7話 閉ざされたもの知る時暗闇誘う
大量の雑兵とでも言おうかな。生まれたからと、僕らは立ち上がる。
僕とエルは、今度は一緒。
「エル、僕らってフィルとオルより強いんだって。心外だよね」
「うん。心外。生命の神聖より強いわけないじゃん」
本来であれば、僕らは生命の神魔聖より劣っているんだ。なのに、あの二人ときたら、僕らの方が強いなんて言ってるから。
僕に向かってくる雑兵は、みんな地面と仲良ししたいみたい。そこに、エルの方に向かってた雑兵が近づく。
同士討ち。その後自爆。
側から見れば、僕らは何もしてない。動いてすらいないんだ。
パッチィーン
僕の右手と、エルの左手が重なる。いい音鳴った。
「あっ、次出た次。誰にする? これどんどん強くなるなら、弱い順で僕が」
雑兵がいなくなって、次なるボス。ボス二が現れる。
生命系の方が優秀。そして、魔聖の方が多彩。という事で、消去法で僕でしょ? 悪ノリ中のエルが隣で同意中。
「フィル、あの愛陣は無視して行ってきていい」
「……そうする」
オルの指示で、フィルになった。ボス二は、大きい。とにかく大きい。目の前に見えるのは、足。見上げると、茜色に光る穴が二つ。これって、僕ら見えてんの?
ボス二が、その巨大な足を持ち上げた。ゆっくりと、動かされる右足。フィルの真上で止まる。
「……ごめん。情報が欲しいから」
黄金の光。長方形の石に変わる。石が、ボス二を押し潰した。そして、
【神聖、魔聖、ともに二十三。それぞれ役割あり。炎、水、風、雷、土、創造、智、破壊、音、邪、聖、光、闇、幻、時、変化、異空、隠、氷、生命、愛、希望】
情報が現れる。でも、一番欲しい情報。そこだけは抜けている。どうして、どうして——
フォルだって、役割があるはずだよ。じゃないと、神聖に選ばれない。
神聖じゃなくても、僕は、フォルがすきだよ。でも、でも、役割がないのに、苦痛だけを与えられていたなんて。そんなの、報われないじゃん。
「は? えっ? なんで欲しい部分だけ抜けてるの? こんなに苦労したのに」
「次くればまた何かわかるんじゃない? 」
「それもそっか」
エルに言われて、切り替える。次の雑兵を待つ。
今までなら、そろそろ出ていたのに。出てこない。
「まさかこれで終わり? 」
「なわけないだろう。今は準備中だ。まさか、こんな変わり映えのしない魔法具と思ったか? 」
「何が? 変わり映えならしてるでしょ。魔法機械生物とか。だんだん強くなってるんだから」
オルは何を言ってるんだろう。これ以上何を求めているわけ? そもそも、情報を守っている魔法具なんだよね?
何を言っているんだ。割と本気でそう思ってた。そう思いながらも、待ってた。オルのいう準備が終わる時を。
草が赤茶色になった。空が茜色。場所は変わっていない。時期が変わったみたい。
あのさ、戦闘中に、わーこの景色すっごくきれい。ここにいると落ち着くよー。僕、この景色だいすき。
とか思うと思う?
戦闘時に、景色気にすると思う? 景色が変わらない戦闘。ああ、飽きてきた。なんて考える暇ないでしょ。飽きるなら、それは相手が雑魚すぎて、相手するのに飽きました。とかだと思うんだけど。
ゼロ、ゼロ、お願い。お願いだから、ここにきてツッコんで。
ゼロはいない。雑兵は襲ってくる。今度はボス二より少し強いくらいの強さ。
「ボス二くらいなら百体はいける」
エルが突然そんな事言うからさ
「えー、何言ってんの? 千は行こうよ」
って、流れるように返してた。
「シェフィなら一万? 」
なんて返されたたけど。
これだけ呑気にしていると、知らないうちに雑兵が消えてる。
ボス三。今度は人より少し大きい程度。頭に四角い盾が特徴。
「……えっ? なんで頭の上? 」
「あそこ弱点なんじゃない? 」
エルがわかってなさそうだったから、適当に言ってみる。
今度はエルの番だって。僕最後だって。
物理っからレーザーになった。ボス三の目から、レーザーが放たれる。エルに向かって。よく聖衣であそこまで動けるよ。放たれるレーザーから、軽々避けているエル。
軽やかな動きで、地面から離れる。ピンクの光を右足に纏う。愛魔法による光。
盾なんて関係ない。そんな蹴りが、ボス三の盾を壊す。頭上に当たる。
魔法機械生物って重い。そんな印象だったんだけど。あんなふうにぶっ飛ぶんだぁ。
「……ふぅ」
何、一仕事終えましたって顔してんの? 汗一つかいていないくせに。帽子を外して、両手で持ってる。ぴょんっとアホ毛が。帽子外したから。帽子の下からこんにちは。
情報が出る。ボス三の討伐報酬。なんかこの言い方だとゲームっぽくない?
さてさて、情報は——
【星の存続に欠かせないもの。それは生命。生命はその役割くる日まで自由を与えられる。その時がくれば、生命はその身に変えて星を創る。星の真実知る時、願い叶えると信じる者。希望を持ち祈り捧げよ。我らは常に見守らん】
「……」
なに、これ。まさか……
だとしたら、どうして。どうして、それが抜けているの? だって、そんな重要な話なら、僕らが知っていていいはず。
僕らに、神聖に、救いは、ないの?
僕は、何のために、知ろうとしてたんだろう。こんな事が、真実だとするなら——
知らなければよかった。知ろうとしなければよかった。そうすれば、まだ救いはあったんだ。
ああ、今は雑兵を倒さないと。まいったな。頭で理解しても、身体が、動かないや。
なんて、考えてる場合じゃないだろ。今こうしている間にも、エルに迷惑かけてるんだ。動いてよ。動けよ。
こんな場所で、暴走するなよ。
——……
だめだ。感情が、いう事聞いてくれない。
「……っ⁉︎ 」
「フィル、今はこっちに集中する事を薦める」
「……ありがとう」
フィルと、オルの声だ。そう、だよね。フィルだって、僕とおんなじ。ううん、きっと、それ以上に、受け止められてない。
動かないと。落ち着かないと。目の前の事に、集中しないと。
わかってる。わかってるのに、できないんだよ。ずっと、悩んでた。自分には役割がないんじゃないかって。だから、だから、君にも役割がある。僕らと一緒にいていい。君も、役割を担う神聖の一人なんだ。
そう、言えるために。言ってあげられるために、していたのに。
僕のしてきた事は全部、全部、僕らとは違う証拠探しをしてただけだったんだ。
何の未来も、希望もないんだって、知らせようとしてただけなんだ。
ごめん。ごめんなさい。僕が、知りたいと思ったせいなんだ。ごめんなさい。こんな、真実を見せて。
僕に会いにこなかったら、フィルは、見なくて済んだんだ。僕を心配して、協力してくれるって、ついてきてくれた。そのせいで、フィルにまで、見せている。
フィルは、戦っている。雑兵と。でも、普段はしないようなミスをしている。
「……シェフィ」
神聖力が、制御できない。制御しないと。なんて思っていると、余計に。
「……シェフィ、聞いてんの? ……話聞けよ。物理特化毒無効チート」
「……」
「……シェフィ。シェフィ……聞こえてんでしょ? あのさ、ぼくにばかりめんどうかけないでもらえる? 今ここで、落ち込んでいても何も変わんない。そんな単純な事すらわかんないわけ? 」
わかってるよ。わかっていても、身体は嘘を許してくれないんだよ。
もう、真実を映すこの目を、閉じたい。前に進む足を、止めたい。
「……そうだよ。神聖は本来、二十二の役割。生命の星に生まれた魔聖の一人は、役割のない神聖の護衛。ぼくらに、初めから未来なんて存在しないんだよ」
……えっ
それって、魔聖は




