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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
3章 エレ編 過去のおいてきもの
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1話 エレとゼロの時間


 ※この章開始時は、エレ編二章終了からシェフィ編二章一話開始頃の時間軸です


 ——


 リミェラねぇは、エルグにぃのお願いで、どっか行ったの。でも、それでも、ノーズねぇとヴィジェにぃを助けるのは、変わらない。


 空色のお部屋。厚着していないと、ちょっとひえひえ。氷のようなお部屋。これは誰のお部屋でしょう。


 エレは、冷たいソファにちょこんと座る。氷のようなのに、柔らかい。


 今日は、エレとゼロで、会議。おやつのお菓子がいっぱいにゃん。

 映像視聴魔法具。薄くて長方形の魔法具。いろんな映像が見れるの。それに映るのは、ピンク色の可愛い子猫。真剣ばかりじゃ疲れるから。特殊な子猫達の冒険譚を見るの。


「……俺が見たのは、こんな魔法陣」


「うん……エレも一緒に見てたの。これを解析して、解呪しないとなんだよね? できるのかな? 」


 ゼロが作ってくれたクッキー。チョコレート味を左手で取る。お口に加える。あまにが。


 全然、会議は進まない。


 ゼロが立ち上がる。

 限定のピンク色と空色の子猫のカップ。お高かったけど、買って後悔なしの一品。中に入った紅茶は、苦味が少ないの。ゼロが、エレのために品種改良してくれてた。知ってるの。


 香りもとっても良き。柔らかい、果物のような香り。


「ふにゅぅぅ……すき」


「俺も」


 紅茶を飲みながら、二人の時間を楽しんでる。


 カタン——扉が開いた。扉の方を見る。反射的に。


 翠色の瞳が、エレを見つめる。


「お仕事終わったの? 」


「うん。ごめん」


 何に対しての謝罪かわかんないの。お仕事で相手できない事? それとも、お仕事するからって、エレ達を追い出した事?


 どっちでもいいの。フォルが、お仕事終わったから、会議に参加。強制。


 ゼロが、フォルのために紅茶用意してる。金色の子猫のカップ。


「エレ、この前の木の実の模様。あれわかったよ。奇跡の魔法が書かれている書物に、おんなじ模様が書かれてた。奇跡の証明らしい」


 奇跡の証明。魔法の成功を示しているのかな。


 フォルがソファに座る。目の前にある、お菓子に注目している。


「……エレ、ゼロ」


「これ、ゼロが作ってくれた、魔力と神聖力の吸収に影響しない、お菓子なの」


 何か言われる前に、言い訳。言い訳を先にするのが、エレ達。


「……それなら……紅茶、いただくよ」


 フォルが紅茶を飲む。


「相変わらず、淹れるの上手いね……それで、どこまで話、進んだの? 」


「何も。ずっと脱線しまくってた。ゼロなんて、紅茶淹れる時以外、み……ピンク色の子猫達の冒険譚に夢中なの」


 だから、さっきから必要以上には話さないの。つけなかった方が良かったかな。


「……とりあえず、場所がどこか。君らは知らないの? 行ったんだよね? 」


 知らない。あの世界。それだけしか知らない。魔力を追っていたから、場所は見てない。


 ゼロは、どうなんだろ。視線を送るけど、子猫の冒険譚に夢中。


「……少なくとも、あの世界でいいよね」


「うん。なんだろう。儀式しそうな場所だった。あっ、よくわからない扉があった気がする。黒蛇。黒蛇が描かれてた。扉」


「ああ、時空魔法系か。それに蛇……時の審蛇。って事は、簡単に見つけられはしないかな」


 時の審蛇ってなぁに? フォルがむずかしそうなお顔をしている。いまだにゼロは、こっち見ない。こっち見ろって思うのに。


 あっ、終わったの。第一弾終わったの。第二弾はまだ出ていないから、これできっと


「……時の審蛇ってなんだ? 」


「ヴィングジェアの種族の一種。あの種の建造物は見つけづらいんだ。君らは、招かれていたみたいだけど」


 招かれないと、見つけるのは困難。それならば、エレにお任せ。エレなら、見つける事ができると思うの。


 エレはフォルをじっと見つめる。


「……それしかないか。ゼロ、僕が仕事中、何もしてなかったんでしょ? 魅了使ってよ」


「や……わかった。エレ、こっち見ろ」


 エレに魅了は通用しないの。でも、それは、耐性がある程度あるから。ゼロの魅了は効果あるの。


 エレは、ゼロを見つめる。夜の氷景色。吸い込まれるような青い瞳。とても、きれい。

 じっと見つめていると、ぼぉーっとしてくる。頭がふわふわ。お空にいるみたい。


「……エレ、好きなケーキ言え」


「フルーツタルト」


「じゃあ、何も考えるな。俺のために、占い術を使え。ノーズねぇ……リミェラ・ゴーヴァウド・ヴァリジェーシルの御巫の居場所を教えろ」


 何も考えないの。真っ白。透き通る。


「……緑の大地。荒れ狂う靄抜けて……果てなき空を仰いだら、暗黒の蛇に辿り着かん」


「ありがとな」


 ふぇ? 何があったんだろう。覚えてない。魅了で記憶曖昧。それに、占い術の使用。その時の言葉は、エレは覚えられないの。かけらだから、だと思う。


「緑の大地は、リミェラねぇ様のいた世界。荒れ狂う靄……霧が出ている場所がないか、調べてみるか……エレ、一日。一日で見つけるから。今日はゼロと一緒にいて」


「うん。わかった。じゃあ、エレは、ゼロと一緒にできる事しておくの」


 フォルと一緒にいれないのは寂しい。フォルが立ち上がる。今回の転生、再開後からは見た事ない。フォルがケープを着てるところ。


 本当に久しぶり。ギュリエンにいた頃は、よく着ていたんだけど。


 フォルが立ち上がる。エレの方へ来る。


「エレ、こんな寒い場所で、風邪ひかないでね」


 ふぇ⁉︎ フォ、フォルの、フォルのケープ。濃い緑色のケープ。エレに、エレに羽織らせるの。フォルが、フォルの匂い付きケープを


 くんくん? くんくんがいいかな。それからかな。ぽかぽか。ぽかぽかなの。


「うん。すき」


 エレは、フォルすき。


「……ぎゅぅ」


 ひんやりぽかぽか。

 エレは、ゆっくりとこのひんやりぽかぽかを楽しむ。


「……エレ、俺らも調べ物は、エレがいやがるか。なら、勉強だな」


「いやがるのだ。という事で、エレは逃げ」


「さすわけねぇだろ。扉氷で塞いでるから、勉強するぞ。ほら、今日は御巫についてだ」


 それは興味ある。大人しく座ってる。ゼロの講義を聞いてやるの。


「黄金蝶は、特殊な種族。そのくらい知ってんだろ? 」


「当然。ついでに、御巫は黄金蝶の伴侶。エレはフォルのお嫁さん」


 フォルは、都合いいから、エレ達を御巫に選んでいるけど。しょんぼり。


 ゼロがエレの頭を撫でてくれる。慰めのつもりなら、とってもしゃぁーなの。でも、撫ですきだから、しゃぁーできない。


「そうだ。御巫は黄金蝶の伴侶。だが、御巫はそれなりに資質を持ってる。そこを、狙う連中もいる。前々回の時みたいに」


 前々回。思い出したくもないの。

 ゼロが、助けてくれなかったら、エレは今ここにいない。それだけは、はっきりわかる事。


 また、あんな事になるなんて、絶対にや。それもわかるかも。


 俯くエレに、ゼロがぎゅぅする。


「……ノーズねぇとヴィジェにぃも、そういう事だったんだろうな。あれが、どうなっているのかさえわかれば、目的もわかるんだろうな」


「……目的……時の流れの魔星、聖浄な器を求める。永遠なる時の中、刹那の希望、与えし器。待ち続け、夢を与えん」


 なんだろう。言葉が、勝手に出てくる。占い術は使ってないのに。昔から、たまにあるけど。いつも不思議。原因がわからない。星の記憶にも、答え知らず。


 ついでに、意味も知らず。


「……またか。今回は……エレ、意味教えろ」


「エレ、意味教えない」


「エレ、時の魔星は、ノーズねぇとヴィジェにぃを求めてた。あの空間で、時の魔星は、二人を守ってる。二人に夢を与えている? なら、なんで」


 ゼロがエレのほっぺをつんつんしてるの。でも、エレは、わかってきた気がする。


 魔星の利用。研究。そのための生贄。それが、あの二人だった。そういう事なんだと思う。


 アスティディアの雨。あれは、きっと時の魔星を研究した成果。

 だとしたら、この先も魔星が敵になるのかな。


 ゼロは、気づいてないみたいだから、ほっぺ膨らませておく。つんつんやめるまで。やめたら、何も知らないよ。って、一緒にねむねむするの。


 それで、エレはフォルに相談しよっと。

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