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異世界転生。同居人は私を殺した魔女でした  作者: ロイ
第1章~誰のために
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1章ー11 隙間からの世界


 あの出来事から4日、アカツキは口数が極端に減った。

人目を避け、会話も最小限で無気力極まりなく、動く植物状態。

 ヘレも生気の無いアカツキに気を遣おうものなら、アカツキは少し口角をあげ、何も言わず生命を維持する為だけに、生活をおくり続ける。


 2週間が経過しようとした頃、ヘレはアカツキを生かす為だけに、最小限に接するようになり、それと同時期にヘレの元に干城が訪ねてくる。


コンコン


「こんにちは、バーンスタインさんいらっしゃいますか?ゴルド・カゲンと申します」


 ヘレが返事を返す前に室内へと入る男、屈強な肉体とそれをも覆い隠そうとする磨き抜かれた白銀の大盾。大盾の正面中央には、無数の蛇と折れた剣が彫られている。


「そすて、あたすがサジ・ルルゥ」


 見た目は騎士そのもので、シンプルな直剣のみだが、ゴルドとは正反対。ヘレの膝上、腰未満ぐらいの身長で舌足らずである。


 「ヘレ・バーンスタインさんで間違いはありませんか?」「ありませぬか!ませぬか?」


 ゴルドの語尾を間髪入れず真似をするルルゥ。


 「はぁ、あぁはい」


 「国王がお呼びです」「びどす!どす!」


 「一刻を争う……とまではいきませんが詳しいことは直接、街で国王の口から」「ララァ……?」


 王が街に、一刻を争うわけでは無いのに王が直接、しかも町中でと不思議に思うヘレ。


 「はい、すぐに準備をして謁見させていただきたいのですが……お急ぎなのは何となく伝わります、でも…今はここを離れる事をが出来ません」


 ヘレは隣の部屋の扉に視線をやる、ルルゥの大きな眼は、ヘレの視線をなぞり隣の部屋に侵入し、ベットに座り膝に肘をつき、床を見つめるアカツキをとらえる。


 「ゴルド―! あな所に××××××の後の健全な男子が!」


 「卑猥ですねルルゥ」


 「れすね! れすね!」


 アカツキに向けられた、卑猥な言葉もアカツキには雑音以下、相手にする価値もない下劣だとだんまりを決め込む。

 アカツキに近づくルルゥ、バレバレの忍び足で甲冑の兜をとりながらアカツキの膝の間から覗き込み、ルルゥは目は嫌らしく半分瞼を閉じ微笑む。


 「おぃ!!こっちをミロォ!そこのダンナァあたすがもう一回、慰めてあげましょか~?少し時間を置こうかぁ~?」


 ペシャッ


 「うあ…こいつツバ吐いた!吐いいあたすのもち肌ちゅるすべお肌に……こいつ……」


 「アカツキっ!」

 「ルルゥっ!」


ヘレとゴルドは同時に叫ぶ。


 「いくらあなたが!!!」


 「ルルゥ!いけません、彼はまだ何とかタイムなのです。そんな状況で貴女のような可愛いご尊顔が健全な男子の太股の隙間にあれば受け付けるはずがありません、なんせ彼は今」


 ゴルドは蓄えた無精髭をさすり、片目を瞑る。


 「つまり、そっとしておきましょう」


 「おきましょぅぅ…」


 ゴルドは彼の今の状態を理解し、解決出来る心当たりもある。ヘレの叱責に割り込み、それ以上続けば彼は更に深く、届きそうも無い深い怠惰の巣へと、身を投げるだろう、そうゴルドは確信する。


 「そっとしておきましょう、バーンスタインさん、あなたも一度気を抜いて、蜂ミミズが跳ね出す頃までにここを出れば、街でゆっくりする時間もあるでしょう」


 そっとしておく、とはいったものの、アカツキ一人置いていく訳にはいかず。狭い馬車の中で古い街道だろうか、瓦礫が街道の脇で無防備に散乱し、3人を乗せ王の待つ街に馬車の木製の車輪を円転し続ける。


 「アカツキ大丈夫かしら……」「かすら!かすら!」


 ルルゥの真似事はゴルドからヘレに移る。


 「大丈夫でしょう、私の盾の脱蛙(ダツア)の中は居心地最高なんですよ? 外界の衝撃を完全に遮断できますし、きっと出てこないかもしれませんね、私は入ったことは無いので、分からないですけど」


 「脱蛙の中は最高なのれす、私欲の限りを、誰にも邪魔されず尽くせるのれす」


 涎が滝のようにあふれ出すルルゥ。


 「もう到着しそうです、アカツキを出してみましょうか、このままですと、中に入れたまま忘れてしまいそうですし、この景色はここからでしか見れませんし」


 街を目の前に馬車を止め、幌とからダツアを軽く持ち上げ、アカツキを外に出す。


 ダツアの彫られた蛇の模様は、うねり互いの胴体の3分の1を飲み、込み楕円をつくる楕円の内側が白銀に波打ち。


 嘔吐物が噴き出す。


 「何でーーぇ!」


 「あたすのおやつが!」


 ゴルドは慌てルルゥは消沈する。


 「まだ乗り物酔い治って無いのね」


 ヘレはアカツキを見てやれやれといった表情で、白銀で波打つ水面からアカツキを抱き抱え、大気中から精製した氷を額にあてる。


 「ルルゥ、いきましょうか」


 険しい表情で脱蛙を抱え、ヘレとアカツキの元へと歩み寄るゴルド。


 「ゴルドはヘレ達をみてていいぉ」


 ルルゥも直剣を抜き、クルクルと片手で剣を回す。


 街道の脇から、瓦礫を一枚一枚丁寧に纏い、獣が1匹。以前の獣と見た目は同じだが、その全身はいつの間にか、石像の獣と化し、剣を構えるルルゥを無視しヘレの元に駆け出す。


 「此方に向かってきますか、勇敢ですね相手しましょう」


 「ルルゥを無視したらいけないんだー!」


 獣を追ってルルゥが空高く飛び上がる。小さな身体は軽々その身を風に任せ、獣の上空から一気に獣めがけて舞い降りる。


 ルルゥの直剣は、獣の脇腹を掠め地面に突き刺さり、ルルゥはアカツキの膝の隙間から覗いた時と同様、いやらしく笑う。金属が鉄板を突き抜ける、キンとした音と共に獣は中に浮く。

 地面から突き出た少し湾曲した無数の針は、獣の身体を突き抜け、ジタバタと悶絶し這い出そうとする獣を大地に呑み込む。


 「いつ見ても残酷ですねルルゥは」


 「ご馳走さまなのれす」


 足早に馬車を走らせ、城下街へと向かう、この大きな白銀の城が見える街へ、この先の出会いと別れを歓迎するかの如く、城は怪しくそびえ立つ。



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