表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
2章 エレ編 御巫と聖女
37/64

番外 愛情は何処に


 神殿の書庫で調べ物。したんだけどさ、何も情報を得られなかった。ユグベーズ写本を見ようと思ったけど、なぜか全部消えてた。


 エルが頼んでくれたのは、邪魔変魔法の影響の収縮。できる限り被害を減らして、公にならないようにしてくれてるらしい。


 僕らは一度家に戻った。


 かけらを通して状況の確認。エレが困ってる。


「……ここまでは想定内。エル、あの魔法具エレにあげていいかな? 」


「うん」


 右腕につけてる連絡魔法具を外す。エレに連絡。新しい連絡先は、あの人から聞いてる。


 エレは、多分でてくれる。信じて通話する。


『えっと……』


 あの子の愛らしい声。でてくれた。無駄な足掻きなのかな。そうは思うんだけど、音声変換魔法具を使う。ついでにエレが僕を見れないようにしておく。

 

「僕……お、おれは神聖の姫を影から守る者。け、眷属が姫に悩み事があると教えてくれた。今から、望みのものを与える。ぼ……おれにはもう必要ないから、それをヒントにしろ」


 慣れないけど、口調も変える。できるだけ僕である。その事を隠す。機械音声で口調も変えてれば、バレないとかないかな。そんな都合のいい事、あるわけなかった。


『ありがと。エクリシェのエレのお部屋……最下層の。送ってくれる? 』


「りょ……わかった。魔法具は時期にそちらへつくだろう」


 エルから箱型の魔法具をもらう。転送魔法でエレの元へ送る。


『うん』


 エレが何も疑ってなさそう。

 

『どれだけ離れていても、つながっているって信じてる。信じたいの』


 わかってないと言わない言葉。多分、第一声でエレは気付いてた。こういう時ばっか鋭いから。


 気付いてるなら、このくらいはいいかな。僕は音声変換魔法具を切った。


「……うん。僕も、信じてるよ。信じているからこそ任せるんだ」


 顔を見せはしない。でも、僕の声で、伝える。エレと、その隣にいるフォルに。


 フォル、伝わったよね。君が考えている事をして大丈夫。僕を信じて。


 僕は通話を切った。連絡魔法具を右腕に装着する。


「……強くなったね。エレシェフィール。今の状態なら……あの子が側で支えてくれさえすれば、もしかしたら、受け入れる事ができるのかもしれないね」


 ずっと見てきた。エレに記憶がなくても。少しずつ成長していたけど、ずっと自分を複製品だと言ってた。どこか、壁を感じてたんだ。


 それが今のエレには感じられない。


 僕は、ロケットペンダントを開いた。中に入ってるのは、幼いエレの写真。


「……本当に、するんだね」


「うん。あの子はきっと壊れない。フォルも一緒にいてくれるから。って、信じるんだ。僕はエレのおにぃちゃんだから」


 ティアが視線を落としている。僕は笑顔を見せた。神聖でもなんでもない。ただただ、エレのおにぃちゃんとして。


 ロケットペンダントを閉じる。


「僕らのだいすきなお姫様のために、影ながらのサポートに行こっか」


「うん。私の愛しのエレのために」


 愛しいのはティアもおんなじらしい。僕が転移魔法を使う。今度の場所は、呪いの聖女のいる世界。



 誰もいない。すでに滅んだ世界。広大な緑色の絨毯。草の絨毯って、寝転ぶと気持ちよさそう。


 この美しい世界を穢そうとする連中がやってくる。

 黒装束に身を包む、いかにも怪しい連中。


 その連中を呪いの聖女のいる洞窟に近づけさせない。僕らはそのために、連中の前に立ち塞がる。


「エル、ティア。できる限り穏便にだよ。誰も怪我なく犠牲なく、最終的にはみんなで笑う、でしょ? 」


 連中からしてみれば、なんの状況も理解してない。きっと、そんなふうに映るんだろうね。僕のこの笑顔が。


「僕らは僕らのすべき事を。あの子らへ、わずかな希望の光を与えてあげよう」


「希望の光……うん。そうだね。それに同じ聖女として、なにもいいところも見せられないなんて、エレに自慢できなくなっちゃう」


「我が妹ながら、本当に呆れるほどのエレ好き。ぼくも、エレに尊敬の眼差しをむけて欲しいけど」


 あれ? おかしいな。誰も止める事考えてない。というか、エレの事しか頭にない気がする。


 今日からエレだいすきらぶ狂、とでも名乗った方がいいかな。この状況で目の前の事を何も考えないなんて。


 黒装束の連中が襲いかかる。ティアが魔法で霧を生み出す。周囲の霧が、魔法の光を消してくれる。そこに攻撃を避けながら、エルの愛魔法。これは、愛に飢えさせる魔法。たとえ愛がなくとも、連中は何も変わらない。


「これでいい? 」


「いいって、結局僕任せ⁉︎ 」


「ああいう連中には、それが一番早いから。それに、願い通り、できる限りは穏便」


 エルが事実言ってくる。それはそうだけど。なんなんだろう。この兄妹、合図も何もせずに初めっから僕に任せようとしてたよ。


 しかもティアは「お願い〜。」って苦笑い。


 霧で魔法の光が見えないからいいけどさ。本来見えるピンクの光が見えない。なのに突然バタバタと倒れだす黒装束達。


 意識はあっても、動く事はできない。


「ごめんね。でも、この先へ行かれると面倒なんだ。だから、すこぉしだけ、眠っててね」


 右手の人差し指を唇に当てる。目を細めて黒装束達を見る。笑顔の中にあるのは愛情だけ。


 睡眠魔法を使って眠らせる。


「……」


「……シェフィ、聖女とか興味ない? 私が推薦してあげようか? 」


「しなくていいし、僕男だから。ていうか、どうしたの二人とも」


 二人の様子が変。深刻な状況みたいな感じじゃないけど。エルとティアが顔を見合わせてる。


「ねぇ」


「あれは聖女にしか見えない。敵対する相手に愛情を見せるなんて」


 エルが、急な聖女発言の理由を言ってくれた。でも、それって


「……それ、僕らの魔法の性質だよね? 愛魔法は愛情がないと使えないんだから。って、そんな事言っている暇ないんだった。あれは僕がいないとできないから、行かないと」


 エレ達がやろうとしている事。一人魔法具製作に残る。エレの設計図を作れるのはフォルくらいだから、必然的に残るのはフォルになる。


 フォルなら、自分がいなくていい場所を選んでくれる。なら、あとは僕がいればどうにかなる。


 ってわかってても、場所がわからないんだよなぁ。かけらのつながりから、エレのいる場所を探る。


「二人とも、時間稼ぎは任せていい? 」


「いいよ。このまま誰も、洞窟へいれなければいいんでしょ? 」


 ティアは、ほんと素直に頼みを聞いてくれる。


「うん。エレ達がくるまでは、洞窟に結界張っておくのもいいかもしれないね。ティアならできるでしょ。エレの居場所もわかったから行ってくる。あの子に、星の記憶を与えに」


 僕はティア達に後の事を頼んで、転移魔法を使った。



 紫色の広大な花畑。エレ達が浄化系の魔法陣を描いている。


 ――……あれって、シェフィとフォルが、自分達以外にはわからないように書いていたよね?


「うん。あの子も、とんでもない賭けに出るよ。どこまでが、あの子の想定なんだか」


 ――案外、シェフィ以上だったりして。未来視並みの感覚を持っている、わたしとシェフィとは違って、ただの思考だけで、ここまで考えちゃうんだもん。本当にかっこいい。


 かけらとはいえ、変わらない。にしても、僕を通して、外の景色を見れてるのかな。

 彼女の感情が伝わってくる。フォルがすきすぎますって。


「そうだね。その愛しのフォルのためにも、僕らも協力してあげよっか」


 暗い空。薄らと広がる光。この空は、僕の想いを届けてくれるんだろうか。届いて欲しい。そう願うよ。


「たまには踊ってあげるよ。フォル。前を向こうとする、君のために」


 逃げる事をやめて、今を見ようとする。そんな君の願いのために、絶望の空間で踊ってあげる。希望の踊りを

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ