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タツマ・ヒルベルト

「よう。ダイゴ。 今日は何のようだ? 」

ファーストネームで呼びかけてくる。


「テメーは、相変わらず口のきき方がなってねーな! 」

子供の方も褒められた口のきき方ではないが、ダイゴの方もいきなりのケンカ腰になる。


「またボコボコにされたいのかい? 」

子供は、にや付きながらモニュメントから降りる。 


その言葉にダイゴは、ある種の怯えから多少身じろぐ。 


「彼。 何者です? 」

スキュレスが、ダイゴにささやく。 彼女の興味は、あの戦場を駆け抜けた漢を引かせるその存在に向けられる。


「あれが俺の息子であり、もう一人の人物だ。 戦闘力、判断力が桁違いに高い。 正直、軍人でもコンバットスーツなしで、あいつと戦うのは危険なぐらいだ」


「……」

見た目は、それほど大きくないが、素人目にも確かに目つきがどこか猛禽類的な感じがある。


「でーダイゴ。 今日は、その隣の彼女でも見せびらかしに来たのかい? 」

「どうしてそう思う」


「母君が死んで5年だー。 宇宙では寂しいからなー」

ニヤニヤしながら発言してくる。 明らかな挑発である。


「てめー」

ダイゴが、ふざけた応答にキレそうになる。


「アンタであれば、いつでも相手するぜ。 最近ここの奴らも手ごたえが無くてな」


しかし、一度親子喧嘩もしたが、(タツマ)には歯が立たず、土を付けられた思いであるため、直ぐに冷静になる。


「墓守の管理者は、どうした? 」


「今は説法中だ。 まっ神の代理人を名乗るだけはある。 昼飯を食わしてくれるし、治安隊への対応もしてくれる。 感謝だな」


「ガキが……テメーの始末ぐらいテメーでしろよ! 」


「本来であれば、治安隊がやらない汚れ仕事をやっているんだ。 感謝されこそすれ、始末はねーよ。 おかけで周辺の治安も大分良くなっているぜ」


「何をしたんですか? 」

「地域の愚連隊を集めて、犯罪組織を1つ潰したらしい」


「あの子供が? 」


「ああ。 治安隊の手が回らないゴミ掃除をしている感じだ。 それ故か、奴を頂点とした組織も出来ている」


「なんていうことを」

「でー? ダイゴ。 そいつは誰かとの問いの回答が、まだなんだが? 」


「お前の……世話人だ」


「世話人だーぁ? 」

彼の顔が怪訝そうな表情を浮かべながら、スキュレスに視線が向けられる。


「ああ。 悩み事があれば彼女に聞いて欲しい」

「けっ。 くだらね」


「それと孤児院には戻れよ。 集団行動は必要なことだ」

「力でしか解決する術を持たない世界で、お手て繋いで仲良くはねーだろ? 」


「仲間の力が、無くては突破できない問題もある」

「仲間が、助けてくれるか否か不明なのにか? 」


「信頼は重要と言っているだろ? 」

「押印のない契約じゃねーか」


「世の中は、このテラ(地球)マールス(火星)コロニーの外にもある。 そして、信頼で成り立つ事象も多い。 大きな勢力と渡り合うには、信頼できる人との共闘なくして、乗り越えることはできない。 お前が潰した犯罪組織も集団だったからこそ対応できたんだろ! 」


「……ふーん」

タツマは、少し考えながら聞いている。 納得しているかは不明だが、理解はしているようだ。


「彼女は、孤児院に常駐する。 お前の専属であるが、他の子供への対応もすることになっている。 彼女と話したかったら大人しく帰宅するんだな」


そう言ってダイゴ達は緑の園を出ていく。 と同時刻、徐々にコロニー内が赤色に染まっていく。 


周囲の風景から、時間が分るようにするのもコロニー内の管理の仕事になる。 いきなり真っ暗にして夜と昼の2つだけにするのも楽なのだが、惑星に下りた際に違和感が無いようにするためとのこと。 何気に気を使った制御を行っている。


そんな赤い色の光に包まれた空間を孤児院に戻っていく2名。


「ダイゴさん。 彼のあの目……」

スキュレスからの感想が、ダイゴに投げかけられる。


「ああ、本当のあいつは、あんな目はしていない。 あれは猛禽類の眼だよ。 くっそ。 まぁ理解力はある。 会話が通じないということはない」


「彼のカウンセリング……猛獣使いですね――」

医師が匙を投げたのも分かる気がする。


「そんなところだ。 こちらも仕事があるが、今後はなるべくこちらに寄るようにする。 お前さんの給料分も稼がないといけないからな」


「そう……ですね。 やれるだけ、あの子を元に戻せるよう努めます」

「キツイかもしれないが、バカ息子をどうか頼む」


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