3話 エレエレ調査隊
「よっしゃ! 破壊成功ー! おやつ守った! 」
聞こえてくる、喜びの声。エレの気分は真逆の存在。ため息出そう。この嬉しそうなオーラが。
「……エレ、先帰ってる」
「君は一人で帰れないでしょ。ていうか、何離れようとしてんの? 」
今日は積極的。エレのぽかぽかを感じたいのかな。ゼロのおかげで、さむさむだから。
エレは、高貴なお花の香りでも嗅いでいるの。
「ノーズねぇ、ヴィジェにぃ。魔法陣壊せた。ほめほめ」
相変わらず、甘えっ子ゼロ発動中。定期的にくるから。ゼロの相手は楽じゃないの。エレは、フォルに甘えっ子。
「……ゼロ、エレが寒いから、何か残ってないか探して」
「キシャァーーーー! 」
「エレ探す」
フォルが離してくれた。おてて繋ぐでいいみたい。寒いけど、我慢できる寒さ。お部屋を観察。魔法陣にばかり注目してたの。でも、見てみるとね、魔法陣以外にも怪しいものある。
まずは、謎の棚。こういう棚には、情報が眠っている。きっとそう。
エレは、フォルと一緒に、お部屋の隅っこにある棚へ移動。棚の中には、本が数冊。それに、謎の紙。こ、これは⁉︎ 紙を手に取る。なんて書いてあるんだろう。
えっと、魔星、実験。危険性。中止。中止。
これは、なんだろう。魔星の実験の危険性を認知したのかな。それで、中止を求めたけど、中止になった? 中止の中止。
とりあえず、フォルに渡す。他には何かないのかな。
他に気になるところ。何かないかな。何かないかな。
気になる場所は、魔法陣。魔法陣の跡に何かあるかもしれないの。
魔法陣の跡には、何もないのかな。もう少しちゃんと見ないと。魔法陣だと、普通に観察しているだけじゃ、わからないから。
解析中。解析中。
えっと、完全に壊れてますね。魔星の声でも聞こえればいいんだけど。今のエレには、というか、元々はっきりと聞く事できない。
ゼロの方をチラッて見る。手伝え目線。ゼロは、まだ甘え中。ノーズねぇとヴィジェにぃもさ、あの時の事あったからなのかな。ゼロを甘やかしてるの。だから、ゼロも余計に調子に乗る。あまえあまえになる。
いいもん。エレにはフォルがいるから。
エレの機嫌は、雷雨さん。
「……」
魔法陣から、何も情報得られない。エレの機嫌は、竜巻まで起きています。
「……エレ、天井」
「ふぇ? 天井? な、なんかいるの⁉︎ ふぇ⁉︎ こ、これは⁉︎ 黒い蛇さんなの⁉︎ 」
天井に、黒い蛇さんいる。動かない。動かないけど、とってもリアル。本物にしか見えない。偽物ってわかってるけど、ぷるぷる。フォルに抱きつく。
あの蛇さんはなんなんだろう。監視魔法具なのかな。そうは見えない。ただの飾りのようにしか見えない。
「……何もないね。帰る? 」
「うん。でも、フォルは転移魔法禁止なの……ゼロ……ゼロ……しゃ……しゃぁーーーー! 」
フォルから手を離す。両手を上に広げる。身体を大きく見せる。ゼロがこっちに向いた。ゼロが立ち上がる。
「キシャァーーーー‼︎ 」
威嚇してきたの。帰ろうとしただけで、威嚇してきたの。エレよりおっきぃの。十センチの差は圧倒的。でも、負けない。みんなもきっと、応援してくれているから。
「しゃぁーーーー‼︎ 」
「キシャァーーーー‼︎ 」
「しゃぁーーーーー‼︎ 」
「キシャァーーーーーーーーーー‼︎ 」
ぴぇ⁉︎ あっちの方が強そう。で、でも、帰るって言おうとしただけなのに。お話聞かない方が悪いの。ゼロが悪いの。だから、今回はエレ悪くない。
「……二人とも、おやつ抜き」
ぴぇ⁉︎ それは、やなの。これは、休戦するべき。ゼロと握手。ゼロの右手、冷たい。
ひんやりが、手袋ごしなのに伝わる。
仲良し。ゼロとくっつく。フォルに仲良し見せる。
「……ノーズ、ヴィジェ……リミェラねぇ様に会いたい? エルグにぃ様にこれを、預かってきた。ここへ行けば、会えるって。今後の事に関しては、後で話し合おう。って言われた」
フォルは、後の事まで考えてる。でも、ノーズねぇもヴィジェにぃも、居場所できるかな。居場所を作るのは、簡単に見えて簡単じゃない。エレは知ってる。
みんなが笑っていられる居場所。ロストみたいに。それは、きっと、国じゃなくてもいいの。何か、ないのかな。保護。なんて考えなくていい方法。
エレ一人じゃ、思いつかない。一旦、このお話は持ち越し。エルグにぃも、ひとまずは保護という形で、どうにかしてくれると思うから。
「ありがとう。何から何まで」
「気にしないで、ノーズ。これが僕らの仕事だから。それに、ほっとけるわけないから」
そうなの。ほっとけないの。しかも、ノーズねぇとヴィジェにぃは、十三歳。しっかりしているけど、今のエレ達より年下。
「……ところでさ、これは完全に僕個人の考えだけど、どうするか決まるまでの間でも、色々と学んでみない? きっと、役に立つから」
「それがいいの。エレは、魔法学とか教えられるから」
フォルはきっと、いっぱい考えてる。エレは、フォルに賛成。ノーズねぇとヴィジェにぃが、顔を見合わせる。
少しして、エレ達を見る。
「お願い、できるかな? 」
お願い、できますの。ノーズねぇのお頼みですから。
そういえば、あの魔法陣。前に一度見た事ある気がする。でも、どこで見たか思い出せない。
「うん。エレ、君も一緒に勉強するよ」
「それはお断り申し上げますなの」
こういう時はキッパリと
「えっと、そういえば、教わるよりも、教える方が身につく事ってあるよねー、ヴィジェ」
「う、うん。身につく身につく」
ノーズねぇとヴィジェにぃが味方してくれる。エレは、感謝感激。エレの機嫌は一気に曇り。
「なら、決まりだね。という事で、ヴィジェ。転移魔法、使ってみて? 場所は、エクリシェ……えっと、この魔法具を持ちながら、転移魔法使って」
そんな便利なものが。フォルが収納魔法から取り出したのは、丸い魔法具。きっと、これにエクリシェの座標が記録されてるの。
ところでヴィジェにぃ、転移魔法使えた? エレの記憶だと、使えない。
「えっと、転移魔法ってどうすれば使える? 」
「転移魔法は……がんばる? 」
エレにはわからない。フォルを見る。
「転移魔法は、魔力を集めて、場所を命令する。ついでに、転移命令も忘れないで。魔法式は、魔法命令式と言われる。魔力に命令を加えているだけなんだ。簡単だよ」
それを簡単と言えるのは、簡単と思っている人だけ。フォルは、きっと簡単。でも、慣れてない人からすれば、とってもむずかしい。
ヴィジェにぃは、大丈夫なのかな。ゼロの時は、失敗願ったよ。おやつがあるから。でも、今回は違うの。成功してください。そう願う。願うだけで、変わらないけど。ヴィジェにぃ次第だけど。
ゼロも何か、アドバイス渡してやれ。って目で見る。
「ヴィジェにぃ、エクリシェにおやつあるんだ。クッキー。クッキー欲しい。クッキーのところ行く。そう思えばできる」
ゼロだけ。ゼロは、クッキー欲しいんだね。後でまた一緒に、こっそりとクッキー祭りしようね。
ていうか、結局何もアドバイスない。ゼロとフォルは、わからないがわからないのかも。
これは、エレがいいアドバイスを渡すしかないのかも。
「ヴィジェにぃ、あのね、失敗しても大丈夫だよ。エレは、いつも失敗してるから。でも、みんながどうにかしてくれるの。エレも、どうにかしようとがんばるから、堂々としていればいいよ」
これぞ、とってもすばらしいアドバイス。これできっと、ヴィジェにぃも成功するの。
魔力がヴィジェにぃに集まっている。ヴィジェにぃが、魔法を使う。白い光。光の色的に、転移魔法の可能性がある。
白い光は、果たして、どの魔法なのか。
転移魔法ではあるの。白い光に包まれるエレ達。光が消える。その場所を知る。




