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そして夜。

今日も今日とて晃は夜の町を歩いていた。

正直、面倒だし眠いしやめたいのだがしょうがない。これも仕事だと諦めることにした。人生は諦めと妥協の上になりたつものなのです。

そんな感じであくびをしながら晃は夜の町を歩く。ちなみに今日は普段とは違う道を歩いている。具体的には民家の屋根から屋根に飛び移りながら進んでいる。こういうことは疲れるのでホントのことを言うとしたくないのだが、昨日の職質の一件が心に残っているせいでこんなことをしている。

今日は空が晴れているので月が綺麗に見える。空には一欠片の雲すらなく月のために道を譲っているようだ。

なんて。詩的な表現は俺には似合わんねぇ。

空に浮かぶ月を見ながら屋根から屋根へと飛び移っていく。

一つ一つの民家がそれほど近いわけでもなく、寧ろそれなりに離れていると言うのに晃は軽やかに飛んでいく。

「んむ?」

途中の屋根で止まる。

晃の体に少しだが風が当たる。その風が運んできた匂いに違和感を感じる。

この匂いは・・・・・・何だ?

嗅いだことのある匂い。その匂いに少し混じる違和感。その違和感の正体に晃は覚えがあった。

「あっちかねぇ・・・・・・」

この匂いの感じは仕事に関係しそうだ。嫌だ嫌だ、面倒くさい。

そう思いながら顔に鬼の面を装着する。嫌だと言っていた自分の考えを心の奥底に封じる。その代わりに心の奥から別の自分が顔を出してくる。

その別の自分のために体が書き換えられていく感覚を味わいながら普段の晃は眠りに落ちる。

ここからは仕事の時間だ。

晃は風が流れてきた方に足を向けるとさっきよりも早いスピードで屋根の上を跳び跳ねていく。その体には薄く青い光の膜がついているように見えたが、すぐにその光は消えてしまった。きっと見間違いだったのだろう。

そんな晃がある屋根の上に来てその動きを止めた。晃はその屋根の上から道路を見下ろしている。

そこには一人の人間がいた。目深にフードをかぶって辺りを見回しながら進んでいる。一言で言ってしまえば挙動不審な人間がいた。

「あれかねぇ」

晃が考えをまとめるために思ったことを口に出す。

さっき感じた違和感のある匂いの発生源は十中八九あいつだろう。こんな時間に出歩いているってだけで怪しいのにあの挙動不審さは自分が怪しいって伝えているようなものだろう。

あれでは警察に見つかったら問答無用で交番に連行されてしまいそうだ。

・・・・・・俺は何もしていなかったのに連行されかけたからな。おっとっと、出かけてる出かけてる。は〜、落ち着け落ち着け餅突け。

・・・・・・あれ? 何か変なの混じった気がする。ってか出てるっての!

晃は一人で百面相のような表情を面の下でしている。思考を落ち着けるために鬼の面をつけ直すと多少落ち着いてきた。

ふぅ。落ち着いたのを良いことに道路を見下ろすと人の姿は消えていた。

「マズッたかな? まぁ、探し直しゃあ良いか」

そう言って晃は耳を澄ます。こんな静かな夜だ。何か物音でも響いてくれたら気づける。

耳を澄ましていると遠くから声が聞こえてくる。

その声がさっき見つけた違和感であると言う確証は無かったが、他に探す材料があるわけでもないのでその声がした方へと屋根の上を移動する。

近づくにつれて徐々に声が大きくなってきている。その声を断片的に採取した結果、声音からして男が人を大声を出しながら追い立てているようだ。

しかも、その声には聞き覚えがある。・・・・・・昨日聞いた声だ。

晃の足が屋根の上で一時停止する。ちゃんと音から大体の位置は把握しているが、追いかける気が一気に失せた。

正直、あのポリスメンに会うぐらいだったら帰りたい。

それでもしなきゃいけないのが仕事なんですよね・・・・・・。

晃は諦めたようにため息をつくと、追跡を再開した。

ポリスメンに見つからないように細心の注意を払って後ろに近づく。すぐ近くまで近づいているのにポリスメンが気づく様子はない。鈍感なのか周囲を見ない猪突猛進タイプなのか判断に別れるところだ。

まぁ、こちらとしては楽であれば何でも良いんだけど。

「ちょっといいかい?」

「あ?」

声をかけるとポリスメンがこちらを振り替える。その頭の動きに連動するようにポリスメンの後ろに回り込む。

ポリスメンは後ろに誰もいないので首を捻っている。その隙に晃は昨日と同じように首もとに軽く閃光を当てるだけで昨日と同じようにパタリと意識を刈り取られて倒れ混む。

・・・・・・こんな簡単で良いのか?

そう思わなくもなかったのだが楽であることに越したことはない。

寝転がっているポリスメンに冷たい視線を浴びせると晃はまた駆け出した。


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