情報の仕入れ先」
「ロスト。今度王族達の集いがあるでしょ? あそこで情報収集。ゼロとゼムには内緒で。って事で」
フォルがエレに笑顔を向ける。この笑顔は、とってもおもしろい事考えてる時。もしくは、いじわる笑顔。
どっちなんだろう。それは、その言葉の続きでわかるの。
「エレ、僕のパートナーか、部下。どっちがいい♡ ? 」
気のせい、なのかな。語尾にハートついてたの。
エレの思考時間。パートナーは、普通にうれしい。でもでも、フォルの部下。それは、エレのお望みのギュゼル加入のためには、とっても重要な事な気がする。ここで言質をとっておく。ゼロに教わったの。
こういうのは、言質をとったもん勝ちなんだって言ってた。げんち、ってなにかよくわかんないけど。ゼロの行動見てたら、きっとみんなに見せびらかす的な事、って思うの。わかんないから、エレの勝手な想像。
フォルは笑顔のまま。エレがどうするのか、楽しそう。
パートナーなら恋人。部下なら、ギュゼル加入の小さな一歩。
とっても重要な選択。エレが選ぶは
「……部下……部下なの! 」
恋人なら、フォルがエレをすきってなればいいと思う。でも、部下は違う。そんな簡単なお話じゃない。ちょっとずつ、エレのギュゼルに必要な能力的価値を示さないと。
「了解。なら、ちゃんと働いてもらうよ。肩書は……管理者見習いの見習いって事で。服は……ロストに合うのを用意しておくよ」
「うん。がんばります」
「そんな気負わないで。ロストの王族なら、みんな知人だ。情報の取捨選択は必要だけど、情報の引き出し方とかは考える必要ないから。エレエレってやっとけばいいよ」
エレエレってなんだろう。フォルがエレの頭を撫でる。エレエレってなんだろう。フォルがエレのほっぺにキスをする。エレエレってなんだろう。
ねぇ、教えてよ!
「エレエレとは⁉︎ 」
「エレエレ」
わからなすぎて聞いても、まともな答え返ってこない。エレエレが気になる。フォルは時々言うんだけど。ゼロなら、知ってるのかな。
謎の言葉、エレエレ。
「……エレ、少し散歩でもしない? ずっと動いていないと、動きたくなるでしょ? 」
「それはシェフィとフォルだけなの」
まだ、シェフィの記憶の部分だけは、断片的。抜けている部分の方が多い。でもね、エレには、かけらというつながりがあるの。それで知っちゃった。シェフィは、動いていないと落ち着かない。そう言っているところを多々見かけるんだって。
エレは、ゆっくり休みたい派。だから、ベッドの上でごろんと寝転ぶ。どこにも行きたくありません。にゃんにゃん顔をフォルに見せつける。
このくつろぎたそうな、エレにゃんをお部屋の外に連れ出す。そんな非情な事はフォルはしない。そう信じているの。
「……ゼロの庭園で、元気のない花があるって言われたの、思い出したから行こうって思ったんだけど」
「それは非常事態なの! 早く行くよ。エレがゼロの代わりに元気にしてあげる」
エレは立ち上がるの。フォルと一緒に立ち上がる。一緒にお部屋から出るの。お部屋から出て、みんなの趣味部屋が集まる階に向かう。階段じゃなくて、転移魔法陣から行けるんだ。階段もあるけど。使ってるところ見た事ない。
趣味部屋はね、廊下がちょっと空色。白っぽい空色。
廊下より濃い空色の扉。この扉の奥がゼロの趣味部屋。紅茶に使うためのハーブとか、普通にお花とか。きれいな場所だよ。
エレは、扉を開ける。お部屋の中。そうは思えない緑の地面。お部屋と思えないくらい、きれいな庭園。
エレは、ゼロのお悩み。元気のないお花を探す。元気のないお花、萎れてる。お花発見。
元気な色とりどりのお花の中、一輪だけ元気ない。しょんぼりしてる。ピンクのお花。なんでだろう。助けないと。使命感なの。
使命感に駆られるエレは、お花に元気になって。お願いする。
萎れていたお花に、ちょっとだけ元気が戻る。あとは、お世話をがんばる。ゼロなら大丈夫。だけど、忙しいと、大変。だから、小さな精霊さん達に頼んでおく。
「……フォル、お花さん元気になる? 」
「うん。なるよ」
お花を愛でるフォル。とってもかわいい。エレは、隣にいるフォルを見つめる。フォルの横顔すてき。
「……エレ、花を見ているんじゃないの? さっきから、僕見てない? 」
バレた。でも、お花よりフォル。
「花……エレのドレスに花を飾るか。氷の花とか」
氷の花を飾りに。贅沢な気がする。フォルなら本当にそうしそう。
エレは、フォルと一緒にいられるなら、ドレスなんてなんでもいいんだけど。お花を見つめるフォルを見ていたい。でも、急にきた蝶々さんが気になる。
蝶々さん追いかける。空色の蝶々さん。どこに向かっているんだろう。追いかける。
てこてこ
「……」
ゼロいる。ゼロが、優雅に紅茶を嗜んでいる。エレに気づいていない。ガゼボで、優雅に、紅茶を嗜むゼロ。蝶々さんいない。エレは、こっそりとゼロに近づく。
ゼロは気づいていない。これはチャンスなの。エレは、ゼロの背後へ移動。
「しゃぁーーーー‼︎ 」
「エレ? 何してんだ? 」
何もびっくりしてない。いつもと変わらない声。呆れ声。ちょっと不機嫌な感じに振り向いている。
「ゼロいたから」
「俺がいたからなんだよ。ここ俺の趣味部屋だぞ。当然だろ」
それはそう。むしろ、エレ達が勝手に入ってる。ゼロからすきに出入りしていいって言われてるけど。
エレは、ゼロをじっと見つめてあとずさる。
「俺は獣じゃねぇよ」
「……ゼロ、ロストのお洋服って持ってる? 集会とかのお洋服、どんなの? 」
「……俺が知ってるのだと、踊り子のような姿の女性がいたな」
踊り子。寒そう。冷えて凍えそう。エレにはそれはむりなの。
「あとは、そうだな……ふわふわの重そうなドレス」
「……エレ行きたくない」
「お前は行かねぇだろ」
ゼロ、知らない。フォルと二人っきりでお話してたから。連絡もされてない。ゼロは、何言ってんだ。ってお顔をしている。
エレは、ゼロに抱きつく。
「ゼロ、お飾り王様。軽くて着やすい。かわいいお洋服を流行らせるの。いい? 」
「俺は流行の先端いねぇよ……エレ、もしも来るんなら、保温の魔法具とか持っとけよ。あの会場、普通に寒いから。エレだと。踊り子姿は、慣れてるからこそだ。わかったな? 絶対、厚着するんだぞ。特に今は寒いから」
今は寒い? どういう事だろう。この時期は比較、あったかいはずなんだけど。
ゼロの忠告。これは聞いておいた方がいい。確か、ロストの王族達の集いは、二日後。エレは、それまでに、寒さの原因を突き止めておくの。魔法機械を駆使すれば、きっとできる。




