1話 エレとゼロの時間
※この章開始時は、エレ編二章終了からシェフィ編二章一話開始頃の時間軸です
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リミェラねぇは、エルグにぃのお願いで、どっか行ったの。でも、それでも、ノーズねぇとヴィジェにぃを助けるのは、変わらない。
空色のお部屋。厚着していないと、ちょっとひえひえ。氷のようなお部屋。これは誰のお部屋でしょう。
エレは、冷たいソファにちょこんと座る。氷のようなのに、柔らかい。
今日は、エレとゼロで、会議。おやつのお菓子がいっぱいにゃん。
映像視聴魔法具。薄くて長方形の魔法具。いろんな映像が見れるの。それに映るのは、ピンク色の可愛い子猫。真剣ばかりじゃ疲れるから。特殊な子猫達の冒険譚を見るの。
「……俺が見たのは、こんな魔法陣」
「うん……エレも一緒に見てたの。これを解析して、解呪しないとなんだよね? できるのかな? 」
ゼロが作ってくれたクッキー。チョコレート味を左手で取る。お口に加える。あまにが。
全然、会議は進まない。
ゼロが立ち上がる。
限定のピンク色と空色の子猫のカップ。お高かったけど、買って後悔なしの一品。中に入った紅茶は、苦味が少ないの。ゼロが、エレのために品種改良してくれてた。知ってるの。
香りもとっても良き。柔らかい、果物のような香り。
「ふにゅぅぅ……すき」
「俺も」
紅茶を飲みながら、二人の時間を楽しんでる。
カタン——扉が開いた。扉の方を見る。反射的に。
翠色の瞳が、エレを見つめる。
「お仕事終わったの? 」
「うん。ごめん」
何に対しての謝罪かわかんないの。お仕事で相手できない事? それとも、お仕事するからって、エレ達を追い出した事?
どっちでもいいの。フォルが、お仕事終わったから、会議に参加。強制。
ゼロが、フォルのために紅茶用意してる。金色の子猫のカップ。
「エレ、この前の木の実の模様。あれわかったよ。奇跡の魔法が書かれている書物に、おんなじ模様が書かれてた。奇跡の証明らしい」
奇跡の証明。魔法の成功を示しているのかな。
フォルがソファに座る。目の前にある、お菓子に注目している。
「……エレ、ゼロ」
「これ、ゼロが作ってくれた、魔力と神聖力の吸収に影響しない、お菓子なの」
何か言われる前に、言い訳。言い訳を先にするのが、エレ達。
「……それなら……紅茶、いただくよ」
フォルが紅茶を飲む。
「相変わらず、淹れるの上手いね……それで、どこまで話、進んだの? 」
「何も。ずっと脱線しまくってた。ゼロなんて、紅茶淹れる時以外、み……ピンク色の子猫達の冒険譚に夢中なの」
だから、さっきから必要以上には話さないの。つけなかった方が良かったかな。
「……とりあえず、場所がどこか。君らは知らないの? 行ったんだよね? 」
知らない。あの世界。それだけしか知らない。魔力を追っていたから、場所は見てない。
ゼロは、どうなんだろ。視線を送るけど、子猫の冒険譚に夢中。
「……少なくとも、あの世界でいいよね」
「うん。なんだろう。儀式しそうな場所だった。あっ、よくわからない扉があった気がする。黒蛇。黒蛇が描かれてた。扉」
「ああ、時空魔法系か。それに蛇……時の審蛇。って事は、簡単に見つけられはしないかな」
時の審蛇ってなぁに? フォルがむずかしそうなお顔をしている。いまだにゼロは、こっち見ない。こっち見ろって思うのに。
あっ、終わったの。第一弾終わったの。第二弾はまだ出ていないから、これできっと
「……時の審蛇ってなんだ? 」
「ヴィングジェアの種族の一種。あの種の建造物は見つけづらいんだ。君らは、招かれていたみたいだけど」
招かれないと、見つけるのは困難。それならば、エレにお任せ。エレなら、見つける事ができると思うの。
エレはフォルをじっと見つめる。
「……それしかないか。ゼロ、僕が仕事中、何もしてなかったんでしょ? 魅了使ってよ」
「や……わかった。エレ、こっち見ろ」
エレに魅了は通用しないの。でも、それは、耐性がある程度あるから。ゼロの魅了は効果あるの。
エレは、ゼロを見つめる。夜の氷景色。吸い込まれるような青い瞳。とても、きれい。
じっと見つめていると、ぼぉーっとしてくる。頭がふわふわ。お空にいるみたい。
「……エレ、好きなケーキ言え」
「フルーツタルト」
「じゃあ、何も考えるな。俺のために、占い術を使え。ノーズねぇ……リミェラ・ゴーヴァウド・ヴァリジェーシルの御巫の居場所を教えろ」
何も考えないの。真っ白。透き通る。
「……緑の大地。荒れ狂う靄抜けて……果てなき空を仰いだら、暗黒の蛇に辿り着かん」
「ありがとな」
ふぇ? 何があったんだろう。覚えてない。魅了で記憶曖昧。それに、占い術の使用。その時の言葉は、エレは覚えられないの。かけらだから、だと思う。
「緑の大地は、リミェラねぇ様のいた世界。荒れ狂う靄……霧が出ている場所がないか、調べてみるか……エレ、一日。一日で見つけるから。今日はゼロと一緒にいて」
「うん。わかった。じゃあ、エレは、ゼロと一緒にできる事しておくの」
フォルと一緒にいれないのは寂しい。フォルが立ち上がる。今回の転生、再開後からは見た事ない。フォルがケープを着てるところ。
本当に久しぶり。ギュリエンにいた頃は、よく着ていたんだけど。
フォルが立ち上がる。エレの方へ来る。
「エレ、こんな寒い場所で、風邪ひかないでね」
ふぇ⁉︎ フォ、フォルの、フォルのケープ。濃い緑色のケープ。エレに、エレに羽織らせるの。フォルが、フォルの匂い付きケープを
くんくん? くんくんがいいかな。それからかな。ぽかぽか。ぽかぽかなの。
「うん。すき」
エレは、フォルすき。
「……ぎゅぅ」
ひんやりぽかぽか。
エレは、ゆっくりとこのひんやりぽかぽかを楽しむ。
「……エレ、俺らも調べ物は、エレがいやがるか。なら、勉強だな」
「いやがるのだ。という事で、エレは逃げ」
「さすわけねぇだろ。扉氷で塞いでるから、勉強するぞ。ほら、今日は御巫についてだ」
それは興味ある。大人しく座ってる。ゼロの講義を聞いてやるの。
「黄金蝶は、特殊な種族。そのくらい知ってんだろ? 」
「当然。ついでに、御巫は黄金蝶の伴侶。エレはフォルのお嫁さん」
フォルは、都合いいから、エレ達を御巫に選んでいるけど。しょんぼり。
ゼロがエレの頭を撫でてくれる。慰めのつもりなら、とってもしゃぁーなの。でも、撫ですきだから、しゃぁーできない。
「そうだ。御巫は黄金蝶の伴侶。だが、御巫はそれなりに資質を持ってる。そこを、狙う連中もいる。前々回の時みたいに」
前々回。思い出したくもないの。
ゼロが、助けてくれなかったら、エレは今ここにいない。それだけは、はっきりわかる事。
また、あんな事になるなんて、絶対にや。それもわかるかも。
俯くエレに、ゼロがぎゅぅする。
「……ノーズねぇとヴィジェにぃも、そういう事だったんだろうな。あれが、どうなっているのかさえわかれば、目的もわかるんだろうな」
「……目的……時の流れの魔星、聖浄な器を求める。永遠なる時の中、刹那の希望、与えし器。待ち続け、夢を与えん」
なんだろう。言葉が、勝手に出てくる。占い術は使ってないのに。昔から、たまにあるけど。いつも不思議。原因がわからない。星の記憶にも、答え知らず。
ついでに、意味も知らず。
「……またか。今回は……エレ、意味教えろ」
「エレ、意味教えない」
「エレ、時の魔星は、ノーズねぇとヴィジェにぃを求めてた。あの空間で、時の魔星は、二人を守ってる。二人に夢を与えている? なら、なんで」
ゼロがエレのほっぺをつんつんしてるの。でも、エレは、わかってきた気がする。
魔星の利用。研究。そのための生贄。それが、あの二人だった。そういう事なんだと思う。
アスティディアの雨。あれは、きっと時の魔星を研究した成果。
だとしたら、この先も魔星が敵になるのかな。
ゼロは、気づいてないみたいだから、ほっぺ膨らませておく。つんつんやめるまで。やめたら、何も知らないよ。って、一緒にねむねむするの。
それで、エレはフォルに相談しよっと。




