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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
2章 シェフィ編 真実への道
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6話 面白い場所


 徹夜だったけど、なんだかすっきりしている。久々にあれだけ動き回れたからかな。


 今日は、情報収集のために行きたい場所があるんだ。フィルがいるから、僕とエルとフィルで。


 等間隔で並ぶ古風な建物。石と特殊な土の地面。この土は、この周辺だけじゃなかったかな。鮮やかな赤黄色の土。


 進んでいくと、目立つ建物がある。偉い人が住んでいるかのような、大きな建物。


 僕らは、その建物の中に入る。


 丈夫な草を編んで作られている床。青年が座っている。白銀の髪。その奥には黄金がある。


「……なぜ徹夜したかのような顔をしているんだ? 」


 そんなにひどい顔してるのかな? エルあたりはしてそうだけど。低く、冷淡な声。


「徹夜したからだよ。久しぶりだね、オル。ねぇねぇ、当主補佐の特権で禁書庫入っていい? 」


 現在、代理だけど当主をしてるのは、オルなんだ。

 ここは、ヴァリジェーシル本家。ここには、本家の中でも一部だけが、見られる情報が眠っている。


 かわいらしくお願いすれば、きっと許可してくれる。


 僕が一番見てきた黄金よりは、純度が低いのかな。それでも、十分すぎるほど純度の高い黄金が僕を見つめる。正体を知っていれば、当然なんだけど。


「……苦労していたようだ。禁書庫よりも、もっと面白い場所があるが、どうするんだ? 」


「面白い? いくいく。どこどこ? 」


 ゆっくりと開かれた口から放たれた言葉。それに乗ったのは、僕だけ。

 エルは逆らわないとして、フィルは、僕に任せるって感じなのかな。当然、連れてってもらう。



 面白い場所。それがどんな場所なのか。はやくはやく。どこなのどこなの? 子供のように、オルについていく。そうしてきたのがここ。


 あの世界のような、広大な緑。情報が眠っている場所には、到底思えない。


「……へぇ。これはティア連れてこなくて正解だったな。あの子もちょうど寝ている。昨日久々に運動したら、随分と訛ってたからな。エル」


「えっ⁉︎ あっ、う、うん。はい」


 僕がエルに視線を向ける。昨日のエルの動き、かなり悪かった。確認済み。


「……おれも、最近魔法具作りばっかで訛ってる。いい運動かも」


 フィルは魔法具の依頼多かったみたいだもんね。


「そういえば、俺も最近は書類仕事ばかりだったか」


 オルまで。それはちょうど良かったかもしれないね。


 彼女は、寝ているみたい。情報収集に疲れているのかな。


 目の前に、黒い魔物のような生物。生気はない。魔物特有の気配も、感じない。これは、機械に近い。生命体とは言えないと思う。


「ちなみにこれは? 」


「……魔物の姿を模した、魔法機械生物。複製系の魔法機械から生まれている。ついでに、情報はこの中。違う? 」


 僕の問いに、フィルが答えてくれる。


「正解だ」

 

 無数に湧いて出ている魔法機械生物。これって、無限湧きなのかな。


 魔法機械生物が二十匹くらい。一斉に僕らに飛び掛かる。それを避けたら、みんなと離れる事になった。ちょうどいいと言えば、ちょうどいいのかな。


 おかげで、自分達の持分がわかりやすくなった。


 ピンクの光が、僕の拳に纏う。


「悪いけど、その中に眠る情報を見せてもらうよ! 」


 愛の神聖術は色々と便利。その中でも、特質されるのは強化系。

 その拳が、魔法機械生物に当たる。ギシギシと音を立てて壊れる。

 ハズレ。


 向かってくる魔法機械生物。足にもピンクの光を纏う。


 左足を地面から離す。魔法機械生物に蹴りを喰らわす。またハズレ。


 今回は武器を使わない。拳と足だけで、魔法機械生物を十体壊す。

 全部ハズレ。


 勘に頼らないと、こんなもんか。それにしても、ハズレが多い気がするけど。


「……エル、よく逃げ切れたね」


 昨日の事を知っているフィル。フィルの方も、余裕そう。頼るのは剣術だけみたい。


「逃げ切れてない。エレが、シェフィの周囲なら外を確認できるからって回復魔法使われただけ」


 逃げ切れたとか、そんなわけないよねー。僕が逃すわけないじゃん。頭にたんこぶできていたら、彼女が心配すると思って。エルは、攻撃を避けながら魔法で対処している。


「何があったんだ? 」


 唯一何も知らないオル。フィルが、説明していた。見ていた事と、聞いた事を


 魔法機械生物の相手をしながら、話している。急に湧かなくなった。魔法機械生物が

 二回りくらい、大きい個体。一体だけ、少し時間を置いてから出てきた。


「出たか。一つ目の……初期ボスだ」


「何初期ボスって。まさか、今までの雑魚を大量に壊さないと、情報は手に入らないとか言わないよね? 」


「その通りだが? 文句なら、そこの魔法具技師と寝てる魔法具設計師に言うべきだと進言しておこうか」


 何から言えばいいんだろう。とりあえず、その表情変えずに言うのやめてもらえないかな。というか、初期ボスって。そんな言葉知ってたんだ。


 僕の問いに関しての責任の所在を押し付けられてる相手。フィルは何も知らなそうなんだけど。無言でオルを見てるんだけど。


 設計者に関しても、多分知らないんだと思う。フィルが知らないなら。


 となると、なぜ、こんな事になっているのか。それについて、言及してもらおうか。


「君が改造したんじゃないの? 」


「ククッ、残念だったな。改造したのは水の魔聖だ」


 水の魔聖、つまりは身内という事か。これは、エルにも言えちゃうけど。それと、なんで待ってくれてんの? そういう機能? 魔法機械生物さん?


「言い訳してるくらいなら自分が相手すれば? がんばれー」


 まぁ、こうなりますよ。あれだけ自分の責任じゃない感出して。


 こういう時の僕らは、ほんとに意思疎通必要ないんだ。誰も何も言わない。なのに、行動はおんなじ。下がって、座って、見物決め込む。


 水の魔聖って、ゲームすきだったっけ?


 オルを選ぶと、初期ボスさんが動き始めた。その巨大な爪を、左右に振っている。オルに向かって突進する。

 後方に避けると同時に、水色の光が集まる。水が、生成された。ぷかぷか浮かぶ水。そこへ初期ボスの突進——初期ボスが入水。

 ぼろぼろと崩れる。


「初期ボスならその程度か」


 あー、これあれだ。後に残しとくべきだった。後の方が強くなるんだろうから。


 二週目があるのに期待。そして、欲しい情報じゃない。まぁ、何はともあれ


「へぇ、これが生命の魔聖の力。生命系は使い勝手良さそうだよね」


 あまり見た事なかったんだ。


「そんな便利なもんじゃない。核に癒しを与えただけだ。本来持つべきではない魔星をだが」


 ああ、そういう事か。魔星の対消滅とでも言えばいいのかな。知識と技術がないとできない芸当。


「愛系の慣れるまでの使い勝手の悪さ、教えようか? 」


 愛系には劣るけど。使い勝手に悪さ的に。エルが隣で頷いている。


「……なぜこの中で一番弱い俺が、そんな事を聞かされなければならないのか、教えて欲しい」


「……えっ? おれ、オルより強い事になってたの? 変わんないと思ってた」


「地形によるだろう。貴公が得意の都市で勝てるとは思えん。荒地なら俺が勝つという自信はあるが」


 地形。生命系はかなり重要だよね。オルもフィルも、生命系だから。生命の神魔聖。

 ここだと、オルに部があるのかな。


 僕らも一応は、得意不得意あるけど。愛系だけは、地形による違いがほとんど見られないんだ。


「そういえばさ、君って今どうしてんの? オルベル? オルベア? 普段オルとしか呼ばなくてさ、ちょっと気になって」


 今更何言ってんだ。僕もそう思うけど、聞いておきたいなって。


「仕事の時はオルベアだ。星関連だと本名だ」


 話していると、次が来る。今度は、二段階目って感じかな。初期ボスよりは確実に強いだろうね。普通、次の戦闘は、一つ前の雑魚とボスの中間くらいじゃないの?


 水の魔聖の事がわからない。どういう意図で強くしているのか。

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