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異世界転生。同居人は私を殺した魔女でした  作者: ロイ
第1章~誰のために
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1章ー13 緩急激しい世界


 ヘレとゴルドをのせた馬車が、城下街を通り過ぎスラム街へと入る。スラム街の西側で全面を覆われたルーフを開き、とても立て付けがいいとはいえない家屋の前で、ゴルドは馬車を降り御者に報酬を渡す。


「ありがとう、これは運賃です」


「こ、こんなにいいんですか?」


 御者は驚き、硬直する。


 「口止め料と、後は帰りを待ってる家族の為に途中でいい馬車を買い、無事帰れるよう少し多めにお渡ししておきます。身なりも整えた方が良いでしょう」


「ありがとうございます!ありがとうございます!」


 御者は着ていた全身を覆うコートをゴルドに渡し、その場を立ち去る。コートを脱いだ御者の姿は見窄らしく、服装もいつから着ているのだろう、ボロボロで縫い目から膚が露出したその姿は浮浪者そのもの。ゴルドから渡された報酬の入った袋を大事に抱え街の方へと向かって行く。


 「良いのですか? あんなにお渡しして」


 「良いんですよ、彼は遠い田舎から家族の為に御者をしに出稼ぎに来たんですがね。到着してすぐ、運悪く持ち金を全部脅し取られましてね」


 ゴルドは優々たる姿で語る。


 「それでも、あなたのお金を渡す事は無いでしょう? この後も御者として働い手もらえば……」


 「私のお金ではありません、元々彼の持っていた物ですよ、無理に働かせる訳にもいかないでしょう?」


 ゴルドはヘレにどうだ?と言った表情。


 「さぁ中に入りましょう、こちらです」


 ゴルドは扉を開けると、すぐに廊下があり、さらに重厚な扉。


 「その扉の向こうに王はお待ちです。私は同席する許可がおりて下りませぬので、ここで失礼します。別の重要な案件もあります故、そちらが終わればまたお迎えに上がります。」


 「はい、ありがとうございます」


 ヘレは重厚な扉に両手をかけ王の下へ、ヘレは軽く笑う、何十年ぶりだろうかグラス国王と会うのは。



 ヘレとゴルドが王の下へ到着した頃、アカツキは足の赴くままに進み、いつの間にか見知らぬ路地に迷い込む。カツキの視線は定まらず右往左往する。


「見覚えないな、城の外に出ようと思ったのにな……この辺り街の西側かな? あんまり来ないからなこの辺」


 見慣れぬ風景、建設物もいつもと似たようなもので、どこがどこだか分からない状態。


「迷路みたいだな……」


 どこで拾ったか分からない、50センチ程の鉛筆ぐらいの太さの棒を左手に持ち、建物に先端をこすりつけ路地を進む。しばらくするとT字路に差し掛かり。


「グゥル……」


背後、獣の唸り声……


「ウソォ…こんな街中で…?」


後ろを振り向きたくとも、向いたら襲われる気がする……


「よしっ、まずあのT字路を左に曲がって、追いかけて来たところに1擊入れ、怯んだ隙に追い打ち、もしくは足止め出来る何か……人がいて犠牲に……最低だぁぁ!だめだ無い!思いつかない!取り敢えず1擊!」

 

 アカツキは走り出し、T字路を左に曲がった瞬間――


「グゥル……」


「ええええええええェ!もう1体居るんですかっぁぁああああ!しかもなんか瓦礫で完全防備ぃぃ!」


 やけくそ気味に、手に持ったただの棒を投げつけUターンする。


「右に行けば良かった!2分の1外した!俺、危険察知するの得意なはずなのに!今でしょうが!」


 アカツキの投げた棒は、先端を外壁にこすり続けた為、摩耗し尖っていた。

 その先端は獣の額に、布に針を通すように簡単に突き刺さりピクピクと悶絶している。勿論、今のアカツキに振り返る余裕は無く、火事場のくそ力と言ったところだろうか、追い風が強烈な向かい風になるほどのスピードで、路地を疾走する。


No.3(ボスこちらNo.3……目標が作戦ルートを進行中、しかし被害は甚大でNo.2が……No.2の頭が……ウゥッ)


ボス(うむ……想定外の被害である、No.2は歌の好きな優しいやつだった…なんて残酷な……No.3は追跡を、No.4はNo.2を速やかに回収に向かえ)


ボス(こうなれば……これ以上被害が拡大する前に、全軍投入っ!!!! 失敗は許され無い! 各自作戦に変更は無し! 一人欠けたが、No.1はNo.3と合流し抜けたNo.2の穴をカバーしつつ、目標を指定の位置まで追い込むのだ!)


No.1,No.3,No.4(サー! イエッサー)


「ハァ、ハァ……ウハァアー吐きそう」


 アカツキは路地を抜け出し、噴水のある広場で、今にも吐きだしそうにベンチに横たわり、朦朧としながらも体力の回復を待つ。


「今、襲われたらキッツい……」


「アカツキじゃない、何犬の真似してんのにゃ?」


 虚ろな目で、セラフィニの顔を横目で見上げると、アイスを売るいつものエプロン姿とは違う、セラフィニのその姿は。


 水着姿。


「ハァ……ハ何でァ水……」


「なんだそのハァハァは? 水分か? そのハァハァは水分を欲してるのかにゃ?」


 セラフィニは、ベンチの上のアカツキの頭側に座り。尻尾でアカツキの顔をツンツンとつつく、アカツキは眉間にしわを寄せ頷く。


No.3(目標は予定通り噴水広場、どうやら体力を消耗しているようですが邪魔者が、処分しますか?)


ボス(待て、我々の目標はアカツキだけである、善良な市民に、危害を加える訳にはいかない、作戦インビジブル発動せよNo.1!)


No.1(仰せのままに)


ボス(No.1うまくやるのだぞ、その姿をこの世から消す能力……インビジブル……)


 セラフィニは水筒からぬるいミルクをアカツキに渡す。

 

 「ホイっ」


 「うっ!! これミルゥグゥ……しかも生温かい……」


 アカツキは、予想外の水分に口からミルクがこぼれ落ち。


 「わぁ、汚い」


 セラフィニが、汚物を見るような目でアカツキを見る。


 「キッタナイけど、お得意さんだからにゃ、拭いてやるみゃ」


No.1(ボス、ターゲットの位置まで約2メートル、実行しま……)


 セラフィニは立ちあがりアカツキの正面に座り。


 「拭く物が無いのみゃ、これでいいのみゃ」


 セラフィニは、水着の胸の部分に付いた大きなリボンを外しアカツキの口を拭く……


No.1(あっ……ターゲットが市民を盾に!アアアァァ…ウアァア)


ボス(どうした!No.1)


No.1(ターゲットが、ターゲットが!)



NO.1(母乳を飲んでいますッゥゥゥゥ!!!!!)


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