表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
2章 シェフィ編 真実への道
43/65

1話 新たな住人


 呪いの聖女の件は、無事に解決したみたい。あの人から、報告があった。その報告の時に、ある事を頼んでおいた。

 その頼みのために、今日は朝から大忙し。客人がくるから、眠っている、僕のだいすきな人におめかしさせる。


 僕も、仕事関連だから、ちゃんと仕事着を着ておく。


 ようやく暇ができた。そう思って、一息つこうとした頃、客人が訪れた。

 あの種族じゃ珍しい赤髪に、琥珀色の瞳をした、美しい女性。


「待ってたよ……えっと、覚えてるかな? あの子ら以外の記憶は、いじってないから」


「うん。代々当主補佐をしてくれてた子、だよね? 」


「そう。久しぶりだね、リミェラ。ここまでくるの、大変だったでしょ? 入って。少しゆっくりしてからお話しよっか」


 覚えていてくれたんだ。最後に会ったのは、彼女の御巫がいなくなる一年前。

 僕は、リミェラを室内に招く。ソファに座ってもらう。お茶も用意しないと。



「……相変わらずなんでもできるね。私達ですら、苦手な事あっていいのに、君達って、完璧じゃないといけないのかい? 」


「苦手な事くらいあるよ。それを極力人前で見せないようにしろ、とは言われてたけど。それより、君って今、所属とかってどうなってる? あの連中から追われてるなら所属ない? 」


「ないよ」


 それは、ちょうどいいかな。所属があると、そっちとのやりとりとか、面倒だろうからさ。


 僕は、向かい側のソファに座った。

 リミェラが僕と顔を合わせようとしない。呪いの聖女の事を気にしているのかな。リミェラからしてみれば、あの子の僕に会いたい。その想いを利用してたもんだろうから。


「なら、お世話とか雑用が主だけど、ここで僕らの手伝いをしてくれないかな? ここを離れてばかりだから、大切な子のお世話ができなくて」


「いいよ」


 快く引き受けてるれた。僕は、後ろを向いて、手招きする。


「ありがと。住み込みになるから、一緒にいる二人を紹介するよ。神官エルと聖女ミティアーネル。お世話して欲しい子については、事情があって、後で説明したいんだ」


「神官と聖女……神殿に関係ある仕事でもしているのかい? 」


「ううん。友達だから手伝ってもらってるって感じかな。って、呼び出した一番の理由、聞き忘れてた」


 面識はなくても、二人に関する噂は聞いた事あると思う。


 僕は、呼び出した理由、それを聞くために写真を一枚、机の上に置く。


 写りが悪くて、見えづらい。でも、ピンクの髪が、認識できる。


「この子の事と、君が一緒にいた頃のフォルについて聞きたいんだ。全部じゃなくていい。フォルについては、普段どんな感じなのかも知りたい気はするけど」


 僕は、いくつか報告書を机に置いた。その報告書には、星という単語がある。でも、見るべきはそこじゃない。


 情報が欲しいなら、まずは自分から。そのための報告書。これが、僕が信頼を得るためにと僕がよく取る方法。


「……その子は星を守るためと、よく言っていた気がする。それと、これは当主をしていた時の話だけど、我らは星に選ばれた星の者。星の者としてエンシュアと名乗ろう。とか話し声が聞こえた」


 確定、でいいか。報告は受けてたけど、まさかほんとにこんな事になってたなんて。

 エンシュアは、この前リミェラを狙ってきたヴィングジェアの連中。彼らが名乗る組織。

 まぁ、これだけだと動くにはまだ、情報は足りなすぎるか。


 これに関して、下手に動くわけにもいかないから。


「フォルの事は……おとなしくていい子で、なんでも自分でしようとして、失敗してエレに優しくされていた。かわいい弟みたいな子だったよ」


「おとなしくていい子……えっと、それどなたですか? じゃなくて、そうだったんだ。エンシュア組織については、もう少し調べた方が良さそうだね。ありがと。色々と教えてくれて」


 フォルはかなり猫かぶってたな。写真と報告書は、後で片付けるかな。


「お世話して欲しい子を紹介するよ」


 いつまでも紹介しないわけにはいかないから。

 僕は立ち上がって、リミェラに彼女の部屋へ案内する。

 桃色の扉に【僕のかわいいお姫様のお部屋♡ 】って書かれたプレートがぶら下がっている。ちなみに、僕が勝手に書いた。


 扉を開ける。寝てる彼女がおめかししてるから、部屋も華やか。


「……その子が、世話して欲しい相手? ……え」


 まぁ、そういう反応になるか。リミェラは少し前まで、よく似た少女と話してたんだから。


「そうだよ。さっきは返事を急がせてごめん。先に事情を説明すべきなのに。でも、まずは」

 

 僕はリミェラの方を向いて、頭を下げる。


「僕の妹が迷惑かけてごめんなさい。この子の代わりに、謝らせて欲しい。ルーの御巫にも、謝る時は一緒に謝りに行かせて」


「……彼女は悪くないと思うよ。彼女はずっと私を守っていてくれたよ。世話の件、私から頼ませて。私に彼女の世話をさせてくれはしないかい? 」


 顔を上げると、リミェラと顔が合った。何も、気にしてなさそうな顔。


「……えっと、ありがと。なら、まずは着替えを。僕が手伝うから」


 おめかしさせた意味とは? そう思われるかもしれないけど、彼女は基本的に着やすい服が好きだから。

 服を脱がせやすいように、彼女の髪を結ぶ。


「……これは? 昔からこんな刺青あったかい? 」


 リミェラが彼女の首にある紋章を見ている。ハートと羽の紋章。


「姫の証。姫に選ばれた子はこの紋章があるんだよ。ティアも」


 ティアが、髪をかき分ける。彼女とおんなじ紋章を見せてくれる。


「姫はお気に入りだから、自分達のお気に入りだ手を出すなっていう意味があるらしいよ。ハートは愛の神魔星の妹だからっていう、意味もあるらしいんだよね? シェフィ、エル」


 さすがティア。ちゃんと勉強してる。


「うん。そうらしいよね。エレもティアも、愛の星を守る二極。僕とエルの妹だから……あれ? 紋章は姫の特異な能力を補助するものでもあるんじゃなかった? 」


 言ってて思い出した。暴走する時は、身体にある紋章とは別に、瞳に特殊な紋章が浮かんでいるらしいけど。そっちも、よくわかってない。


「あんまり自覚ないんだよね。特異な能力を持っているって。エレもじゃないかな? 特異な能力なんて知らないってよく言っていたから」


 ティアの言ってる事は、僕らもおんなじ。でも


「……全てを知らされるはずの神聖と魔星が、なんでこんなにも知らない事があるんだろ。そこも簡単に調べられればいいんだけど」


 役割を考えると、知っていていいはずの事だって知らない。それが、おかしい事。そこを疑ってるのは、僕だけじゃないと信じたい。


「……君は何かわかった? 」


 僕の中にいる、かけらに聞く。


 ——わからないけど、来て欲しい。わたしじゃ、理解できない事があって。今すぐじゃなくていいから。


 今すぐ会いに行きたい。でも、今はリミェラに説明を


「……シェフィ、ぼくが説明するから彼女のところ行ってあげて」


 ありがと、エル。なんで、気づいたのかは、長年一緒にいるから、なのかな。


「ありがと。エル、仕事の連絡あったらすぐ起こして。それと、もしもあの子から連絡があった場合、励ましてあげて」


 呪いの聖女の件で、エレに連絡先を知られている。絶対にかけてこないとは限らない。


 後の事をエルに任せる。彼女に会うには、眠ればいいだけ。正確には、意識をあの空間へ持っていく。場所は関係ない。


「……床でいっか」


「せめてソファにしなよ。私が厳選に厳選を重ねたんだから寝心地だって最高よ」


「それならそうさせてもらうよ」


 床で座って寝ようとすると、ティアに止められた。ふかふかのソファに座る。瞼を閉じる。彼女のいる、あの空間へ、意識を持っていく。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ