2話 空と桃の御巫候補
フォルは、本当に一日で場所を見つけた。でも、その場所に行っても、行けるかどうかは運次第。らしいの。
ゼロと一緒にねむねむしたのに、ゼロいない。そこから、フォルのお部屋移動。そして、お話中に、その事実判明。
朝から大忙し。
ゼロは見つけた。フォルのお部屋にいた。
大忙しの朝。過ぎても忙しい。変わらない。霧が消えないうちに、早速お出かけ。エレは転移魔法使うと怒られるから、ゼロ使った。
相変わらず、寝転びたいほどの緑大地。草、草。
ふさっふさっの緑の中を進む。進んでいく。空を見る。青い空。ケーキのような雲。
「霧! フォル、霧! 」
右隣を歩くフォルの手を握る。目の前の霧に向かって走る。
真っ白。目の前が見えなくなりそう。
それにしても、どうしてだろう。ここへ、導かれているみたいだった。フォルが場所を見つけてくれた。だからここにきた。それは確かな事。でも、それだけじゃない。そんな気がしてならない、エレなのでした。
フォルの手を離さない。フォルを見失わないように。ゼロの手も握る。またゼロ探しなんて、やだから。
右手にフォル、左手にゼロ。これ、突然魔物さん出てきました。なんて時、どうするんだろう。
霧の中に身体が入る。真っ白くて、ゼロが見えない。でもね、その温もりのおかげで、そばにいるがわかる。
霧に入れた。この後はどうすればいいんだろう。昨日寝る前に、ゼロから聞いた。占い術の内容を。
そこでは、空を仰いだらなんて言ってた。らしい。
そんな事で、何かが起こるのかな。考えるより、試してみるの。
「……」
空を仰ぐ。って、エレは両手が塞がっている。できるわけなかった。
「……ゼロ、空を仰げなの」
どうにかして。ゼロに頼る。
ゼロが空を仰いだ。エレは見ていた。しかし何もおこらなかった。これは、違うようだ。
って事で、どうすればいいのか知ってる人求む。
フォルも、運次第って言ってた。エレ達に運がなかった。そういう事なのかな。
でも、どうにかしてあの場所に行きたい。
フォルを見る。フォルは何も言わない。黙っている。
目の前を見る。やっぱり、何もわからない。
どうすれば、行けるの? 約束したの。だから、導いて。
ピンク色の強い光。霧が、光ってるの。この光は、なんだろう。誰の光? シェフィ? でも、少し違う。シェフィの光は、もっと落ち着きがある。
きらきら。子供みたい。純粋な光。
何かが共鳴する。空色の光とピンク色の光が重なる。
「ゼロ、術使って! 」
「ああ」
フォルの頼みで、ゼロが術を使う。空色の光。凍し檻の中、煌めく希望の光。
希望は、可能性の扉。この場所に可能性を見出す。
この場所の可能性。霧が晴れる。空を見上げる。黒い空。
かつて、人々が争い続けた。それを憂いた世界の意思。世界の意思は、人々に罰を与えた。光なき世界。世界を覆った厚い壁。
おんなじ。あの場所と。エレが、生まれたあの場所と。
人々は、壁がなくなる事を願った。手を取り合おう。壁をなくすために。そう誓った。世界の意思は、信じた。壁をなくした。でも、人々は、世界を裏切った。
「人々は、再び争いを始めた。何も生まない。無益な争いを。それが、人なんだろうか。愛を選ばないのが人なのか。世界の意思は、考えた。始まりの世界に、問いた。なぜ、人は争うか。始まりの世界の意思は答えた。それは、人が弱いから。愛を選べる強さがないからと」
「……エレ? 」
「人は、愛せないんじゃない。愛する勇気がないだけ。始まりの世界の意思は言った。世界の意思は、再び壁を創った。人々への罰。そして、人々への試練」
ここはきっと、二つ目の世界。エレ達は、知らないうちに別の世界へ来ていたみたい。
白い儀式殿。ヴィングジェアの使っていた場所。
エレは、ゼロとフォルの手を離した。
儀式殿の中に入る。白いお部屋。三度目。白だけど、少しだけ黒い。
奥に進む。記憶にある道を進んでいく。
巨大な扉。開いている。やっぱり、導かれてる?
あの時見た、巨大な魔法陣。どうすれば、魔法を解呪できるんだろう。まずは、解呪の方法を調べるための解析。
複雑。複雑。時空魔法ではあるんだと思う。時を遅くする結界。それは、何?
「……魔星を利用する魔法式。それで二人を、閉じ込めてるのか。これなら、どうにかできるかもしれない。エレ、魔星に命じて。閉ざされし時の結界を開けって」
「ふぇ……と、閉ざされし、時の結界を、開け」
結界が消える。あの日と変わらない姿。桃色の編み込みされた髪がかわいいノーズねぇ。それに、空色の癖毛が猫の耳みたいなヴィジェにぃ。
「……エレ、ゼロ」
「本当に、助けに来てくれたんだ」
うん。そうだよ。甘えっ子ゼロ。二人に抱きつきにいく。身長逆転。なんという現象でしょう。
エレは、おとなしい。大人っぽい再会をするの。
ゼロが抱きついているのを、微笑ましい感じで見ている。これぞ大人。大人な再会。
「……エレ、魔物と魔法機械」
もっと大人なフォル。冷静なの。いつのまにか、魔法機械と魔物に囲まれてる。
魔物は浄化でどうにかなるの。白い光。ピンク色の光も混ぜる。祈るように、両手を胸の前で組む。穢れし、悲しき想いが、浄化され、清き願いになりますように。
魔法機械は、どうにもできない。これは、エレお手製の球状の魔法具。これを使う時が来たのかも。
「エレ」
「ここはおれたちに任せて」
ゼロ、預けられた。ノーズねぇとヴィジェにぃが手を繋ぐ。
黄色と紫色の光が、二人の繋ぐ手を包む。
ドゴォォォン
轟音が鳴る。紫色の光が、魔法機械に落ちる。焦げた魔法機械。これは、部品の再利用は無理そう。
「すごいの。って、また来てる⁉︎ じょぉーか、じょぉーか」
今度は魔物だけ。エレの浄化魔法。魔物は浄化された。
白い光りに包まれる魔物。どうして、こんなに魔物くるんだろう。それがわからないまま、また魔物来た。キリないの。浄化魔法使うだけでも、体力使うから、疲れるの。
「フォル、どうにかできねぇのか? 」
「……ごめん。しばらくは魔法も神聖術も控えろって言われた」
みゅ? 控えろ? そういえば、普段ならフォルが転移魔法使う。なのに、今日は自然とゼロ。フォルは、魔法も神聖術も使ってない。
お仕事って言ってたけど、本当にお仕事だったのかな。転移魔法、使わせたから。あれを使わせなかったら、エレが余計な事しなかったら。エレが悪いの。
「……」
ぽかぽか。何も見えないの。かろうじて見えるのは、深緑。
背中に何かあったってる。ぽかぽか。
「ゼロ、魔法陣壊して。壊せなかったら、今日のおやつはエレにあげるから」
ゼロは失敗すればいいの。エレがどうにかするから。失敗して、おやつエレに渡せ。
エレもゼロもおやつ少ない。制限されてるの。甘いものは、魔力吸収力を大きく変えるから、危ないって。
だから、失敗してエレに譲れなの。
でも、見えないけど感じる。ゼロの、絶対に失敗してたまるか。って念が。
エレの失敗を願う念と、ゼロの失敗したくないという念。果たしてどっちが勝つのでしょうか。
エレがんばれ。エレ負けるな。
何も見えないから、感覚を研ぎ澄ます。魔力と神聖力を身体で感じる。
どこか一点に、魔力が集まっている。きっと、ゼロがいる場所。ひやひやが、エレの方にまで伝わってくる。ぽかぽかで暖を取るの。
「……エレ、おやつ欲しさに失敗願ってない? 」
すぐそばから聞こえる声。フォルは、なんでもお見通し。
魔力、集まった。きっと、今から魔法使う。空色の光り。わずかに見えた。魔法は成功しても、魔法陣の破壊が成功するとは限らない。エレはまだ、奇跡を信じる。
エレとゼロの賭け、じゃなくて、対戦。その結果は




