アルテミシア死す・・・。
アルテミシアが殺される?
<<3日後・スネイプの別荘>>
エルフ城の内偵を進めていたスネイプは、実は全く洋介の動向が掴めず苦労していた。その報告と解決策を求めフェリクスの元を訪れることに。
「全く、何なんだ出入り口は全て機械仕掛けで入れないわ」
嘆くには理由があった。それは洋介がゆるゆるな城のセキュリティーを危惧して、全ての出入り口を電動化すると共にICチップ反応型のゲートを設置したのだ。もちろんスネイプは登録外なので一歩も入れず、外から中の様子を伺っていると警備用アンドロイドが付き纏い、最終的には不審者認定され強制的に排除されていた。
「というわけで場内に入れなくて居場所すら特定できていません」
「ふむ、それなら壁を登り離れの塔から入ればいい、それが駄目なら荷馬車の底に貼り付け」
そして翌日、城壁を登る為にコソコソと近づき、壁の隙間に手を差し入れると・・・。
「アバババ!」
城壁に新設されたセキュリティーセンサーに引っ掛かり、侵入防止の電撃が流れ感電したスネイプは全身がビリビリと痺れ撃退されてしまう。
「荷馬車で入るしか無いな」
荷馬車の底に張り付き侵入しようとするが対人センサーに引っかかりアンドロイドに排除され、夜中に穴を掘っていると赤外線センサーに感知されこれまた撃退されてしまい。疲れ切ったスネイプはまたフェリクスの元を訪ねる事に。
「水路しかないな、だめなら井戸だ」
「わかりました」
そして、水路に浸かり城に接近したスネイプは一応用心して、小さな船の模型を流して様子を見ることにした。
Ai「異物確認、排除します」
Aiの無機質な音声が流れた後にジュッワ!と音がすると焦げ臭いが流れてくる。
「へっ?燃えたの?」
木の船が柵を越え城に繋がるトンネルに入った瞬間、赤い閃光が走り一瞬で灰になってしまう。スネイプはそれを見て慌てて水路から這い上がり、そして城外にある井戸に入ろうとするが・・。
「うひゃ〜」
これもまたセンサーに感知され排除されたスネイプは、ミサイルが発射されるように大空へと舞い上がるのだった・・。
<<翌日・隠し通路>>
「もう、最初からこの通路を教えてくれよ、もう・・」
井戸から放り出されたスネイプはフェリクスの元をまた尋ねると「そうだ、作業小屋の床下に隠し通路があるからそれを使え」と言われ、翌日その場所から場内に侵入を果たし、何となく知っている女王の私室を目指しつつ洋介が使っている部屋を特定するつもりだ。
<<一階共有部分・廊下>>
「失礼しましたスネイプ様」
侵入後、コソコソと階段を登り1階部分に出ると侍女と鉢合わせしてしまうが、知った顔のスネイプを見て慌てる事なく道を譲ってくれた。
「何だ、一度でも入れば不審者と思われないんだな」
何ら騒ぎもしないことから不審者と思われていないことに気がつき、余裕の表情を浮かべスネイプは堂々と私室がある2階へと上がって行く。しかし洋介が構築したセキュリティーはそんなに甘くはない。
「ネズミが紛れたな」
モニターに映るスネイプを確認した筋肉ガーディアンは、新設された警備室から飛び出していくのだった・・。
ーー
<<アルテミシアの私室>>
「うーん、装飾品は気にしないと言ってたけど・・(悩」
結婚式を間近に控えたアルテミシアは準備に余念がない。今日も政務が一段落すると私室に戻り当日身につける装飾品やドレスの品定めを行い、取っ替え引っ替え試着を試す。傍からその様子を見れば乙女が初デートの服を迷うそのものだ。当初オルガは付き合って助言を出していたが、毎日のことで呆れてしまい今は1人で悶絶していたりする。
「うーん、ようちゃんに聞こうかな、そうだそうしよう」
洋介の事になると思い立ったら動かずにはいられないアルテミシアは無線機が置いてある部屋へと急ぎ小走りで向かう。
スネイプ「さて、ここからは用心しないと」
スネイプは隠していた暗殺用のナイフを取り出し、腰だめにすると左右を見渡し部屋に入ろうとする。
アルテミシア「早く声ようちゃんのが聞きたいわ(喜」
そしてアルテミシアは扉の向こうに人が立っているとは思いもせず力任せに扉を開くと、ゴンと鈍い音が響きスネイプは頭を強打してしまう。
「クッソ、ふざけんな」
「あら、ごめんえっ?」
スネイプは反射的に腕を振り上げ扉を押さえようとすると、運悪く飛び出してきたアルテミシアの心臓をナイフが貫いてしまう。
「ハッ!?」
「あっ・・ウッソ・・」
一瞬、何が起きたのか分からない2人は刺さったナイフを見て顔をあわせ互いに信じられない表情を浮かべていたが、急所を刺されれば数十秒も待たずして意識が遠のく。血の気が失せ始めたアルテミシアは段々と視点が合わなくなりそのままゆっくりと崩れ去ってしまう。
「ヤバい、もうアルテミシアをやっちまった・・まずいぞまずいぞ(大汗」
ナイフが突き刺さったまま横たわるアルテミシアを見たスネイプは気が動転しそうになるが「落ち着け、冷静に冷静に」と呟き落ち着きを取り戻し踵を返そうとした瞬間、真っ赤な焔が目に入る・・。
「ファイナル・エクセレント・ミラクルブロー!」
「グッヘ・・」
知らぬ前に殺気を消し、背後に現れたレイモンの必殺技が炸裂するのだった・・。
ーー
<<港町ビギン・冒険者ギルド>>
「洋介さんエルフ城から緊急連絡が入りました、そちらに繋ぎます」
連絡を入れてきたのはレイモンだろうな、画面いっぱいに暑苦しいマッチョが激しく映っていたよ。
<洋介様、アルテミシア様が不審者に刺されました>
「なんだと」
レイモンは周りで聞いているスタッフの事を気にして詳細を言わず、最後に「お戻りください」とだけ短く伝えると通信を切ってしまう。そして洋介はアデールを連れ、急ぎエルフ城に戻るのだった。
ーー
<<エルフ城・客間>>
洋介がそろそろ降りてくる頃、客間でエルナと死んだはずのアルテミシアがのんびりとお茶をしていた。
「生きて良かった〜」
「あのねナイフが突き刺さったままだと細胞が再生できないから、下手すれば死んじゃうんだよ」
ナイフが刺さった状態で覚醒と気絶を繰り返していたアルテミシアの元に連絡を受けたエルナが現れ、魔道具を使い緊急処置をして無事に生き帰らせ今に至る。
「そっか不死とは言え生命の根源を使い切ったら死ぬのね、今回は勉強になりました」
散々アルテミシアは悩んだ末、ずっと一緒に共に過ごしたい想いから不死になることを決めたので、今回は惨事にはならなかった。ホッと胸をなでおろしていると、キューンと金属音が鳴り響きほど無くして洋介が姿を見せる。
「アルテミシアちゃんと復活したんだね」
不死である事を知る洋介は慌てはしないがやはり心配なのか、立ち上がったアルテミシアをギュッと抱きしめた。
「心配してくれてありがとうね、ようちゃん」
「だって可愛いお嫁さんが傷つけられたら心配するさ」
少しキザなセリフを少し照れながら語る洋介は、アルテミシアの事が本当に好きだから出た言葉だ。けど彼女はその愛が込められた言霊にヒットする。
「可愛いお嫁さん・・好き!」
「あちゃー」
今度は可愛いお嫁さんの言葉を聞いてテレテレと茹で上がった。そしてキスをする。
「アルテン相変わらずね。さて首謀者を特定しましょう」
ティアナを抱えサイラスの手を引き少し遅れて入って来たアデールは珍しく、細めの白のパンツを穿き薄緑色のゆるふわセーターの組み合わせはひと目見てママっぽい。髪も邪魔にならないようアップで纏めてあるので尚更そう見えてしまうのだろう。
「かーちゃん抱っこしてくれよ」
「嫌だ、エロガキは抱こしない」
サイラスは見た目は子供だけど中身はオヤジのままなので、相変わらずの意識を読まれアデールは厳しい目を向けていたわ。
ーー
<<エルフ城・地下独房>>
レイモンにノックアウトされたスネイプはそのまま独房に運び込まれ、少し経つと意識が戻り囚われの身になっていると分かると粗末なベッドの上で佇んでいた・・。
「俺、やばいよな女王殺したんだもんな・・」
奥義、ファイナル・エクセレント・ミラクルブローを喰らう直前、アルテミシアの死際の表情が蘇り、もう自分は後がないと理解しているのかガックリと肩を落としブツブツと反省の言葉を並べていた。そんな中、少し経つとズズズと何か引きずるような音が聞こえてくる。
「スネイプ・・・スネイプ・・・」
「えっ?」
名前が聞こえ耳を澄ませるとズリュズリュと湿った何か引き摺るような気持ち悪い音が聞こえ、同時にツンと鉄のような匂いが流れて来れば間違いなく血の匂いだとわかる。嫌な予感が走るスネイプは鉄格子に顔を近づけ辺りを伺う。
「スネイプ・・私を殺したスネイプが憎い」
「ひゃ!ひゃー、許してくれ許してくれ」
スネイプが見たのは胸にナイフが突き刺さったまま片足を引きずるようにゆっくりと近づくアルテミシアだ。しかし白いドレスはドス黒い赤い血で染まり、胸から溢れ出る血液が床にピチャリピチャリと滴り落ち、真っ白く透き通るような肌は全身土色に変色してどう見ても死人にしか見えない。
「なぜ殺した、なぜ我を殺した」
「じ、事故だあれは事故だ。殺したくて殺したんじゃない」
亡霊、いや死人が生き返ったゾンビが仕返しに来たと勘違いしたスネイプは恐怖に慄きながら言い訳に終始すると・・。
「こいつ嘘つきよ」
「そだね、本物の恐怖を与えないとダメだね」
ゾンビ化したアルテミシアとは対照的なピョコピョコと可愛らしい小さな2つの影が現れ、状況は更に悪い方へと突き進んでいくのだった。
宜しければブクマ評価感想などお願いします。




