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晃は倒れたポリスメンからは視線を外し、唐突に現れた何かに視線を向け、警戒を始める。それと同時に腰につけていた鬼の面を顔に装着する。この鬼の面を着けないと意識を戦闘状態に移行できないのは晃の欠点だった。

鬼の面を顔に着けた晃の思考から血の気が引き、一気に意識が冴える。さっきポリスメンと話していたときも鬼の面を着けていれば、言い訳の百や二百出てきたのだろうが、あのタイミングで鬼の面を着けるのは不味かっただろう。

「あなたは何者ですか?」

警戒しつつも相手がこちらとコミュニケーションを取る気があるかの確認をする。

「・・・・・・・・・・・・」

返答はない。こちらとコミュニケーションを取る気は無いと言う意思表示か。それならそれでいいですけどね。楽ですし。

晃は相手の観察を始める。身長、体格、そして匂い。晃はそれほど鼻がいいわけでもないが、同族とそれ以外を嗅ぎ分けることはできる。自分の鼻に従うのなら目の前にいる人影は同族と言うことになる。

人影を観察していて気づいた。それほど距離は離れていないと言うのに相手の情報が読み取れない。

朧気ながら身長はわかるがそれ以外の情報が全くと言っていいほど入ってこない。人相も体格も性別すらもわからない。身長以外でわかるのは匂いぐらいのものだ。その匂いも感覚的なものなので確証はない。

そんな人影に向ける警戒度のレベルを一つあげる。こいつは普通に強そうだ。認識をずらされているのかもしれないが、どれにしても弱くはないだろう。認識をずらされるのならいつ攻撃されるかもわからない。そんな状況では瞬く間に精神をすり減らしてしまうだろう。

晃がもう一度観察する前にまばたきをしたら人影は晃の前から消え去っていた。そこには影も形もなく、さっきまで何かがいたことを示す気配も残っていない。

「・・・・・・さっきのは何だったんでしょうねぇ。よくわかりませんが、報告しておいた方がいいですかねぇ」

晃はそう呟くと、鬼の面をはずす。頭に急速に靄がかかるような感覚と脱力感が全身を襲う。

鬼の面を着けているときは神経を張っている、と言うか別の人格を使っているような感じなので、その反動が面を外すと襲ってくるのだ。

その脱力感を吐き出すように大きくあくびをすると、晃はまた夜の町を歩き出した。


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