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星団最強なのに回りくどい奴の物語。だってすぐ終わっちゃうじゃん。(改稿中)  作者: 耀聖(ようせい)
最終章・皆の幸せの形。
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ハッキング。

突然のサイバー攻撃。

【デルタ宇宙艦隊・司令部】


 デルタ宇宙港にある艦隊司令本部。

 全艦隊に指示を出すと共に、惑星デルタリアを護る要塞でもある。


「第五艦隊は予定通り整備ドックに入ります」


「アップデートの処理を忘れぬように通達を出せ」


 戦時中に比べ殺伐とした雰囲気はないが、皆緊張感を持って任務に当たっていた。


 そんな時だった——。


 Ai「レッドアラート発令!」


 平和な日常を打ち砕くように、警告灯が赤く点灯し、Aiが警告を発する。


「緊急戦闘体制を発令しろ!」


 指揮官は動じることなく、緊急マニュアルに沿って指示を出す。

 静かだった艦隊司令本部は、蜂の巣をつついたような騒ぎになった——。


 Ai「メインフレームにウィルス侵入、防疫を開始!」


 次にレッドアラートの内容が判明すると、即座に防疫体制に移行する。


「艦隊とのリンク遮断完了」

「防衛システムに異常なしを確認」

「防疫システム起動」


 ビービーとけたたましい警告音が響き渡り、技官達は対応に追われていた。


 大型モニターには侵食度合いが映し出され、謎のウィルスとの戦いが始まりを迎える。


 数分後……。


「メインフレームに損害無し」

「艦隊通信網復旧」

「第一、第三艦隊の出航を確認」


 敵からのハッキングを想定してある防衛システムは堅牢で、侵入を検知すると自動的に隔離処理が行われた。

 大型モニターに表示してあった、侵食を表す赤色は徐々に小さくなってゆく——。


 Ai「システムオールグリーン。今回、外部からの侵食は見られませんでした」


 敵からのハッキングを想定した防衛システムは堅牢で、外部からの侵入を検知すると自動的に隔離処理を行う。


 しかし、今回は内部の端末からメインフレームへのアクセスが確認された。

 通常の防衛システムでは想定しにくい経路だった。


 協力者を使って内部から侵入させることも可能だが、それも監視システムによって弾かれるはずだった。


「内部からの侵入ということなのね……これは本格的に調査しないとまずいわ」


 今回は、内部からメインフレームへのアクセスを許してしまった。

 女性司令官は厳しい表情を浮かべ、防疫専門チームのところに出向いて行った……。


【防疫担当部署】


「ああ、やっぱり……おかしいと思ったんだよ」


 技官達は皆一様に首を傾げていた。

 それもそのはずだ。侵入経路を辿ると、司令本部の休憩室からの侵入だったのだ。


「これは由々しき事態だ。特別チームを編成して原因を探るように」


 司令官は事態を重く見たのだろう。


 戦闘体制は維持のままに被害の洗い出しの指示を出す。


 この結果は間も無くジェフに上がることになるだろう——。



 ※※※※※※



【レイヴン・テクノロジーズ・地下研究所】


 研究所に籠るグレイスは、相変わらずリリア復活に向けて実験を繰り返していた。


「ジュリアン男爵がお見えになりました」


 融資の一件以来、ジュリアンは足繁くグレイスのもとに通っている。


 今日もまたいつものように部屋へ入ると、グレイスの隣に座る。


 ——ッ


(本当に男なのか、どう見ても女性にしか見えない……)


 ミニスカートのようなデザインのパンツから覗く、長く細い脚と、引き締まった腰――。


 身長もグレイスと同じくらいで、長い髪と相まって、どう見ても女性にしか見えなかった。


「今日は凄くいい情報を持って来たのよ、きっと驚くと思うの」


 前回は貴族服を纏い、体型までは分からなかった。


 だが、話し方まで柔らかくなり、ますます女性らしい印象を受けた。


「あ、ありがとうございます……」


 そして、ピッタリと密着してくるジュリアン。


 ほのかに甘い香りがグレイスの鼻腔を刺激すると、思わず顔を赤らめ俯いてしまう——。


(うふふ、ウブな子ね、私が女と知ったらどんな顔をするのかしら……)


 ジュリアンの本当の性別は女だ。


 男爵の爵位を継ぐには、男性の方が都合が良かったため、性別を偽装していた。


 そして、出会った時に比べわざと露出の多い服を着て、興味を引くように仕向けている。


 これ以上、色気で攻める必要はない。

 今後は、難病に苦しむ妹の良き理解者として、グレイスの信頼を得るつもりだった――。


「妹さんの病気は、今でも治療法が見つかっていないそうですね。私も難病治療の財団に、心ばかりの寄付をしているのよ」


「えっ、それは凄い、褒められるべきことですよ」


 寄付の話を聞き、グレイスは彼女に好感を抱いた。妹の病気を理解し、支援までしてくれる人物なら信頼できると思ったのだ。 


 ジュリアンはまず信頼を得ることに注力していて、これはその一端だった——。


「ここにくる理由も、あの難病に対する一つの道標になると思っているからよ」

「そうだったのですね。ですが……」


 ジュリアンの言葉に共感はするものの、グレイスの表情が優れない——。


 要するに金が尽きかけているのだ。


「分かっているわよ、グレイス君。今から送るから」


「ジュリアン様、申し訳ないです……」


「気にしないでいいからね、グレイス君……」


 資金を送り、最後に流し目でグレイスを見るジュリアン。


 その色気のある眼差しは、グレイスをドキッとさせるのは十分すぎる威力だった——。



 ※※※※※※



【デルタ王宮・ジェフの執務室】


 ジェフが執務室でお茶を嗜んでいると、いきなり緊急連絡が入る。

 そして画面には、艦隊司令本部の女性指揮官が映し出された——。


 <陛下、数時間前に発生したハッキングの結果が出ました>


 艦隊司令本部で発生したハッキング事件の詳細が、ジェフのもとに送られてくる。


「ご苦労だったのう。それで結論から教えてくれるか」


 緊急戦闘体制が敷かれていたので、当然ジェフの耳にも異常事態だという報告は入っていた

 慌てることなく女性司令官の報告に耳を傾けた。


 <外部からの侵入ではありません。司令本部内部からメインフレームにアクセスされ、保管されていた禁止技術のデータが閲覧されていました>


「ふむ、覗きに来たということだな。アクセスした技術を教えてくれ」


 <はい、お待ちください。実際のところ消去などはなく、被害はありませんでした>


 今回はハッキング後、システム不全にして身代金を取るような案件ではなく、ただアクセスしただけだった。


 そして一覧が表示されるが、全てディスティアの技術に関するデータだった。


「ふむ、アーレイが懸念していたのはこのことだったのかな……」


 <えっ、あのアーレイ国王が動いていたのですか>


「ああ、ブライン国で不穏な動きがあると言って探りを入れていたらしい」


 改装したサイレントアサシンを使い、ブライン国の通信を傍受して情報収集にあたっていた。


 しかし、有力な手掛かりを掴めず、ジェフには「ディスティアの軍事技術を欲している連中が蠢いている」とだけ報告を上げていた。


 <さすが元デルタの士官ですね。そこまで先を読んでいたとは……>


「なあに、デルタが動けば警戒されるからだよ。奴の行動は昔から合理的だ(笑)」


 ジェフは髭を弄りながら報告書に目を通す。


 だが、何ら慌てる様子はない。


 それはもうすぐすれば、アーレイから直通通話が入ることを予測しているからだった——。


 <それでは引き続き、調査を行います>


「ああ、頼んだよ」


 短い時間だったが、アーレイが懸念したことが実際に起きてしまい、通話を終えたジェフの眉間にしわがより始めていた——。


「陛下、アーレイ国王から緊急連絡が入りました」


「んっ、すごくタイミングが良いな。まぁ良い繋いでくれ」


 司令官との通話が終了した直後、今度はアーレイが映し出された。


 少しニヤついた顔を見れば、クリスか誰かから情報を得て、こちらにアクセスしてきたことは明らかだった。


「内部に協力者がいると考えると、お前はスパイだな(笑)」


 <ふん、暇じゃないだろ。この方が効率的だ>


 画面越しでも二人は意気投合?というかいつもの掛け合いが始まろうとしていた——。


「それで、何かわかったのか」


 <雇い主はデルタの誰かまでは掴んだぞ>


 反星団側の商人たちは、当然ながら警戒している。彼らにしか分からない隠語を使って取引の話を進めていた。


 それでもある程度パターンが分かると、雇い主の国籍位は判明した。

 個人名まで特定するのは難しい——。


「デルタの誰か……となると、かなり面倒なことになりそうだな」


 <それは間違いない、なにせ脳と機械を繋げる技術を欲していたからな>


「うーん、訳が分からん。今は戦艦の大規模改修など出来ないだろ」


 ディスティアの人造戦艦は、AIの代わりに、柔軟な判断ができるヒューマノイドの脳を搭載したものだった。


 だが、危険を察知して自律的に逃げ出すことを防ぐため、自我は消し去られていた。その結果、柔軟な判断ができるはずの脳も、AIに比べてまともに機能しなかった。


 <色々鑑みると、個人的な内容かもしれんぞ>


「そう考えれば大規模ではなく、局地戦にしか使えんよな。俺でも暗殺したいのか」


 <まぁ、恨まれているからな。また何か分かったら連絡するよ>


 忙しいジェフの為に手短に終えたアーレイはさっさっと消えてゆくのだった——。


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