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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
2章 シェフィ編 真実への道
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9話 白い空間の黒い場所


 今日は、ちゃんといる。ほっぺ膨らませてる。

 白い空間なのに、なぜかピンクの空気。


「感想千文字」


 僕とエルは顔を見合わせる。千文字なんて、浮かんでいない。という事で


「雲みたいでした」


「買うから許してください」


 これでどうにか許しをこう。


「許す。わたし、用事あるから帰るね」


 帰るって、ここが今の君の居場所でしょ?


 えっ⁉︎ どこいくの?


「待って」


 とにかくついていく。


 迷わずに一直線に歩いている。歩く速さが遅いから、簡単についていける。



 白い空間なのに、ピンク。その理由は、簡単だった。


「おかえり」


「ただいまー。あっちのエレはまだゼロと遊んでるの? 」


「うん。ごめん。色々と迷惑かけて」


「迷惑じゃないよ。それに、わたしも、フォルに心配させちゃったみたいだから。覚えてないけど」


 覚えてない。その言葉に反応する。


 色々と気になる事はある。フォルがいるのは、前回もそうだった。けど、ベッドはなに?


「忘れたままでいいんじゃない? 」


「そうかな」


 エレとフォルがらぶしてる。ピンクの空気はエレから漏れ出てる。


 花器の方は、見当たらない。かなり遠くで遊んでいるのかな。


「……フォル、本当に大丈夫なの? 今からでも、わたしが他のみんなに頼むよ? 」


「大丈夫だよ。元々、覚悟の上なんだ。怪我だって、そんなに酷いわけじゃないから。むりに術を使った反動が来ただけだよ」


 術の反動。意識をこっちに移動させている。そうは言っても、身体の状態を一部引き継がれている。

 術の使いすぎか、制御がままならない状態でむりに使ったか。それで、現実でも動けない状態か。


「……エレ、少しだけ、シェフィと話させて」


「……うん。じゃあ、わたしもゼロと遊んでくる」


 彼女に話をしようと思ってたけど、覚えてないならいいか。

 むしろ、変に思い出させない方がいいかも。


 彼女が奥の方へいく。


「……」


「この前ぶり。ごめん、エレを両方独占しちゃって」


 あれは、知らないんだよね。エレも、見てないんだよね。


「大丈夫? 」


「うん。平気。ちょっと、ギュリエンの後の事、知っただけだから……居場所をなくして、隠れて暮らさないといけなくなって……その恨みを、外に向けていた。あの子から聞いた? いくつかの場所で起きている襲撃と行方不明者の件」


 あれか。彼女が言っていた。


 フォル達の方で、対処してくれていたんだ。


「……あれで、調査のために攫われ役かって出たらさ、あの組織に、居場所を奪われた子達だった。中には、ギュリエンの住民もいた」


「……そう、なんだ」


「元々、エルグにぃ様が支援するって話知ってたんだ。だから、隠れなくていいようにってその話出したけど、信じてもらえなくて……殴られた時、これは、当然の報いだって思ったよ」


 今にも泣きそうな顔で笑う。当然じゃない。あれは、君のせいじゃないでしょ。


 知っているから、そう言えるんだ。知らなければ、何も言えない。


「術の反動は、完全に自業自得。アディ達が来たのに、魔物に襲われかけたみんなを、むりに助けようとしたから。あの後、みんなから怒られたよ」


「当たり前だよ。僕だって、その場にいたら怒ってた」


 それに、ぎゅぅって抱きしめてた。


 ぽかぽか。熱があるのかな。熱い。


「……シェフィ、フォル……エレが泣いてる」


 前を向く。エレが泣きながら走ってくる。花器のエレも。

 ゼロが何かした。なんて事はないと思う。


 二人のエレが、僕に抱きついた。


「ふぇぇぇぇん」


「ふぇぇぇぇん」


 泣いていて何も話してくれそうにない。


 どっちかでも話をしてくれるようになればいいんだけど。


「エレ、こっち見て」


 エルが愛魔法を使った。ピンクの光が、ハートの形になる。ハートが花になった。花びらがふわふわと舞っている。


 エレ達が、エルの魔法に釘付けになっている。涙が止まってる。


「エレ、何があったのか話してくれる? 」


 なんでエルの方が、エレの扱い慣れてるんだろう。


「……あのね、あのね……エレ」


「……あのね、あのね……急に、急に、真っ黒くなって……ゼロが、ゼロが、どっかに行っちゃったの」


 また泣き出す。どういう事? エレの話だけだとわからない。エルを見る。エルが首を横に振る。

 フォルは考えモード。


 えっと、泣いているエレの話。ゼロと遊んでいた。本来白い空間なのに、急に黒くなった。それでどうして、ゼロがいなくなった?


 この空間から、出ただけ? そうだとすれば、黒い現象が説明つかない。


「穢れ? この場所でそんな事あるの? 」


「ないと思う……この空間は記録場。記録が何かに侵されている? だとすれば、エレをこの場所においておかない方がいいんじゃ」


 僕も、フォルと同意見。だけど、今起こすわけにはいかない。かけらが全て集まっていても。


 あの子は、危険だから。制御できていればいい。自ら望まなければいい。でも、もし望めば、あの子は、世界を思いのままにだってできると思う。


 あの子を起こすのは、それを利用される可能性を最小限にしないと。今は、それができない。


 それに、最後にかけらは、自分がかけらである。その事を最近自覚したばかりなんだ。もう少し、このままにさせてあげたい。できれば、自分から戻ろうとして欲しい。


「シェフィ? 」


「……フォル、ごめん。色々と押し付けて。ゼロの事は、こっちでどうにかする」


「……正直、今の状態だと足手纏いになるだけ。わかってる。でも、僕にも協力させて。お願い」


 そうしたい。そう決めたフォルは、ほんとに頑固なんだ。それに、僕はこの真っ直ぐなフォルがすきなんだ。


 あとはエル次第。エルは、何も言ってこない。肯定も否定もしない。僕のすきにしろという事かな。


「わかった。それで、君らはどうする? 怖いなら、残っていいよ。結界魔法で守ってあげるから」


 二人のエレ。二人は、顔を見合わせている。見せるのは、意志の強い、凛とした瞳。


「わたし達も連れてって。何もできないかもしれないよ。でも」


「ゼロを助けたいの。エレ達にも、ゼロを助けさせて」


 エレは、ほんとにつよい子だ。見てきたんだ。泣いてたんだ。なのに、迷わず自分から逃げ道を封じに行く。その、意思だけで。


「わかった。でも、その前に色々と準備させて」


「うん。僕も、もう少し休んでおきたい。それに、情報収集したい」


「わかった。じゃあ、エレだけ置いてってね」


「うん。エレも、エレと一緒がいい」


 エレと花器のエレだけを置いておくには、不安はある。でも、二人っきりで話したい事もあるのかもしれない。


 念の為結界魔法をかけておけばいいかな。その結界内からは離れないようにしてもらえば。


「エレ、結界魔法の外には出ないでよ」


「うん。出ない。出ないの」


「出ないよ。エル、今度は、ちゃんとお話してね。教えてくれるまで、諦めないから。どんな方法使っても、ここからださないから」


 エレは、聞いていたんだ。あれだけ普通にしてたから、何も聞いていないと思ってた。だとすれば、初めから、僕らがフォルに話すために離れてただけ。


 僕の戦い方については、記憶ないみたいだけど。


「うん。話すよ。君にも」


「そうしろなの。ゼロならきっと大丈夫だから、ゆっくり準備してね。フォルも、いっぱい休んで。二日後、またきて……シェフィ、エル、二日後だから。現実時間二日後だから」


 僕らがいる空間の事、理解してる。さすがは設計者。


「うん。わかってるよ。一度あそこから出るから」


「うん。ティアにも、説明しておかないと。またエレと会ってる。ずるいとか言われそうだけど」


 ああ、ティアはエレ狂いだから。とりあえず、ここから出るのってどうすればいいのかな。


 自分から出る事なかったから。


「……エレ、ここからみんなを出してあげよ」


「うん。エレとエレを残して、一旦お別れ」


 僕らの身体が光る。この空間から出る時の光。


 エレ達のおかげで、僕らは外に出る。

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